第7話
38がチューニングをしてくれている間に、己が人生を反芻してみる。
とりあえず、自身の名前はロック=ロクスリー。
先日、誕生日を迎えたばかりで15歳。
15年前の終戦の後に生まれたらしいから、いわゆる戦争を知らない世代。
鏡で自身を見る分には中肉中背に見える。
青色が好きで、青のデニムパンツ、白のクロースに、青のレザージャケット、額に群青のバンダナ。
黒髪で、耳たぶが見えるくらいの長さで、上が短く下へ行くほど長くなるレイヤーの入った髪形のショートレイヤー。
で、顔も声も自身の判断基準では普通ってところかな。
自身の住む星は惑星ティアナと言い、昼にこの星を照らしている恒星はソルシエルと言い、夜にこの星の周りを巡っている衛星はラナシエルと言う。
父さんの名はリィト=ロクスリー。
母さんはクリーエル=ロクスリー。
父さんは世間では伝説のTHと言われるほどトレジャーハントを生業としていたらしく、色んなところでWGやFGなどのトレジャーを発掘していたらしい。
そして、母さんはTSをしていたらしい。
TSって何かっていうと、一番簡単に言うと、要は、強盗さんだね。
村や町などに配備されたWGやFGなどや、THたちが発掘して見つけたKGなどのレア品のトレジャーなどをも横から奪う悪い人だね。
で、母さんは、父さんと会うまでは、村や町などからWGやFGなどを強奪したり、THたちが発掘したトレジャーを横取りしたりしていたらしい。
で、母さんは、父さんの発掘したトレジャーを強奪しようとして、逆に父さんに撃退されて惚れ込んだとの事。
そして母さんも父さんの仲間になって一緒にTHをする様になったらしい。
でも、オイラが5歳の時に、ハンティング中に事故で母さんは亡くなったらしい。
その現場を見てないオイラからしたら、実は生きていたら良いのにと思うところ。
母さんは独特の訛りの言葉を使っていた記憶がおぼろげにあり、オイラ自身も、たまに訛りを含んだ言葉で話してしまう時がある。
母さんの葬儀の後に、父さんはTHの職業を辞めて、TH時に稼いだ資金を使って、この村を生み出し、そして、この村に居ついてWGでの工事作業の職一本にする様になった。
オイラはというと、さっきも少し言った様に、父さんの幼少期の初めてのトレジャーハントの際に拾って来たという38を使って、その時に父さんが一緒に拾ったというACで遊んでばかりのいわゆる鍵っ子という奴であり、父さんは特に咎める事も褒める事もなく、一緒にプレイしてくれる事が多かった。まあ独りでプレイしている時も多かったけどね。
ACは、この年になるまでずっと熱中していたソフトだが、下手の横好きという奴で、CPUとの対戦ですら対戦モードでは逆の意味で抜群の性能を発揮していた撃墜王ならぬ撃墜され王だったりする。