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次の日は一日携帯食作りをした。
アイテムボックスの中にあった料理を全部出しちゃったもんで。
昨日待ち時間に買って来た食料と、まだ大量にあるジャイアントボアの肉を使って、男の定食メニュー!唐揚げとトンカツと生姜焼きを大量に作る。醤油がないから変わり生姜焼きだけど。
それからやっぱり定食には炊き立てご飯だよな!大量に炊いて、ほぐしてからアイテムボックスに保存する。
その他、パエリアとおにぎりも作っておく。
もちろんパンは柔らかくしておくし、スープも三種類ほど作っておく。
寒い季節だから熱々の汁物はそれだけでご馳走だ。
そんな風にして一日を過ごした翌日、いよいよ旅立つ。
もちろんタダでは行かない。ダンジョンの町に行く商人の護衛の依頼を受けた。これで馬車には乗れるし、報酬もいただける。
なんせ俺の財布はかなり淋しくなってるからな。
朝、家をアイテムボックスに入れると、集合場所の大門前に行く。
いたいた。雇い主さんたちに朝の挨拶をする。
「おはようございます。良人と、あっちはマックスです。よろしくお願いします」
「こっちこそよろしく頼むよ」
それから、一緒に護衛する青い雷光(内心ニヤッとしてしまう)のメンバーにも挨拶する。
青い雷光は男女二人ずつ、四人組のBランクパーティーだ。
「おはよう。今日からよろしく」
「おぉ!よろしくな~」
「おはよう。よろしくね!」
おや、暁の三人がいるじゃないの。
「あんたたちなら大丈夫だと思うけど、がんばってね」
「命の恩人だしね、見送りに来てあげたわよ!」
「私たちももっと強くなるわ。元気でね」
「ありがとう、三人も元気でな!」
わざわざ見送りに来てくれたようだ。
この町には短い間しかいなかったけど、こんな風にされるとしんみりするな。
軽く手を上げて、マックスと先頭の馬車に乗り込んだ。
俺は御者台に乗せてもらう。探索が出来るからね。
マックスは荷台から辺りを見張る。
二台目、三台目には、青い雷光が別れて乗り込む。
最初こそ、馬車!初めて乗る!!と少々浮かれていたけど、ダイレクトに伝わってくる振動がけっこうくる。尻と腰が痛くなってきた。早々に身体強化の魔法をかけたというのに地味に響くわ。
行程はというと、森の町からダンジョンの町まで、何事も起きなければ馬車で七日ほど。
二時間おきくらいに馬を休ませる。馬に水とエサを食べさせている間に、人間も休む。
御者台での姿勢が悪いんだろうな、身体が固まっている。休憩の時に身体を動かそう。
動かしながら馬車を見る。
尻が痛いのは椅子が硬い木だからだ。車輪も木で出来てるし。
クッションのきいたシートとかゴムのタイヤとか大事だな…。
午前に二回の休憩を入れて、昼はちょっと長めに休む。
飯は各自で用意なんだけど、ご想像通り皆さんにも提供する事になった。
「代金はいただきますが、俺が作った飯食べますか?」
ただで食べさせるには俺の懐具合が淋しすぎた。
ジャイアントボアはマックスが苦労して倒したものだし、その他材料は買ったものだしな。
それに金を出して食べたほうが遠慮もないだろう。
「ん?ヨシトは料理が出来るのかい?」
と雇い主のフィリップさん。
「払う払う!!食べたい食べたい!!」
青の四人はギルドの宴会の時にいたもんな。味を知っている。
青の四人の勢いに、フィリップさんたち三人も、それじゃあぜひにという事になった。
「一昨日ちょっとしか食べられなかったんだよ!腹いっぱい食べたかったんだー!」
「わぁ、やっぱり美味しい!あ、そっちの料理も食べたい!」
「美っ味! すでにお代わりほしいくらいだわ!」
「美味しい~!お代わり同感!!」
青の四人は大騒ぎで食べている。
ちょっとうるさいくらいだ。
「こんな料理は初めて食べる。美味いな…」
「外でこんな料理が食べられるなんて!この水も美味いな!」
「熱々が嬉しい!すっごく美味いし!」
フィリップさんたちも興奮気味に食べている。
お口に合ってよかった。
昼飯一食、銀貨一枚。これは最初に貨幣価値を知った基準になっている。
俺は阿漕に稼ごうとは思わない。素人が作る簡単男の料理だしな。飯一食分銀貨一枚は妥当だと思っている。
思っていたけど、全員にこれが銀貨一枚でいいのか!と喜ばれた。
あれ?安かった?
午後も一度休憩を入れて、日が落ちる前に宿泊予定の町についた。
俺とマックスは皆さんとは別れて自分たちの家で過ごす事にする。
依頼主と冒険者が別の宿屋に泊まるのは普通にある事なので、特に何も言われない。
でかい家を出し入れするのだから、驚かれないように町の外れに移動した。
マイホームで美味い飯を食べて、風呂に入って凝り固まった身体を癒す。
疲れた身体を受け止めてくれる柔らかなベッドで眠れる幸せ。
用心のため、家には二重に結界をはってあるから安心して休めるし、ほんと家を買ってよかった。
定食屋ヨシト開店。




