第99話
と、オイラがそんな事を考えた刹那、ソルファージュ艦内にアラート音が鳴り響いたッ⁉
「何で、この艦は、こんなに次から次にアラートが鳴るの⁉ 今度は、誰が襲って来たのッ⁉」
戦々恐々とするオイラ。
「どうしたセリアッ⁉」
バーダック艦長がセリアさんに迅速に訊ねる。
「デッキ内で爆発が起こった模様です。あッ⁉ 今、ハッチが破壊されてフェアタイディゲンが艦外に出撃しましたッ‼ デッキのリーダーたちに通信を繋ぎますッ‼」
と、焦りの声で言いつつ、ミケさんとマカロニさんとの通信を繋ぐセリアさん!
「せっかく強奪したGたちが、いくつかお釈迦にされてもうた……。ああ……ああぁぁ……。」
と、モニターに写ったミケさんが、おもむろに要領を得ない通信をして来た。
「いったい、どうなってんだッ⁉ レッドバイソンかラフィンスカルの連中の誰かが艦内に紛れ込んでいてフェアタイディゲンが強奪されたのかッ⁉ 今のミケでは要領を得んッ‼ マカロニッ‼ 詳細を報告してくれッ‼」
バーダックさんがマカロニさんに事の詳細を訪ねる。
「ミケさんと一緒にフェアタイディゲンに内蔵されているA・Jをもっと大幅に詳しく調べる為に、フェアタィディゲンの頭部を外部から大きく分解しようとしたら、A・Jが自衛的に防御行動に出た様な感じでフェアタイディゲンが暴走して動き、デッキ内でレーザーライフルを発砲したのです。その際、強奪した数機のFGが破壊され、更にハッチが内部から壊されて、そのまま外に逃げられたのですよ。」
焦りながらも、丁寧にマカロニさんが説明して来る。
「高性能AIが高性能過ぎて扱い切れずに仇となったワケか……。」
バーダック艦長が、なるほどと頷く。
「フェアタイディゲンを修理した時と、補給した時、さっきざっとだけ調べた時は、A・Jを切っていたのですが、頭部を分解する前に、A・Jを試験的に付けてデータ検証をして、その後にA・Jを切り忘れたのが痛かったです……。その上、フェアタイディゲンの敵味方信号をレッドバイソンが使用していた時のままで、ちゃんとこちらの機体や人員を、味方識別に変更し忘れていたのが最大の失敗でした……。ボクの怠慢でした……。申し開きもありません……。」
自身の不備を詫びつつ、冷静にマカロニさんが言って来る。
「ああ……ああ……この破壊されたFGたち……壊されてへんかったら…ちゃんと売れて金になっとったのに……ああ……ああ……ああぁぁ……。」
ミケさんが放心した様に呟く。
「過ぎちまったモンは仕方ないですよ、姐さん。」
と、ケビンさんがフォローの言葉を掛けるが、
「……クッ……クックックッ……フッフッフッ……ハァーハッツハッハッ‼」
突然、ミケさんが笑い出したッ⁉
「リーダーが壊れたッ⁉」
驚きの声を上げるユリンさん。
「嫌な予感しか、しないなぁ……。」
と、リッドさんが零す。
「ブッ壊す‼ ブッ壊したるッ‼ あのフェアタイディゲンいうG²、追い掛けてブッ壊すでッ‼ 金の恨みの恐ろしさを教えたるんやッ‼」
思いっきりキレギレで言って来るミケさん。
メチャ怖いんですけどッ!?
「まあ……当然こうなるよな……。」
ケビンさんが諦め顔で言う。
「ちょッ⁉ あんな強かった機体を追い掛けても損害が増えるだけっスよッ⁉ 辞めときませんッ⁉」
オイラが、何とか懇願してみるが……、
「あかんッ‼ 絶対にブッ壊すんやッ‼」
ミケさんが目を大きく見開き意気込んで叫ぶ。
ミケさんのブレーキ、完全に壊れた模様ですよッ⁉
「まあ、金絡みでキレたうちの姫さんは抑えられん。悪いが付き合って貰うぞ、みんな!」
ミケさんの意気込みを見て取って、バーダック艦長がオイラたちを諭す。
「ああ……すんごい、またデッドループしそうな予感がする……。」
涙をチョチョ切らせ嘆くオイラ。




