第53話
「で、リーダー? ゲズの方の子がロクスリー君って言うのは分かったけど、そっちのザヌスの人は? 何か、さっき、レナス=アラインって言っていたけど、レナス=アラインって、今の代は女性じゃなかったっけ?」
ユリンさんが首を傾げて聞いて来る。
あ、レナス=アラインが女性って話、ユリンさんも知っているほど有名なのね。
そこで、
「説明が遅くなり、申し訳ありません。私は、白の魔剣士レナス=アラインの14代目で、レナス=アライン=エイフェルと申します。女性のレナス=アラインというのは、私の師の、13代目レナス=アラインのレナス=アライン=ラナヴェルの事かと存じます。しかし、師は何を思われたのか、半年ほど前に、不意に私に二振りの魔剣を託し、私を14代目に指名したのです。ですが、まだ、私は半人前で、赤の魔剣を扱う事が出来ない為、アライン流の仮免許皆伝という状態なのです。故に、御師様からの命により、赤の魔剣を自在に使えるようになるまでの間、諸国を巡り、お困りになられている、お嬢様方をお助けする旅を続けているところです。御理解頂けましたでしょうか、見目麗しいお嬢様。」
と、レナスさんがユリンさんにかしずきながら言う。
「み…見目麗しいなんて初めて言われちゃったよ、リーダー! ど…どうしよう…リーダー! ホントの事だから対応に困るよ、リーダー!」
ユリンさんが顔を赤くしながら、顔を手で押さえながらイヤイヤしているが、ちょい言動に不穏なモノを感じます。ハイ。
「えーい! この万年お花畑脳が! 上手言われたくらいでふやけなや!」
ミケさんが面倒臭そうに対応する。
あ~、このユリンさんって、戦闘中も、ちょっと思ったけど、割と軽い人なのかもしれない。
「まあ、何にしても、助かったっスよ。ありがとうっスよ、レナスさん。」
オイラが、安堵と共に、レナスさんに感謝の言葉を伝えると、
「フンッ……。」
レナスさんは鼻を鳴らすだけ。
何だか、不穏な雰囲気…。ありゃ?
「何か感じ悪ぅ…。」
ケビンさんが口を尖らせて嫌そうな顔をする。
「まあまあ。ロクスリー君、ボクたちが来る前に、何か、レナスさんに失礼な事をして、怒らせたんじゃないですか? まあ、何はともあれ、リーダーを助けて頂き、ありがとうございます。」
マカロニさんがホッコリ笑顔をレナスさんに向けるが、
「別にオマエの為ではない。」
相変わらずレナスさんが素気ない態度を取る。
「コイツ、感じ悪い! 何だ、コイツッ⁉」
ケビンさんが、さすがに腹に据えかねたと言わんばかりに口を尖らせて言う。
「まあまあ、何か変わった人やけど、助けてくれたんは確かやし、悪い人やないと思うで。」
ミケさんが仲裁に入る。
「お嬢様をお助けに参るのが間に合って恐悦至極です。よくぞご無事で居てくれました。見目麗しいお方。」
レナスさんが、ミケさんに、キラキラの笑顔を見せて言う。
「うわ…うちも見目麗しいとか言われたで⁉ どうしよ⁉ うちも、こんなん言われたん始めてで、対応に困るで⁉」
ミケさんも手で顔を覆ってイヤイヤする。
あれ? アナタ、さっき、ユリンさんが同じ事した時、咎めなかったっけ?




