第71話
「さて、ロクスリー君のGも出来たし、そろそろメインイベントと行こか、マカロニ。」
と、ミケさんが声を掛けてくる。
「メインイベント? まだ何かするんスか?」
ミケさんの言わんとする事が分からず、聞き返してしまう。
「シュタイガーンバオアーの性能テストや。データを取る為に、うちらが1人ずつ乗り込んでシミュレーターを起動するんや。」
「うん? シュタイガーンバオアーには、ミケさんは強奪時に乗り込んで適性が合わなかったのでは?」
「まあ、そうやね。やから、今日は、ユリンとマカロニとケビンに乗って貰おう思ってな。」
「でも、シュタイガーンバオアーは、ミケさんでも扱いきれなかったGっスし、ユリンさんたち、大丈夫っスかね?」
「まあ、そこは出たとこ勝負よ。実戦で使おうってワケじゃないんだから、気楽にできるしね。」
ユリンさんが、ウンウンと自分に言い聞かせるように頷く。
「ほな、まずはユリンからや。」
「オーライ、リーダー!」
ユリンさんが、シュタイガーンバオアーのコックピットに乗り込み、マカロニさんがシミュレーターを起動させる。
そして……。
「このKG、オカシイよ‼ このスーパー砲撃超人のユリンちゃんが、砲撃戦で、こんなにボコられるなんてオカシイよ‼」
ユリンさんが泣きダッシュでシュタイガーンバオアーのコックピットから出て来る。
シミュレーターを起動して直ぐに、ミケさんが搭乗した時と同じで、ユリンさんも気分の悪さを訴え、ミケさんの時と同じく、本来の操者能力を発揮できず、敢え無く撃沈という……。
「リーダーの言っていた通り、妙にクセがあるよ、このKG! そう、このKGが悪いの! エンジェルシードだったら、ユリンちゃん、こんな事ないもん!」
惨憺たる結果に、キレ気味のユリンさん。
「まあ、ミケさんの報告が正しいのが分かっただけでも収穫ですよ。では、次はボクが行きますかね。シミュレーターも、シュタイガーンバオアー内でボクが起動しますから、皆さんは、待っていて下さい。」
そう言って、マカロニさんがシュタイガーンバオアーに乗り込んだ。
そして……。
「これは……予想以上の扱いにくさですね……。」
マカロニさんがシミュレーターを終わらせ、シュタイガーンバオアーから出てくる。
マカロニさんも、気分の悪さを訴え、やはり本来の操者能力を発揮できず、ボコられて撃墜っていう。
「これ、オレが乗る必要ねぇんじゃねぇの? 誰が乗っても、ダメなんじゃねぇの、このKG?」
ケビンさんが、渋い声を出す。
まあ、この惨憺たる結果を見ると、オイラでも、そう思うしね。
「あかんて。アイツから、ケビンのデータも取れ言われてるんやから。うちも、このKGやと、ケビンでもアカンとは思うけど、アイツのオーダーは、聞かんと面倒やし。」
「へいへい。了解ですよ。じゃあ、サクッと乗ってサクッと終わらせ……」
と、ケビンさんが軽口を叩いてシュタイガーンバオアーに乗り込もうとしたところで、ソルファージュのアラート音が鳴り響いた!