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オークを二十体も倒したので剣を直しに出し、一日あいたダンジョン挑戦二日目。
今日も下級ダンジョンから始めようと思う。
一昨日オークの買い取りをしてもらった時に、ダンジョンのタイプやレベルの内容を聞いてみた。各レベルにも大まかに三段階ほどあるそうだ。
俺たちが挑んだ下級ダンジョンは、言い方は悪いけど下の下。マックスが言った通り、初心者用のすぐ上のレベルだった。
という訳で、今日は下級ダンジョン(上)に行ってみよー!
ダンジョンの町から東に徒歩三時間のところ、町を囲う外壁を出たら、毎度自分とマックスに身体強化とスピードアップの魔法をかける。
俺にはさらに重ねがけ。これで半分の時間で行く事ができた。
下級ダンジョン(上)に着くと、若い冒険者パーティーがチラホラと見える。
入場受付で銀貨四枚を払って、いざ挑戦!
もちろんマジックシールドをかける。俺には重ねがけ。
隠蔽セットは、ちょっと待つ。様子を見てみよう。
このダンジョンは森タイプだ。
ダンジョンのお宝、ドロップ品を入手するなら、せっかくならほしいものがいい。
肉なんかも欲しいところだけど、肉なら森の町の方がいい。
ちゃんと獣の姿なら抵抗がないけど、俺は人型の魔物の肉は受け付けないからな。
話がそれた。そういう訳で、ファンタジー小説知識で、あったらいいものを思いおこす。
うん、木とか鉄とかが使える物語が多かった。
そこで森のダンジョンにしたという訳だ。
鉄系は中級ダンジョンにならないとない。
地下一階に下りると、森だ…。
森のダンジョン、そのまんまだな!
鬱蒼としている森だからか、初心者用と下級ダンジョン(下)より薄暗い。
でも明るさ的には問題なさそうだ。
地下二階への入り口を探索するけど、道なき森、木を縫って進むしかないので方向しかわからなかった。
でもまぁそれだけでもわからないよりいいか。
魔物の探索もする。トレントと、その他木系との事だけど、どのくらいいるのかわからない。
とりあえず一メートル以上の魔物を探索した。
だけどヒットしない。この辺にはいないんだろうか?
用心しながら木々の中に入り込む、と!
バシッ!!!
突然枝が襲ってきた!!
「ヨシトさん!大丈夫ですか!」
「大丈夫!」
びっくりした!!
マジックシールドがあるから直接叩かれる事はなかったけど、目に見えて攻撃されるなんて心臓に悪い!今もバクバクしてるよ!
マックスが倒した魔物は…、トレント?
木の魔物だった。
「マックス、それってトレント?」
「はい。これは若木なので弱いですね。大樹はもっと強いと聞いた事があります」
「そうなんだ。どっちにしても初めて見たわ」
まぁどんな魔物も初めて見るんだけどさ。
マックスが倒したトレントは木材になっていた。
ドロップ初めて見た!倒れると姿が変わるんだな。
「木の姿なら俺も戦えるけど、攻撃力的に倒せそうにないな」
下級の魔物なんだけどね。
俺に倒せる魔物なんてスライムくらいだろう。
なのにそれも倒せないというね。
マックスもそう思ったのか何も言わなかった。
「ごめんマックス。また全部マックス頼りになっちゃうけどお願いします。ジャマにならないように俺は隠蔽しとくわ」
「このくらいの魔物はなんて事はありません。気にしないでください、そのために私がいるのですから」
「ありがとう」
探索にヒットしなかったのは、動いていなかったからかもしれない。
トレントは、ただの木に見えた。
地下二階目指して行く先々で、マックスがさくさくトレントを倒す。
ドロップの数がハンパない。
トレントはみんな同じ木に見えるのに、ドロップする木材はまちまちだ。
板材あり、角材あり。厚みも大きさも色々だ。
色も違うから、木の種類も違うのかもしれない。
マックスが倒して、俺が木材を拾う。
昨日のスライムと同じだ。
それにしても、木に顔はないのな。
ゲームや漫画のようなのを想像していたけど、ただ攻撃してくる木だった。
これなら有名ファンタジー映画の魔法学校に生えている凶暴な木の方が近い。
あっちは移動できないけど、こっちは移動してくる。歩く木、かなりシュールだな。
見通しのいい荒野じゃないので、わりと時間がかかって地下二階への入り口にたどり着いた。
ある程度のレベル以上のダンジョンには、魔物が襲ってこない安全地帯がある。
ラビュリントゥスのダンジョンの多くは、上と下を繋ぐ階段の踊り場のようなところがそれにあたる。
安全地帯はそこそこの広さがあった。
何組かのパーティーも休憩しているし、俺たちも休憩しよう。
戦っていない俺が休むなって?
木の根が張り巡らされていて鬱蒼とした森の中を、都会人が体感ニ〜三時間歩いたのを想像してみてほしい。
な?ちゃんと疲れているだろ?
マックスと二人で水を飲む。
「沁みますね…。生き返るようです」
「だな。なんか森だからか湿度高い気がする。汗で水分持ってかれるよな」
「はい」
立て続けに、二杯、三杯と飲んでいると
「あの~、すんません。あんたさんのそれ、水魔法っすか?」
ちょっと離れたところにいた、三人組の一人に話しかけられた。




