血のつながった私はあなたの鏡には映らない
あなたが作った私は、産まれてすぐに消えるためのカウントダウンがはじまる。
神の無慈悲から存在した2つの命。
シロは無限の愛を注がれ心は満たされる。
誰にでも愛されるシロは自尊心が満たされ幸福にあふれていた。
愛は当たり前に降り注ぎ、
アア 神ヨ 私ヲモット愛デ オ包ミクダサイ
シロは本物になっていく。
そしてシロから遅れてクロが産まれた。
クロは無口で欲を出さないばかりか愛を受け取らない。
どうして?
それでもシロに注がれた無限の愛は半分になりました。
暖かい光に包まれていたシロはどんどん冷たくなっていく。
このままだと命が消えてしまう。
命を消してはいけない、愛が足りない。
なぜ愛が足りないの?
シロはクロに愛を受け取らないなら私に返してと命令した。
それは元々、私が貰うはずだった愛なのだと怒鳴った。
シロはクロに石を投げた。
クロは赤い血を垂らした。
それでもクロは泣くこともなくただそこに存在していた。
シロはクロを傷つけた。
シロは半分の愛と、もらえなくなった愛を補うために、愛を奪ったクロを使って優越感をもらった。
それは愛よりもおいしいものだった。
クロはシロに何をされても神様に告げ口したりしない。
骨が折れても、皮膚が剥がれても、目玉が取れても。
ある日、シロがクロの心臓を取り出した。
それは暖かく綺麗なものだった。
「欲しい、私の心臓と交換して。」
シロは嬉しそうにクロにお願いしたが、クロはもう動かなかった。
「どうして?」
心臓を握ったままシロの頭の中にクロの感情が流れ込む。
シロ、ごめんね、あなたの愛を奪ってしまって。
シロ、ごめんね、あなたが大好きなのに伝えられなくて。
シロ、ごめんね、クロが産まれてきてしまって。
神様、どうかクロの愛はシロにあげてください。
クロは愛は要らないの、どうして返してあげられないの?
神様は愛を半分にはしているんじゃない、同じ愛をシロとクロに注いでくれていたんだ。
クロが愛されてシロが愛さなくなるのが怖かった?
『これでシロの役にたてたかな』
愛を受け取らなかったクロは自分で愛を作っていた。
シロへの愛は伝えきれなかった不器用なクロ。
私を見て。
振り向いて。
行かないで。
私はあなたが大好きです。
いつもながら悲しい感じの話になってしまいましたが誰かの心にお届けできたら嬉しいです。