第69話
「まあ、アプリのインストールは、これで良いでしょう。では、次は、ロクスリー君のG選びですね。」
「うん? オイラのG選び? オイラのGは、乗ってきたゲズで良いのでは?」
マカロニさんの発言の意図が分からず聞き返してみる。
「せっかくファトス村で、ゲズだけでなく、ザヌスやガトナスも強奪して来たのですから、ロクスリー君が、それらのGに、適正があるか見る方が良いと思うんですよね。」
「やね。うちらの仕事は荒事が多いんやから、ロクスリー君が、ゲズより性能の高いGに適性があったら、戦力アップになって、仕事もし易くなるしね。」
マカロニさんの言葉をミケさんが次いで解説してくれる。
「まあ、確かに、そうっスね。ザヌスやガトナスに乗れたら、オイラの戦績も、少しはマシになるかもっスね。」
「まあ、とりあえず、ザヌスとガトナスに乗って、シミュレーターを起動すりゃ良いんじゃねぇの?」
ケビンさんが、ミケさんからの罵声を待ちきれなくなった様子で、口を挟んで来る。
「ですね。では、Gデッキに行きましょうか、ロクスリー君。」
「ハイっスよ!」
Gデッキに、オイラと、ミケさんと、ケビンさんと、ユリンさんと、マカロニさん、という、トロイメンカッツェのG部隊揃い踏みで訪れる。
「まずはガトナスから行って見ましょう。」
マカロニさんが、ガトナスへの搭乗を促して来る。
「ほいさ。」
ガトナスのコックピットに乗り込む。
「コックピットのハッチを閉めて下さい。シミュレーターの起動は、外部からボクがやります。」
「ほいほいさ。」
ガトナスのコックピットのハッチを閉める。
ガトナスのコックピット内の360度モニターが起動する。
「では、シミュレーターを起動します。シミュレーターでは、市街地のMAPで、ゲズ3機と戦って貰います。ガトナスの本来の力が発揮できれば、何とか倒せる強さに調整しておきます。では、ロクスリー君、どうぞ。」
そうマカロニさんに言われてから、ガトナスの360度モニターが、さっきまでのGデッキの景色から、市街地に景色が変わる。
シミュレーターが起動したって事なんだろう。
『マスター、右舷より敵小隊、こちらに接近。』
「ガトナスは高機動近接格闘機体なんだから、防戦より、こっちから攻勢に出る方が良いよね! よし、こっちから攻めちゃうぞ!」
ブースターを噴かせて敵小隊に突撃!
「って、うぇッ⁉ 加速し過ぎ⁉」
噴かしたブースターを適正に処理できず、敵小隊を追い越してしまう。
「ちょっ…ど…どこまで行くの⁉ 止まれ! 止まれってば⁉」
何とか止まるが、こちらが体勢を整える前に、後ろからゲズのバズーカが襲ってくる⁉
ちょ…まっ⁉
「と…とにかく後ろを向かなきゃ!」
さっきのガトナスの加速性を加味して、できるだけゆっくり振り返るが、
「ああぁぁ…⁉」
ゆっくりガトナスを振り返らしていると、ゲズのバズーカが、ガトナスの胸部コックピットに直撃!
「流石にゆっくり過ぎた⁉」
アラートが鳴り、モニターが赤く明滅し、360度モニターの景色は市街地からソルファージュのGデッキに戻った。
「ガトナスはダメですね。ガトナスの高機動に、ロクスリー君が対応できてないです。」
「す…すみません…。でも、重装甲のザヌスなら!」
と、意気込んで、今度は、ザヌスに搭乗し、また、シミュレーターを起動!
……したんだけど…。
「ザヌスもダメですね。」
マカロニさんが無情にも告げてくる。
重装甲砲撃型FGのザヌスなら、ゴリ押しできると思ったんだけど、早々に敵小隊に囲まれて、重装甲で重くて脱出できなくて、ボコられて撃墜されたっていう…。
どんだけダメなの、オイラ…ッ⁉
『マスターの弱さは異常であると判断します。』
「やめて38‼ もうオイラのライフはゼロよッ⁉ ダメなのはオイラ自身が一番良く分かったから、これ以上、傷口に塩を塗らないでッ‼」
耳を塞いでイヤイヤするオイラ。