第58話
「でも、ゲズやジーナの内蔵OSの58とかが出回っているのに、ナンバー的に38って型落ち品なんじゃないんスか?」
ふと湧いた疑問をマカロニさんにぶつけて見る。
「あ~。それは確かに勘違いし易そうな事ですが、内蔵OSの58より、サーティーシリーズの38さんの方が新しいんですよね。」
マカロニさんが予想してなかった答えを言って来る。
「うん? 38の方が、ナンバーが古いのに? どういう事っスか?」
当然の疑問をぶつけてみる。
「58は、1058年に作られた内蔵OSで、サーティーシリーズの38さんは、2138年に作られた外部接続OSなんですよね。なので、58より、38さんの方が、1080年分、新しいんですよね。」
「え⁉ 58より1000年以上後に作られたOSって、38って、そんな新しいOSだったの⁉」
マカロニさんの答えに、オイラが驚きの声を上げると、
「それも、本当の価値を知っているモノでは、値段の付けようも無いくらいの最高クラスの外部接続OSですね。」
と、マカロニさんが、メガネを中指でクイッと上げながら言って来る。
「マジで⁉」
驚愕にオイラが身を乗り出してマカロニさんに聞くと。
「マジです。」
マカロニさんが冷静に答えてくる。
「38、オイラの為に売られてくれるか⁉」
興奮冷めやらぬまま、38に聞いてみる。
『マスターは、親の形見の上に、幼少の頃から共に過ごした私を売る様な、鬼畜外道の人でなしになり下がるのですか?』
と、38が返してくる。
「ロクスリー君。サーティーシリーズの真の価値が分かる人では、サーティーシリーズには値段は付けられません。ですが、そこらの質屋では二束三文で買われるだけですよ? お父様の形見の品でもあるのなら、売るなんて選択肢は無いと思いますよ?」
と、マカロニさんが、冷静にアドバイスをくれる。
「まあ、売れるかどうかはともかく、確かに父さんの形見っスからね。それに、38の言う通り、38とはオイラが小さい頃からの腐れ縁っスからね。まあ、持っときますか。」
うんうんと、頷いて納得してみる。
『マスターにしては英断であると判断します。』
「ボクも、その方が良いと思いますよ。」
38とマカロニさんが、ホッとした感じで言って来る。
「という事で、38さん、ボクとも仲良くお願いしますね。それと、できれば、やっぱり分解させて貰って、38さんの球状ボディーに隠されたあられもない姿を拝見させて頂けると、なお嬉しいのですが! ハァハァ! ダメですかねッ⁉ ハァハァ‼」
マカロニさんが、再度、興奮気味に38に言う。
『マスター‼ この方は危険です! どうか、私に、この方の魔手が伸びない様に護って下さい‼』
38がオイラの腕の中でフルフルと振るえながら言って来る。
よっぽど怖いんだな、マカロニさんが。
「オーライ、相棒。オイラもオマエが分解されて使えなくなると、Gが操縦できなくなって困るから、死守するよ。って事で、マカロニさん、何度も言いますが38の分解、禁止で。」
「残念ですが……持ち主のロクスリー君が言うなら……仕方ありませんね……。」
マカロニさんが心底残念そうに、言って来る。