第86話
「ミケ=スターライト! タイニーダンサー! 出るで!」
ミケさんが、最前線のケビンさんに合流する。
「さて、うちらトロイメンカッツェにケンカ売ろういうアホは、どこのどいつやッ⁉」
ミケさんが、睨むように前を見つめる。
そこに、前方から、元から真っ赤なゲズと、全身を真っ赤に塗ったジーナの部隊が現れた。
ミケさんたちの前、1キロ先くらいで止まり、
「雁首揃えてお待ちとは、これは、これは。」
と、先頭の真っ赤なジーナが大仰な芝居口調で言って来る。
「フン! ゲズやジーナばっかじゃねぇか! そんな機体で、オレたちトロイメンカッツェを相手にする気なら、頭が湧いてるとしか思えねぇな!」
ケビンさんが、鋭い眼光で毒づく。
しかし、そのケビンさんの眼にも涼しい顔で、
「オレたちは深紅のTS、レッドバイソン! オマエたちの持っているGを、全部置いて行って貰おうか⁉」
何を思ってか、マジでいきなりケンカを吹っかけて来た。
マジで⁉ この人たち、ゲズとジーナだけなのに、このKGだらけのトロイメンカッツェにケンカを売るなんて、正直、バカだろ⁉
「失せな、三下共! 新米TSチームが、ラフィンスカルのスナッチャーザインの真似でもしているつもりみてぇだが、オレたちは、そのスナッチャーザインにも既に勝ってんだよ! オマエたちじゃ役者不足だってんだ!」
ケビンさんが、鋭い目付きを更に鋭くし、レッドバイソンと名乗ったTSたちを睨む。
しかし、そのケビンさんをレッドバイソンたちは、
「フフフ!」
「ヘヘヘヘヘ!」
大爆笑で迎えた。
「何やコイツら、ホンマにアタマ湧いとるんちゃうか⁉」
「何で、ここで爆笑なのよ⁉」
ミケさんとユリンさんが、訳が分からないと、頭にハテナを並べる。
「オマエら、オレらはトロイメンカッツェだぜ⁉ あんま舐めてると、仕舞いにゃ、ぶっ飛ばすぞッ⁉」
ケビンさんが辛抱堪らんという感じで矢継ぎ早に問う。