第98話
「何か、ミケさん、凄い剣幕でビックリしたっス……。」
「ボクも驚きました。」
二人して顔を見合わせ、驚きを伝え合う、オイラとトニーさん。
「悪い、ロクスリーとトニーには話してなかったな。守銭奴とか金関係の言葉は姐さんにとって禁句なんだ。」
ケビンさんが、本気で済まなそうに、手の平を合わせて、頭を下げて来る。
「まあ、アイツにも色々あんだよ! 金の話の時はアイツには、もう少し気を使ってやってくれ。普段は見ての通り根は凄く良い奴だからな。スマンが頼むぜ、ロクスリーもトニーも。」
バーダック艦長も、何かバツが悪そうに、ミケさんがアレほどお金の話で激昂した理由は伝えず、オイラたちに、今後、気を付ける様にと言って来る。
「了解っスよ。まあ、さっきのは、ビックリしたっスけど、いつもは確かに気の良い優しい人っスからね。これからはミケさんにはお金の話は控える事にするっスよ。」
詳しい話は何も聞けてないけど、誰でも聞かれたくない事ってあるよね。
きっと、この話が、ミケさんや皆さんにとって、そうなんだと判断してみる。
「ボクも気を付けます」
トニーさんも、深くは聞かずに、了承の言葉を告げた。
「すまんな、ロクスリー! トニー!」
先ほどのバツの悪そうな顔から、ニッコリ笑顔に変わるバーダック艦長の表情。
よっぽど、ミケさんの事が好きなんだろうね、この人。