第93話
そうオイラが意気込んだところで、
「アイツは鉄壁の防御やけど、攻撃の瞬間は隙が生まれるはずや! カウンター狙いでアイツの攻撃を待つで!」
「了解だ、姐さん!」
ミケさんたちがスカーレットの攻撃を誘い、カウンターの構えを取る。
しかし、待てども、待てども、スカーレットの攻撃が来ない⁉
「オカシイ……。このG²、全然、攻撃してこぉへんぞ?」
「姐さん、コイツ、もしかして?」
ミケさんとケビンさんが、疑問の声を出す。
そして、トライバレルとAトライバレルのレーザーを同時に放つ!
「無駄だって言っているだろ!」
スカーレットが放たれたレーザーを、凄まじい勢いで、盾で防ぐ!
しかし、その攻撃後に、タイニーダンサーとラーゼンレーヴェがスカーレットに急接近し、目と鼻の先に移動するが、全く反撃の動きを見せない⁉
コイツ、まさか⁉
「ここまで近づいても、攻撃がこうへん! このスカーレットいうの動かしてるAI、防御や反撃は、めちゃめちゃ上手いけど、自分からの攻撃行動が、できへんねんや!」
だよね!
アレだけタイニーダンサーとラーゼンレーヴェが近寄ったのに、攻撃行動をしてこないって事は、そういう事なんだ!
「チッ! 野郎共! タイニーダンサーに集中砲火! 頭を叩いて、烏合の集にしてやれ!」
ジャドがレッドバイソンメンバーに指示を出す。
でも、自分で攻撃せず、部下に攻撃命令を出すって事は、ミケさんの指摘が当たっている事の証明って事だ!
「ケビン! 先にゲズとジーナの雑魚部隊を殲滅! アレ行くで!」
「あいさ! 姐さん!」
2機で敵陣の中央に突撃し、タイニーダンサーのトライバレルと、ラーゼンレーヴェのAトライバレルの銃口に光が宿る!
あ…あの攻撃は!
『合体攻撃! ガンスリンガーパレード!』
タイニーダンサーとラーゼンレーヴェが、背中合わせになり、チャージした強力な偏向レーザーをローリングしながら撃つ‼
「な……何て威力のパルスレーザーだ⁉」
「グッ…脚をやられた⁉」
レッドバイソンのゲズとジーナの部隊が、次々に被弾して行く!
「こっちも忘れないでよね! ユリンちゃん、砲撃行っきま~す!」
「ボクも…恩返しの為に、少しでも…ッ!」
「ボクも居ますよ?」
「お…オイラだって!」
ユリンさんの砲撃を皮切りに、オイラたちもゲズとジーナの部隊に、砲撃を加える!
「グワッ……⁉ 弾幕が半端ねぇ⁉」
「こんなのどうにもならねぇよ⁉」
オイラたちの砲撃に、次々とレッドバイソンのゲズやジーナたちが撃墜されて脱出ポッドで逃げていく。
そして、スカーレットだけが残った。
「フフン。部下は全員脱出したみたいやで? ここでクエスチョン。たった1機でも、うちらとヤル気……あるか…?」
ミケさんが、ニッコリと、でも目だけが笑ってない恐怖の笑顔でジャドに問う。
「ヒッ…ヒィッ⁉」
それまで、目が赤く光っていたスカーレットから目の光が無くなる。
そして、180度反転して、背を向けてダッシュで逃げる!
あ、アレ、多分、ジャドがAIを切って手動で操作して逃げているんだ!
必死で逃げるジャド。
しかし……、
「逃がすか!」
無常にも、アリーエルスラスターで超加速のラーゼンレーヴェが、一気にスカーレットを追い越し、目の前からスカーレットの眉間にAトライバレルを突きつける。
更に、タイニーダンサーもダッシュで追いつき、トライバレルを構えて、左右から挟む形になる。
「面白そうな機体やから、その機体は置いて行ってもらおうか?」
「命だけは助けてやるから、さっさとその機体から降りな!」
ミケさんとケビンさんが、ニッコリと、でも、目が笑ってなくて座っている、恐怖の笑顔で、ジャドに微笑みかける。
「ヒッ…ヒィッ…わ…分りました! も…持ってっちゃって下さい! だから命だけは、お助けーッ‼」
いそいそと、胸部コックピットを開け、タラップを伝って地に降り、ダッシュで逃げいくジャド。
レッドバイソンのGSと合流し、脱兎の如く逃げていく。