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「信じらんねーよ!もう半分まで来たなんて!このまま順調にいけば、あと半月で南大陸に着けるぜ!」


出航してから半月ほどたった頃、飯と風のおかげで仲良くなった船員が嬉しそうに教えてくれた。俺の船酔いしてる姿を見てるからね。


「そんなに!やった!助かった! それなら短くなった分、飯を三食出すよ!」


航海が三分の一になる!この辛い船酔いの日々が早く終わる!

爆上がりしたテンションで、残りの日数を計算してそう言うと


「ほんとに?! やったーーー!!!」


俺以上のハイテンションに、周りからどうしたどうしたと声がかかる。


「ヨシトが飯を三食出してくれるってよ!」

「マジか!」

「やったー!」

「ヨシトありがとーー!!」


喜びのハイテンションが広がっていく。

なんか収拾がつかなくなってるけど…。

うんまぁ、そんなに喜んでもらえて嬉しいよ。




船員の言った通り、俺が吹かせまくった強風は三ヶ月かかるといわれていた南大陸までの航海を、本当に一ヶ月ほどで終わらせた。


航海する一ヶ月の間には色々あった。


風魔法の他にも、俺は水魔法でも喜ばれた。

飲用水の樽を()()()()()いっぱいにしたのだ。

水も腐るからな、新鮮な水はそれだけでありがたい。しかも常に満水で。節水なし!飲みたいだけ飲める!


もう一つの樽には果汁を足したビタミン水を作る。船乗り病対策だ。

船長に、船乗り病はビタミン不足だからと教えて、航海中みんなにビタミン水を飲んでもらった。

水だけじゃなくて、新鮮なうちに作った(野菜)のおかげもあるだろうけど、一ヶ月の航海で、一人も船乗り病にはならなかったよ。



船の上では水は貴重だ。この時代、この世界か?風呂なんて入らない。船に風呂自体ないしな。

一日中汗を流して働く男たち、めちゃくちゃ臭いんだよ!いや、労働の汗は尊いと思うよ!働かず汗もかかないヤツより立派だと思うよ!

だけど(俺も含め)臭いし汚いし、不潔なのは病気も心配だ。清潔魔法(クリーン)できれいにしてやる。


これも本当に感謝された。好きで臭くて汚いままいたいヤツなんていない。

気にしないという強者がいなくてよかった。そいつとはお近づきになれそうもない。

本音をいえば風呂に入りたかった。だけど船の上に家は出せないもんな。沈没してしまう。

南大陸に着いたら、何はともあれ風呂に入ろう!



それから、海賊には襲われずにすんだけど、海獣には二度襲われた。

そのために雇われた俺たちが戦う。

いや、俺は戦わないけどね。俺は船に結界をかける。穴でも開けられたら大変だ。


戦うみんなに身体強化とスピードアップ、マジックシールドも三重にしてかける。

ついでに海獣には重力魔法と弱体化魔法をかけてやる。みんながんばれ。

俺は戦わないから、いつも以上に強風を吹かせてガンガン船を進ませる。


「ヨシト、少し風を弱めて!帆がやぶける!」

「マストもしなってるよ!」


わぁ!すまない!

自滅するところだった。


とまぁ、こんな感じで一ヶ月を過ごし、ようやく南大陸にたどり着いた。




「ヨシトのおかげで、今回の航海は信じんねーくらい快適だったぜ!ありがとな!」

「あんな美味ぇ飯も水も、船の上ではあり得なかったわ。ごちそうさん!」

「魔法できれいにしてくれたから皮膚病もでなかったし、日焼けもケガも回復魔法で治してくれて、ほんと助かったわ!ありがとな!」


「何より航海がこんなに短くなったのがありがてーよ!」 うんうん!!

「ヨシトー、帰りの船にも乗ってくれよー」 うんうん!!

「ヨシト、もう船乗りになっちゃえよ!」 うんうん!!


いや、船酔いするのに船乗りなんてなれねーだろ!


南大陸に上陸して別れる時に、みんなから声をかけられる。

最後のセリフには全員の懇願が感じられた。


「ヨシトの言ったビタミンの話、帰りの船でも試してみよう」


船長までそう言ってくれた。

まぁまだ半信半疑っぽいけどね。ビタミンとか、栄養素の事もよくわかってないみたいだし。

だけど一人も船乗り病が出なかった事は事実だ。


最後にオーナーから報酬をもらう。

一日金貨四枚、三ヶ月分で一人三百六十枚だったはずだけど、一ヶ月になってしまった。

百二十枚かぁ。

でもいい!船酔いの辛さを思えば、収入が減った事くらい全然いい!!


でも俺はよくても、他のみんな(マックス除く)はどうだろう?

減ってしまってすまんね。


「全然いいよ、それより面白い経験ができたし」

「短くなってよかったぜ!やっぱ海の上より陸の方がいいわ!」

「そうだな!それに、短くなったら少なくて当たり前だ」


みんなそう言ってくれた。ありがとう!


報酬はまさかの百五十枚! え?オーナー?


「航海が短くなった分経費が浮いた。余った食料も帰りに使えるし(船員のみんなは心底イヤな顔をした)そういう訳で特別に色をつけた。次回があったらまた頼む」


オーナー!!

パワハラヤローだなんて悪口いってすんませんでした!!


オーナーの粋な計らいに、俺たちは感謝して笑顔で別れた。




さぁ!マックスの故郷に行こう!




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