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第13ゲーム『3限目と小さな太陽』



 予言を見て、眉間を抑えながらゲームを終了する。

 ここは僕の部屋だ。目の前にはナミカがきょとんとしながら、首をかしげて女の子座り+上目遣いであざとく僕を見ている。

 見慣れた顔……なんなら鏡で自分の顔を見て女体化したら、絶対これになると確信持てる双子の顔には『何があった?』と書いている。

「……説明するよ。」

「よし来た!」



 僕が見た奇跡の書に記されていた予言は三つ。

 いままでは一つだけの意味不明な予言だったが、今回の予言は『三つ』。

 あとさっき確認したが、他に変わった箇所はもう一つだけあった。

 『現在、レベル[2]』と書かれたページ……これがレベル[3]になっていたのだ。。

 もしこれが明日も予言が三つで、レベル[3]のままならおそらくレベルが上がっていくと、予言の数とかが変化するかもしれないなと、ゲーム大好き思考が告げている。





 肝心な予言の内容は極めて意味不明で……。





【超絶怒涛破滅的爆弾猫は午後四時半、四丁目の喫茶店の路地裏にいる。】

【ナミカはパジャマを忘れる。】

【国語の授業、太陽に注意せよ。】



 ……という内容だった。



「…………どゆこと!?」

「こっちが聞きたいよ!」

 超絶怒涛破滅的爆弾猫って何!?猫が空襲でもするのか!?

 パジャマがなぜ必要なの!?

 太陽はいったい何だよ!?









「う~~~ん??私、パジャマ忘れる?必要なのかもしれない…………。」

「明日はパジャマパーティーか何かなのか?」

「いや、違うはずだよ?」

 女性陣の予定はパジャマパーティではないらしい……。

 え?じゃあますますわからないぞ?パジャマが必要なのはなんなんだ?

「……一応荷物にパジャマ入れておく…………必要ないはずなのに……。

むしろ必要なのは台所用品のはずなのに……?」

「結局お前らは何しにどこに行くんだ……。」

「だから~内緒なんだってば~。

ナオトに言うとタクローとかにもバレちゃうでしょ~!

女の子には秘密があるんだからね!」

「???」

「もしかしたら女の子同士で『うふ~ん』『あは~ん』な展開になるかもね~!

触れ合う肌と肌!キャッキャする私達的な感じィ~!」

「え!?」

 そんな過激なことを双子の妹はやろうとしているのか?うらやまけしからん。

「もちろん。嘘だよ。」

 ……思春期の純情を妹にもてあそばれた気がする。なんかショック。







「さすがに日帰りで、それに大人の人達も、まあいるほうだし……。私達でそういうのを想像するのはやめチクり~!」

 ……ますます、こいつが何をしにどこに行くのか気になる。

 明日は探偵団に会うし素行調査くらい頼もうかな……。



 疑問は明日が解決すると思い僕らは互いに眠りについた。







 ▽ ▽ ▽ 



 ――翌日。



 3限目、国語の授業。

 仲間に予言のことを告げて、例の予言の太陽に警戒する。

 パッと見た感じ、今日は曇り空だ。

 国語の教科書にも太陽なんて単語は載っていない。

 別に日照りが続いているわけでもない……。





 ――太陽……一体、何が起こるんだ?





「え~では……。隆々丸君、次の行を読んで。」

「はい。」

 僕の後ろの席のリュフォーが当てられる。

 次は僕の番だと思いつつ、当てられる覚悟をしながらリュフォーの行を黙読しようとした。

「…………ィゃ~~……!!」

「……ん?」

 どこからか誰かのつんざくような悲鳴が聞こえた気がした。





 その時だ。それは逡巡の間だった。僕の顔の半分が妙に明るく感じたのだ。





「何……あれ?」

 窓際の席にいたメルカの声が教室に響いて、教師を含む全員が窓を見てしまう。

 窓の向こう……まず、ありえないものがあった。





 ――…………小さな太陽!?







 曇り空とはいえ、本来太陽はこの時間、ほぼ真上にあるはずだった。

 だが校庭から花火の様に小さな太陽らしき、『火球』が窓の向こうに跳んでいた。

 ゲームのような出来事だと感じた僕は、それが結構な素早さで僕らの教室へと熱を帯びて突っ込んでくるにつれて、正気を取り戻しこの出来事が『現実』だと実感した。

 とどのつまり、火球は放物線を描いてこの教室に向かっていたのだ。






「逃げろ!!」

 メルカを含む窓側にいた生徒は、ジャンプや急いで走り壁や窓を焦がしていく太陽から逃げようと回避行動をとる。

 すでに教室まで近づいていた太陽は、じゅぅっ……と窓や壁を溶かし窓際の机と椅子を破壊したのち、風船がしぼむように焼失する。





 ▽ ▽ ▽ 





「み、皆さん無事ですか?」

 突然の出来事に唖然となっていた教室は、教師の一言で数秒間の沈黙を破り各々ざわつきだす。

 なんだったんだ……あれ……?

 火球がなぜこんな平凡な教室に……。

 っていうかどこから……?

「せ、先生は職員室に移動します。

のちに校内放送で校庭で集会をし解散する運びになるでしょう。

とにかく皆さんは隣のクラスで待機です!

隣のクラスの先生に事情を話すので、当分の間はそこで待機をお願いします!

そしてまた火球が飛んできた場合すぐさまに避難をお願いいたします!」

「先生!左隣のクラスは確か移動教室だったはずです!」

「じゃあ右隣の先生に……ああ、確か今は担任の堀岡先生でしたね。」

 よりによってホーリーに面倒を見てもらうのかよ……2限目がちょうど歴史の授業だったんだけど僕ら……。





 ▽ ▽ ▽ 





「よるゥによってェ貴様らかァ!怪我がないならいいが、社会で火球が突然飛んできたといっても伝わらんぞォ!

先ほどの衝撃は何があったかァ!起承転結きしィょうてェんけつゥ、答えねば社会に出てもすぐに破滅ゥだ!破滅ゥゥ!」

 案の定、僕らのクラスと巻き込まれた隣のクラスは、校内放送が流れるまでホーリーのお小言を永遠と聞かされてしまっている。

「それでェ!教室は半壊ィ!ソレで貴様らは怪我はなかった、ソレでいいんだなァ!?」

「「「あ……はい……。」」」

 僕らの言葉を聞くとホーリーは少し顔が和らいだと思ったが、少し神妙な顔をする。

 ただ絶妙に聞き取れるか怪しいレベルの声で。

「(小声で)…………まさ、か……いや……ありえ(あるぃえ)ない(ぬぁい)、よなァ……。」

 と言った気がした。





 それからほどなくして校庭で全校集会が行われ僕ら生徒全員は早めに帰れることになった。

 校庭から見た僕らの教室は小さいながらも1メートルくらいの穴が開いており、窓がドロドロに溶けていた。

 僕らの教室を見ようとしたが、半壊だったらしく教師立ち合いの元、荷物だけ取りに行ってしばらく立ち入り禁止だそうだ。

 これからどうするのかは教師陣が相談するとのこと。



 幸いのことトイレを挟んだ隣の隣教室が空き教室だっため、改修工事中そっちで授業を受けることになった。

 僕らのクラスの順番がぐちゃぐちゃになっただけで済んだらしい。





「それでどうする?」

「ん~。少し早めだけど、探偵団へと向かうって方向で……。」

「いや~さっきの太陽は豪快だったな!!」

 女子たちは早々に用事を済ませにどこかに行ってしまい、僕とリュフォー、タクローは予定通り探偵団へと向かうのか?

 そんな相談を教室の階段の踊り場で駄弁っていると突然……。



「何をしてるのよ!!」





 誰か、聞き覚えのある声で誰かを怒鳴りつけている声が聞こえてきた。

 僕ら男子三人は興味本位に怒鳴り声がしている廊下側へ足が赴き、角からこっそり顔を覗かしてその人物を見てしまう。

 校長室の廊下前……。

 そこにいたのはカンカンに怒ったアカリ先生……と見慣れない女子生徒だった。

「(小声で)アカリ先生だな……。」

「(小声で)もう一人は……誰だ?隣のクラスで見たような……。」

「(小声で)あれ……ヒバナさん?」

 リュフォーがそう言い、思い出した。

 隣のクラスで何かと目立つ『ヒバナ』って名前の女子だ。

 紺色のやや癖のある長髪に紫の瞳、緑のブレザーを着ていてとても整った顔立ちで美人だ。

 基本的に女子のグループにいてカーストがそこそこ上な感じの清楚系ギャルって印象が僕らにはある。

 正直、怒られてシュン……としていても、すごくかわいらしい。

 ただそんな彼女を見て、僕には妙な既視感があった。

 それがアカリ先生が近くにいることですぐに分かった。

 なんだろう?あの子、アカリ先生と似ても似つかない顔立ちのに。







 ――アカリ先生と同じような人形みたいに整いすぎている綺麗な顔をしている気がする……。







 僕らがこっそりと顔を覗かせている間も、アカリ先生は何かに憤慨しており、ヒバナさんは頭を下げ少し申し訳なさそうだ。

「まったく……下手したら一大事よ!わかってんの!?」

「……うん。」

「ここ最近は大丈夫だと安心していたのに……。

………………。

はぁ~~~…………こっちも無茶なことを言っているのわかっている……。

でもね……人を傷つけるようなことはしないで頂戴……。

これはいろんな人、みんなに約束してきたことなんだから……。」

「わかっていますわ……ごめんなさい……。」

 少し不貞腐れたように言ったヒバナさんを見て、アカリ先生は小さくため息を吐く。

 しかし……アカリ先生とヒバナさんは一体どういう関係なんだろう……?

 何に怒っているんだろう……?



「まぁ……いい……。今回は不可抗力でとどめておくから、あんたももう帰りなさい……。」

「はぁ~い……。あ、でもまだ少し用事ありますから……。」

「わかったわよ……その妙に切り替えが早いとこ、誰に似たんだか……。」

「誰でしょうね~……。じゃあまた。」





 お説教が終わったらしくアカリさんは職員室へと戻り、その場にとどまっていたヒバナさんはやや驚いたようにこちらへと気づく。

「ヒバナさーん……。やっほー……。」

 リュフォーは小さく手を振る。がすごく不機嫌そうな顔をしたヒバナさんはただ一言

「サイアク……。リュフォー……じゃん……。」







 リュフォーとともにヒバナさんの元へと駆け寄る。どうやらリュフォーの知り合いっぽかった。

 ヒバナさんに近づくと妙に香水っぽいきつめの匂いがした。

「お久しぶりです。ヒバナさん。」

「久しぶり、リュフォー……後ろの二人は友達……?……それとも……?」

「え、ああ。

この前話した協力者。ちょうど探偵団に行くところだったんだ。

こっちがナオト、こっちがタクロー。クラスメイトでもあるんだ。

ナオト、タクロー、こっちがヒバナさん。探偵団の一人でもあるんだ。」

 どうやらヒバナさんは探偵団の一人でもあるらしい。

 なるほど同じ組織に所属しているから面識があったのか……。



「俺はタクローだ!学校一の豪快さを持つ豪快な男だ!よろしくぅ!」

「光菜 波音です。よろしくお願いします。」

 タクローの引くほどの大声を華麗にするしつつ、なぜか僕が名乗った時に妙に首をかしげる。

「……光菜?その苗字……どこかで……?」

「……双子の妹も学校に通っているから、同じ苗字を耳にしたのかもしれないけど……。」







「まぁいいわ。改めて名乗ってやりますわ。アタクシは探偵団、実動隊員。蒲公英タンポポ 火花ヒバナと申しますわ。

ヒバナとお呼びください。協力者たちよ、以後よろしゅうお願いいたします。」

 そう言って可憐な動作でスカートをわずかにたくし上げる彼女は、先ほどの表情とは違い余裕そうな笑みを僕らへと見せたのだ。


※ブックマーク、評価、レビュー、いいね、やさしい感想待ってます…!!

この物語の『更新』は現状『毎週金、土、日』に各曜日1部ずつとなります。


■ ■ ■ ■

~FrG豆知識のコーナー~

■ ■ ■ ■

タクロー「なぁナオト、あのヒバナとかいう美人さんはまさしく俺様たちとは別世界に生きるって感じだな!」

ナオト「そりゃ隣クラスで割とカースト上位のギャルで、常にカラオケとかタピオカとか飲んでる若干陽キャだよ?

僕らはただのゲーマーだし、まぁ別世界ってのはあながち間違いじゃないかも。」

タクロー「ただなんというか、若干だが舞妓はんみたいな口調でしゃべるし、そういうとこ俺様はいいと思うぞ!」


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