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外伝1:天目茶碗

ここは堺の新名屋、ここの主人である新名内蔵助は、自分を贔屓にしてくれる御方の接待を行っていた。そこには明智光秀、羽柴秀吉、丹羽長秀、滝川一益の他に、どこから聞き付けたのか分からないが松永久秀が新名屋に訪れた


「皆様、遠路はるばるようこそお越しくださいました。【初客心茶】の精神にておもてなし致します。」


私は茶道具の品々と、マオ・ジロウの自信作である瑠璃色の陶器製の天目茶碗を用意した。それを見た客人たちはその美しさに見惚れていた


「これは見事な茶碗だ。」


「う、美しい。」


松永久秀は名うての数寄者すきしゃであり、茶の湯にも精通しており、様々な茶器を収集している。また滝川一益も茶の湯に御執心で、様々な茶器を集めていた。そこへ丹羽長秀が尋ねてきた


「内蔵助殿、これは大陸より取り寄せたのか?」


「いいえ、この茶碗は、手前が雇った唐人、マオ・ジロウの作にございます。」


「おお、与四郎殿から見せてもらった黒茶碗に勝るとも劣らぬの一品ですな!」


「この茶碗なら城1つ、いや2つは建てられるほどの価値があろうな。」


羽柴秀吉が殊更に褒め、明智光秀は瑠璃色の天目茶碗の値段を査定した。改めて聞くと、凄いなと思った。土を捏ねて焼いた器が城を建てられるほどの値段を張るなんて・・・・


「新名屋、早速、その茶碗で茶を点ててくれ!」


松永久秀が催促をしてきた。茶人として、数寄者としてのさがが発動したようだ。他の面々の口には出さないが、やはりこの茶碗で茶を飲みたいようだ


「分かりました。」


俺は既に熱くなっていた茶釜からお湯を柄杓で取り出し、茶碗に入れ、清めた。そのお湯を建水に入れた。そして抹茶の入った茶器から、抹茶の粉末を茶杓で掬い茶碗に入れた後、柄杓でお湯を取り出し、茶碗に注いだ。注いだ後は、茶筅でかき混ぜ、お茶が出来上がった。俺は茶碗を最初の客人である松永久秀に渡した


「では。」


松永久秀は茶碗を手に取り、茶の作法をやった後、茶を飲み、口をつけたところを指で拭き取り、懐紙で拭いた。次に明智光秀、次に丹羽長秀、次に滝川一益、最後に羽柴秀吉と順々にお茶を飲んでいった


「なかなかの美味でござった。」


羽柴秀吉が茶を飲み終えて、挨拶をした。そして話は瑠璃色の天目茶碗へと移った


「新名屋、この瑠璃色の天目茶碗を作ってくれるか?」


「ええ、構いませんよ。ただ時と金がかかりますが・・・・」


「構わない、金に糸目はつけぬよ。」


松永久秀はこの瑠璃色の天目茶碗を気に入ったようだ。滝川一益は目の前にある瑠璃色の天目茶碗を見て・・・・


「内蔵助殿!すまないが、この天目茶碗を譲ってはくれないだろうか!勿論、礼は必ずする!」


「えっ。」


滝川一益からこの瑠璃色の天目茶碗を所望のようだ。まあ別に譲っても構わないが・・・・


「この茶碗でよろしいのですか?」


「構わない!是非、譲ってくれ!」


「まあ、構いませんが・・・・」


「おお、内蔵助殿、かたじけない!」


滝川一益は感激のあまり何度も頭を下げた。松永、明智、丹羽、羽柴からは呆れた表情で滝川一益を見ていた。滝川一益の茶器の収集癖は松永久秀に勝るとも劣らないほどだな。茶会が終わった後、滝川一益は清めた瑠璃色の茶碗の入った桐の箱を大切に持ち抱え、そのまま岐阜へと帰っていった。明智、丹羽、羽柴、松永から滝川の茶狂いに呆れつつ、例の瑠璃色の天目茶碗について聞かれた


「滝川殿の茶狂いにも、ほとほと困ったな。内蔵助殿、よろしかったのか?」


「ええ、また作ってもらえばいいので・・・」


「はは、内蔵助殿が羨ましいな。」


「そうでござったか、それを知っていたら・・・・滝川殿が羨ましい!」


明智光秀はまた瑠璃色の茶碗が作れることを羨ましがり、羽柴秀吉は瑠璃色の天目茶碗を手に入れた滝川一益に嫉妬と羨望を抱いた。自分も滝川のように素直になっていればと・・・・


「それにしても瑠璃色の茶碗、今にしては惜しいことをしたな。」


「まあ、某は作ってもらうつもりですがな(笑)」


丹羽長秀も少なからず茶碗を欲していたようだ。明智、丹羽、羽柴の3人を尻目に松永久秀は自分だけの瑠璃色の天目茶碗を注文したのだから鼻高々である


「松永様、出来上がりましたら、お届けいたします。」


「おお、楽しみにしているぞ♪」


その後、再び瑠璃色の陶器製の天目茶碗が出来上がった。滝川一益に譲った瑠璃色の天目茶碗よりも精巧で秀麗な茶碗が出来上がった。その後、松永久秀のいる多聞山城へ届いた


「おお、待ちかねたぞ!」


松永久秀は新品の瑠璃色の天目茶碗を手に取り、その精巧さと秀麗さを兼ね備えた茶碗を見て・・・・


「うん、この前の茶碗よりも一際、美しい!」


松永久秀は自分専用の茶碗として使い、息子の松永久通や家臣たちから羨ましがれ、その茶碗で茶を飲んでみたいと、久秀に懇願したが、久秀は頑として聞き入れず、一人だけで独占した


「うむ、この茶碗は平蜘蛛に勝るとも劣らぬ!」


平蜘蛛の茶釜と一緒にこの瑠璃色の天目茶碗を共に出している。松永久秀は後に平蜘蛛の茶釜を新名内蔵助に預け、瑠璃色の天目茶碗とともに自爆したのは別の話である。その後、滝川一益から礼の品々が届いた。手紙もあり、茶会を開く際は、必ず瑠璃色の天目茶碗を出しているらしい


「まあ、どう使おうが本人の自由だしな。」


後に滝川一益が所有する瑠璃色の天目茶碗は滝川家の家宝として保管され、後に未来で滝川一益の子孫が某テレビの鑑定団で瑠璃色の天目茶碗が約3000万円の高値がつけられたのである


その後、新名屋に織田信長がやってきた。どうやら瑠璃色の茶碗の噂を聞きつけ、今度は自分にも作ってほしいとのことだ、ただし瑠璃色の天目茶碗ではないようだ


「利三、ワシ好みの派手な茶碗を作れ!」


「はあ~。」


その後、マオ・ジロウにお願いして、ど派手な茶碗を作ることにした。派手好きな信長のために金箔をふんだんに使い、更に織田の家紋である【織田木瓜】と【天下布武】の朱色の文字を施した黄金の天目茶碗が完成した。これでもかというほど金一色に【織田木瓜】と【天下布武】の朱色の文字が目立っている。完成した事を信長に伝えると、信長は颯爽と現れ、例のど派手な黄金の茶碗を拝見した


「うむ、ワシらしく派手じゃな!」


信長はこの黄金の天目茶碗を気に入り、持ち帰った。その後、莫大な金子が届けられた。なお黄金の茶碗を見たマオ・ジロウは・・・


「旦那さん、この国の王は、随分と悪趣味だな。」


「いうな。」


後にこの黄金の天目茶碗は信長の子孫が継承し、後に未来で織田家歴史博物館で展示されたのは言うまでもなかった

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