第68話
「よし、アプリのインストールが完了しました。」
マカロニさんが、38のディスクソケットから、ペタバイトディスクを取り出してケースに入れる。
しばらくの後、38の中央にあった用途不明の謎の装置から、メチャクチャ可愛い美少女の3Dの立体ホログラムが現れた。
幼げだけど整った顔の、お団子頭の女の子が、白を基調として青の混じったドレスを着た姿で佇んでいる。
「何、コレッ⁉」
驚くオイラ。
「わ~、カワイイ!」
ユリンさんが感嘆の声を上げる。
「3Dアバターというモノらしいです。OSを擬人化したキャラクターの絵をホログラムにするというアプリですね。」
「前から、38の、この装置、何の為にあるのか謎だったけど、こんなモノだけの為に、こんなにスペース取っていたのッ⁉ すんごい無駄な事にマシンの容量を使っているよねッ⁉ この装置とアプリ、ぶっちゃけ、無くて良くねッ⁉」
マジ、どんだけ無駄な装置なのッ⁉
「いえ、これ、良く見れば分かりますが、普通のホログラムと違って、どの角度から見ても、ちゃんと見えるようになっているのですよ⁉ しかも、OSの人工知能の意思で動くのですよ⁉ 実は、科学の結晶ともいえる、とてつもなく凄い事をしているのですよ⁉」
と、マカロニさんが興奮気味に言って来る。
「う……う~ん……芸術とかも分からないっスけど、科学の凄さも、オイラには、あんましわかんないっスね。まあ、マカロニさんが、そこまで褒めるアプリなら、まあ、良いモノなんしょうね。まあ、だから、このままで使いますかね。」
うんうんと頷き納得するオイラ。
『マスター。この真の姿の私を見て、私の呼称を、この姿に相応しい可愛らしい呼称に変える気になったでしょう?』
と、38のアバターが、オイラにウィンクをしてくるが、
「いや、38は、もう、38のままでいいんでないの? 主操者を父さんからオイラに変えてから、ここまでずっと38って呼んでいたから、何か変えるとシックリ来なそうだし、38の方が何か親しみを感じるしね。」
うん、その方がしっくり来るよね。
『私の、この愛らしい真の姿を見ても、その呼称を選ぶマスターのセンスは、とてつもなく異常であると判断します。』
38のホログラムが、じと目でオイラを冷たく見てくる。
あれ? オイラそんな目で見られるほど悪い事したっけ?
「でも、38ちゃんが、こんなカワイイ女の子なら、ネコやらせられないなぁ。」
「うん? ユリンさんが良く言っているネコってのは、女性だと無理なポジションなんですか?」
「無理だなぁ~。アダムとアダムのヘブンを行う重要ポジションだからね!」
どういう事なの⁉
何で男女じゃ成り立たない方程式に、オイラを導入しているの⁉
「今までは38ちゃんの声を、ショタっ子ボイスだと脳内変換していたけど、この見た目じゃ、アダムのヘブンを担ってもらうのは無理だなぁ~。」
ショタっ子って何か気になるけど、聞くと更にやぶ蛇を突きそうで怖い…。