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待っていてくださった方、お待たせいたしました。
完結まで毎日更新いたします。
少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです^^
移動は順調で、予定通り七日目の夕方には王都に着いた。
王都を囲む外壁が見えてきたところで馬車を降りて、アイテムボックスに収納する。
俺特製の馬車は見た目で検問に引っかかってしまうだろうからな。
それから近くの藪に見えないように馬を繋いで結界をかける。
全ての物語にあるように、アイテムボックスに生き物は入れられない。
「大人しく待っててくれよ、すぐに迎えに来るからな」
撫でながらそう言うと、馬は鼻も鳴らさず澄んだ目で俺を見た。
新しく俺たちの仲間になったこの馬は賢い。
移動中の夜も、ちゃんと結界の中で大人しくしていた。
そういえば名前がなかったな。何か考えよう。
さて、王都に入るため列に並ぶ。
俺には隠蔽をかけ直してある。手続きをするマックスは見えてないとしょうがないけど、俺の存在は残さない方がいいだろう。
マックスが身分証を出して入場税を払う。
お、すんなり中に入れたぞ!
もしかしたら大門でいきなり拘束される事も考えていたからよかった!
時刻はすでに夕方で、事務的な業務時間は終わっているかもしれないけど、騎士なら夜勤もあるだろうとそのまま王宮に向かう。
火龍を出してから今日で十一日。
すでに王都には火龍の話が伝わっていると思っていい。
折り返してラビュリントゥスまで何か指令が届いているかはわからない。
ラビュリントゥスに俺たちがいない事がバレているかもわからない。
面倒な事になりそうだったら、マックスにも隠蔽をかけてソッコー逃げる計画だ。
だけど逃げるにしてもマックスが奴隷じゃなくなってからがいい。
無事にマックスの奴隷解約ができますように!
できるなら逃げるような事にならず、穏便に新生活がスタートできまさように!
緊張してきた!俺はこういうのに弱いのよ。
マックスについて、王宮の騎士団の通用門に行く。
騎士団の通用門なので、門衛も騎士と思われる。今の俺と同じくらいの若い男だ。やっぱ新人かな?
マックスが門衛に要件を言うと、その新人は先輩に何か伝えて、マックスについて来いと言って先に歩き出した。
若い騎士につれられたマックスの後から、こっそり俺もついていく。
少し歩いた先の建物の中に入ると、入り口近くに事務室のような部屋があった。
やっぱり就業時間が終わっているのか、中の人はまばらだ。
新人はここでも先輩らしき人に声をかけると、後はもう何も言わず戻っていく。
奴隷とは必要な事以外話さないってか。
事務の?騎士が残業に嫌そうな顔をしながら、マックスに金を出すようにぞんざいに言った。
自分で言ったくせに、その騎士は出された金貨を見ると、マックスがそんな年齢に見えないのと(なんせ貯めるのに十年かかるからな)現ナマ金貨千枚に、疑うような表情をした。
失礼な!本物だよ!
偽金疑惑に、残っていた数人の騎士も集まってきた。
その中の一人が魔法を使って金貨の真偽を確認したようだ。金貨の山が光って、魔法を使った騎士は頷いた。
ついでに枚数も確認できたようだ。
後はあっけなかった。
魔法使いの騎士が、何やらマックスに呪文を唱える。目には見えないけど奴隷解約の何かかな?
目に見える奴隷解約の証明書もしっかりもらったよ!
こうしてあっさりと奴隷を解約されると、マックスはさっさと追い出された。
きっと残業が嫌なのだろう。
……これでもう本当にマックスは奴隷ではなくなった!!
俺は湧き上がる衝動が抑えきれず、騎士団の通用門をでると、自分に身体強化とスピードアップ、マックスには隠蔽の魔法をかけて、二人で走り出した!
そして王都の外に出て馬を繋いであるところまで来ると、思い切り叫んだ!!
「やったーーー!!!マックスやったな!!おめでとう!!!」
「やりました!!ありがとうございます!!!」
おっと、馬を驚かせてしまった!
ごめんごめん。
それにしても、あまりにもあっさり終わったな。
この、あまりにもあっさりすぎたマックスの奴隷解約だけど。
ずっと後になって再会したカンファーさんが、推測も交えながら話してくれた事に、そうかもしれないと納得した。
曰く、火龍を出した新人冒険者のヨシトの名前は通っていたけど、奴隷のマックスの名前は伝わっていなかったのだろう。
そもそも奴隷は人として扱われない。たとえAランクでも。取るに足らない、存在を意識されない奴隷の情報なんてわざわざ伝えられない。
王都に入る時も、マックスだけだったから素通りできたのだろう。俺も真面目に身分証を出していたら拘束されていたかもしれない。
俺の存在を残さない方がいいと考えた事は当たっていた!
奴隷を軽視する考えは、いつもなら憤慨するところだけど今回はよし!
それでマックスがノーマークで奴隷解約の手続きができたんだからな!
だけどこの時はまだそんな事は知らず、いつ追手がかかるかわからないと、急いで王都から離れる事にしたのだった。




