第43話
「クッ…この奇術師野郎! テメェのタネ、何となく分かったぞ! テメェ、変な動きで間合いを見誤らせているなッ⁉ テメェ、アライン流とかいうG剣術の流派の、レナス=アラインとか言う奴だろッ⁉」
ザインさんが吠える。
なるほど! あのザヌスの人は、何か特殊な動きで、オイラたちに間合いを見誤らせて、攻撃が当たった様に見せて当たらせず、逆に自分の攻撃も見誤らせて回避させない様にして、その上、剣戟が届いていない様に見せて届かせるという離れ業をやっているのか!
でも、アライン流? レナス=アライン? 誰じゃらほい?
「聞いた事があるで…この世界の、裏の世界で、アライン流っちゅう一子相伝のG剣術の殺人剣の流派があって、その流派の動きは、敵を幻惑し、間合いを見誤らせるって。そして、アライン流の頭首は、魔剣と呼ばれる超高出力デバイスの白い剣を使い、白の魔剣士レナス=アラインの名を代々襲名しとるって。多分、この兄ちゃんが、そのレナス=アラインなんや!」
なるほど、このザヌスの人、ミケさんたちみたいな裏の世界の人からしたら超有名な人なのね。
「何にしても、強い人が味方してくれるのは心強いっス!」
「やね。あ…でも、アレッ? 今代のレナス=アラインは女性やって聞いた様な気が…。」
「お嬢様。その話は、この場を切り抜けてから話します。今は、ここを切り抜ける事に専念して下さい。」
ザヌスの人が、ミケさんを諭して来る。
「了解や! ロクスリー君、今のうちらやったら、兄ちゃんの足手まといになる! この場は、この兄ちゃんに任せて、うちらは退避や!」
「了か…」
「させるかよ! 野郎共、このザヌス野郎は後回しだ! KGを集中攻撃! あの機体が奴らのウィークポイントだ! あの機体は不慣れで弱ぇぇ! アヴァドンを攻撃すれば、ザヌス野郎は、アヴァドンを庇わざるを得ねぇ! アヴァドンを庇ってあのザヌス野郎が被弾したところを畳みかけろ!」
あぁぁ!? ザインさんが部下の皆さんに最悪な号令を掛ける⁉
「了解だ、ボス!」
「へへへ! そういう事なら、アヴァドン共々、いたぶってやるぜ!」
ザインさんの部下の皆さんが、レーザーライフルやバズーカや垂直ミサイルを、シュタイガーンバオアーを集中狙いで乱射して来る⁉
「ああぁぁぁぁッ⁉」
ミケさんが堪らず盾を構える。
「クッ…愚劣な!」
ザヌスの人が、シュタイガーンバオアーを庇い、バズーカやミサイルを斬り払い、ライフルを盾でいなす。
でも、シュタイガーンバオアーを庇いながらな上に、物量が違い過ぎる⁉
ザヌスとシュタイガーンバオアーが、徐々に被弾して行く。
うがっ…最ッ悪ッ!
ざ…ザインさんたち、的確に、オイラたちの弱点を突いてくるッ⁉
『マスター、ミサイル多数。シュタイガーンバオアーをターゲッティングしています。』
「ああぁぁぁ…これはヤバ気な雰囲気ッ⁉」
シュタイガーンバオアーに向かったミサイルをザヌスの人が切り払う。でも、庇って動かなきゃ行けない為、動きが制限され、その上で数が多過ぎる為、ザヌスの人諸共にシュタイガーンバオアーが被弾する⁉
「下郎が! 何と恥知らずな戦い方をするッ⁉」
「クッ…うちが足を引っ張っとるから……クッ……ッ!」
ザヌスの人とミケさんが苦しそうな声を上げる。
クッ…これは…万事休すかッ⁉