第51話
「ケビン、アレ行くで、アレ!」
「了解だ! 姐さん!」
ミケさんの指示を聞き、ラーゼンレーヴェが右腰部のAトライバレルを取る。
そして、銃口にレーザーが収束していく。
あ……アレッ…レーザーをチャージしているのか…ッ⁉
「燃費は悪りぃが、コイツでッ! Aトライバレルッ! チャージレーザーだッ!」
Aトライバレルから、パルスレーザーの様な、偏向レーザーが広範囲に放たれる!
「そ…そんな…ッ⁉」
「グアッ‼ た…ただのパルスレーザーじゃねぇッ⁉ パワーがダンチだッ⁉」
そのザインさんの部下の人たちの驚愕の声の通り、偏向レーザーなのに、被弾したFGの装甲が異様に抉られている! 凄まじい威力だ!
「ケビンだけやないでッ⁉」
タイニーダンサーもトライバレルを構え、敵陣の中央に2機で突撃し、ラーゼンレーヴェと背中合わせになり、
『合体攻撃! ガンスリンガーパレード!』
2機揃ってローリングしながら、チャージした偏向レーザーをザインさんたちに向かって撃つ!
「ガァァ…ッ⁉」
「回避できねぇ…ッ⁉」
「こ…こんなの…どうしろってんだ…ッ⁉」
ザインさんの部下の皆さんが次々に悲鳴を上げる。
「みんな、連携や! うちらに続いてや!」
ミケさんが攻撃しつつ指示を出す。
「了解です、お嬢様。では、こちらも行くぞ?」
ザヌスの人も、相変わらず間合いを取る事ができない独特の動きで、ラフィンスカルのFGたちを、どんどん無力化して行く。
更に、
「目の前ばかりに気を取られてはいけませんよ?」
フェストゥングの鋭いスナイプも冴える…ッ!
そして、ダメ押しとばかりに、
「サポート型だからって舐めないでよね! ちゃんと砲撃もできるし! ユリンちゃんのエンジェルシードも混ざっちゃいま~す!」
ユリンさんのエンジェルシードも、タイニーダンサーや、ラーゼンレーヴェのと同系統のトライバレルらしき銃剣を構えて、レーザーと実弾を交互に乱射する。
「だ…ダメだ……こんな化け物たちにゃ…か…勝てねぇよ…ッ!」
「こ…こんな…こんなのが…ッ⁉」
ミケさんたちの一斉攻撃で、あれだけ居たザインの部下の皆さんが次々に撃破される。
「クッ…オレたちラフィンスカルが…こ…こんな……ッ⁉」
ザインさんが驚愕の声を上げるが……もう戦局はッ‼
「さぁ……ここで質問や? うちらと戦うのは、もう諦めて、Gたちを乗り捨てて、しっぽ撒いて安全に逃げるか……? 勝ち目の無い戦いを続けて、Gを全部撃墜されて、壊されたオマエらのGの部分パーツを、うちらにくれるか……どっちを選ぶんや…? なぁ……スナッチャーザイン…? まあ、うちらからしたら、しっぽ撒いて逃げてくれて、くれるGの損傷を少なくしてくれる方が有難いんやけど……それでもやるっちゅうんやったら……うちらは手加減せぇへんで…? 場合に寄っては……Gごと操者を撃墜してまう……なんて事も……あるかもしれへんけどなぁ……?」
ザインさんのKGの胴体部に向けてトライバレルを構えながら、淡々と、ザインさんに、恐怖の通告をするミケさんッ‼
「クッ……クァァァァッ‼ クソ…ッ‼ クソ…ッ‼ クソ…ッ‼」
どうしようもない圧倒的な戦力差に、悔しみの叫びを上げるザインさん……。