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一日中料理をして過ごした翌日、朝から張り切ってギルドに出勤する。
さて、今日はどんな依頼を受けようか。
受けようかといっても実働はマックスだけどな!
ギルドに入るとザワリと空気がゆれた、気がした…?
何だかみんなの視線が俺たちに集まっている、ような…?
「よぉ、おまえらジャイアントボア五頭倒したんだって?」
お、何だ?たかる気か?
初日に絡んできたあのゴロツキ(違)が、また絡んできた。
マックスが俺を庇うように前に出るのもこの前と一緒だ。
この前と違うのは、大柄なゴロツキがその体格に似合わない素早さでスッと屈んで
「別におまえに言われたから言ったんじゃねーけど。まぁうまくいったんで、一応礼を言っとこうと思ってな」
俺の耳元でボソッと言った事だ。
おおぉぉ!!
ぱぁっと明るくなった俺の顔を見たゴロツキが、うるせぇなぁという顔をして見せる。
緩みそうになる口元に力を入れているのでパフォーマンスだとバレバレだけど!
「兄さん!名前は?」
ゴロツキ呼ばわりは悪かろう。
「ブライアンだ」
「ブライアン!よかったな!(小声) 俺は良人だ。よろしく」
聞いてねーよ、みたいな顔をしつつ「おぅ」と返事をしてくれるし、わざわざ礼を言いに来てくれる。実はいいヤツなのかもしれない。
後で知った事だけど、初日に絡んできたと思ったのも、夕方に掲示板なんかを見てもいいもんが残ってないと教えてくれようとしたらしかった。
普通にいいヤツだったんじゃん。見た目で判断してすまんね。
でもその見た目にあの言動じゃ誤解されるよな。
そんなほのぼのとしたやり取りをしている間に、マックスが依頼を受け付けてきてくれた。
今日も森に魔獣を狩りに行く。
俺たちは二人パーティーだから、ムリのない獲物をムリのない数こなそうと計画している。
だんだんに強いものに挑んでいって、ある程度自信がついたらダンジョンに行く予定だ。
強く大きな魔獣は大金になるけど、金を稼ぐなら断然ダンジョンらしい。
この国は魔獣の出る森や荒野も多いけど、ダンジョンも多いと初日に聞いた。
ダンジョンに出る魔物は、色んな素材やら魔石なんてもんのドロップ率が高く、高額で買い取ってもらえるそうだ。
そういうもんにならなければ魔物本体が売れる。どっちにしても金になるとか。
その代わり依頼報酬はない。依頼されてないしな。それどころか、入場料が取られるくらいだ。入場料はダンジョンの規模による。
新しくできたダンジョンの探索依頼なんかには報酬が出るらしいけどね。
さて出発だ。
依頼を受けた北の森は、マックスと初めて会った森だ。屈強な男の足で二時間かかる。都会人の俺の足では三時間かかった。
もちろん大門を出たら自分とマックスに身体強化の魔法をかける。
それからスピードアップの魔法もかける。俺には重ねがけする。
これで半分の時間で行く事が出来た。
魔法のおかげで一時間ほどで北の森に着いた。
今日は初日に倒した魔獣、フォレストウルフを二頭狩る。
ジャイアントボアを五頭倒しているのに、それより小さなフォレストウルフが二頭なのは、フォレストウルフが見つかるかわからないからだ。
広い森の中で自由に動き回っている魔獣を探すのは俺の探索があっても大変だ。
探索をかけた範囲に獲物がいなかったらヒットしないからな。
森に入る前に、自分とマックスに隠蔽と消音と消臭とマジックシールドの魔法をかける。
戦わないけど、一応俺にはシールドを二重にかける。やわな俺は一度どつかれただけでも死んでしまうと思われるので。
準備が終わると、森に入って浅いところで探索の魔法をかける。
フォレストウルフ以外を狩っても、後からの依頼受付処理で報酬はもらえるし、ものによっては買い取りで稼ぐ事もできる。
とりあえず二メートルの魔獣(フォレストウルフの成体サイズ)で探索をかけた。
個体指定しないとけっこうヒットするなぁ。
「マックス、ここから近い場所だと、二時の方向に一頭、九時の方向に三頭、十一時の方向に二頭いるよ。どれから行く?」
「では一頭から」
「OK。一キロくらい先ね」
しまった。しゃべったから隠蔽が解除されてしまった。慌ててかけ直す。
俺は弱いからな。この世界だったら兎にも負けそうだ。
失敗をいかしてハンドサインを決めておく。
動物がじっとその場に留まってくれるはずもない。
探索をかけながら、俺たちは目的地に走った。
いた!
と思った瞬間、マックスが物凄い速さで俺を追い抜いて切り込んだ!
やばっ!見ちゃいけない!
脳で考えるより先に反射で目を閉じる!
肩を叩かれて目を開けると、大きなフォレストウルフが倒れていた。
まだ全然慣れないよ。そっと目を逸らす。
『一頭目お疲れ!』
俺は親指を立ててマックスを労って、フォレストウルフをアイテムボックスに収納した。
ブライアン、じつはいいヤツでした^^




