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朝飯を食べたら出勤だ。
これから冒険者ギルドが職場になるから、感覚としてはそうなる日本人的発想。
だけどタイムカード的な物はない。無断欠勤してもかまわないという…
あれ?これ、個人事業主じゃね?
なんてバカな事を考えているうちにギルドについた。
朝のギルド内は混み合っている。
もっと早い時間の方が激混みらしいけど、Aランクの冒険者の数は少ないから、それ以下のような取り合いにはならないんだそうだ。
しかもマックスは奴隷の身だから、あまり人と接しないようにやってきた。
絡まれても面倒だ。わざわざ不快な思いをする事はないもんな。
そういえば、やっぱり奴隷は一般人に手を出してはいけないと制約があるんだそうだ。
じゃなきゃ格下がAランクに絡まないか。
さて、少し空いた掲示板の前に行く。
Aランクの依頼を見るけど、名前だけではどんな魔獣かわからない。
選ぶのはマックスに任す。マックスが戦うんだしね。
ここで皆さんは不思議に思う事があると思う。
初心者の俺とAランクのマックスがパーティーを組めるのか?
結論からいうと組めたんですね。
俺は支援魔法使いで登録しているから、戦闘には携わらない。という訳で(どういう訳?)OKらしい。
あれかな、ポーターみたいな位置づけ?
ちょっと違うか。
「これにしようかと…」
マックスが選んだのは、野生のイノシシの退治だった。
この町から徒歩で二時間ほど西にある村から、イノシシに畑を荒らされて困っていると依頼がきた。
イノシシの退治はAランクの依頼ではない。
だけどマックスは非戦闘員の俺のために、危険な魔獣ではなく、ただの獣の退治を選んでくれた。
獣だって俺からしたら十分危険だけどさ!気持ちがありがたいじゃない。
じゃあそうしようという事で、受付をしてさっそく西の村に向かう。
町の大門を出ると、自分とマックスに身体強化の魔法をかける。俺にはスピードアップの魔法もかける。そうじゃないとマックスと歩く速度が合わないからな。
街中なんかを歩いていた時に、マックスが俺の歩調に合わせてくれている事に気づいたのだ。気配りのできる男マックス、モテそうだな。
「イノシシ退治なんてよく残っていたね。依頼としては手ごろな感じじゃない?」
「通常ならそうですが、報酬が低いので誰も受けなかったのだと思います」
「そんなに低いの?」
「依頼元の村は貧しいのでしょう、相場の半分以下かと。往復四時間を考えれば、皆もっと割のいい依頼を選びます」
「なんかすまんね。マックスありがとう」
確認されているイノシシは二頭。もしかしたら三頭かもしれない。
普通なら村人たちで対処するけれど、今回のイノシシは二メートルもあるような大きさだった。そこでギルド依頼になったという訳だ。
イノシシ一頭、金貨一枚。三頭いたら金貨三枚。
二メートルのサイズ的にだいぶ低い依頼料だそうだ。
話しながらニ時間ほど歩くと、依頼を出してきた村についた。
まずは村長さんに話を聞く。
「朝夕、向こうの森からやってきて我がもの顔で畑の作物を食っていきよる。わしらはあんなイノシシのために野菜を作っている訳じゃないわ!」
だいぶご立腹だ。
「朝夕だけやってくるのだな?昼は森にいるのか?」
「森にいるかはわからないが、昼はやってこない」
「わかった。森に行ってみよう」
退治をするマックスが受け答えをして、森に行く事になった。
徒歩十分ほどで森の入り口についた。
「俺は森の事はよくわからないけど、なんか荒れた感じがするな」
「荒れていますね。それでエサがなくなって村に来ているのかもしれません」
「森の広さはどのくらいだろう?イノシシ二~三頭探すのは大変だよな。探索してみようか?」
「お願いします」
“探索!”
二メートルのイノシシ…。
いたいた。三つヒットした。だけど…
「マックス、二メートルのイノシシ三頭は見つかったけど、その近くにもっと大きいのが二頭いるようだよ」
「二メートル以上…。もしかしたら、ただのイノシシではないかもしれませんね」
見てみないとわからないので、行ってみる事にする。
二人ともに隠蔽と消音と消臭の魔法をかける。もちろんお互いはわかるようにしておく。
それから身体強化の重ねがけと、マジックシールドも二重にかける。
まずは様子見だけの予定だけど、もし戦いになったとしたら、俺は足手まといにならないようにそのまま隠蔽でジッとしている事になっている。
それから、マジックシールドをかけているから大丈夫と思うけど、マックスの回復補助をする。
作戦を立てたら行動開始だ。
無言でマックスの後をついていくと、
でかっ!!
二メートルだってでかいのに、その倍はある一頭と、それより大きなもう一頭がいたよ!!
奴隷じゃなくなったマックス、もてそう^^




