第41話
「ええい! 何だか良く分からんが、野郎共、まずは、そのしゃしゃり出てきたザヌス野郎から片付けてしまえ!」
ザインさんが部下の皆さんに号令を掛ける。
「了解だ、ボス!」
「舐めた真似をした落とし前を付けさせてやるぜ!」
部下の皆さんがザヌスの人に群がる。
「ザヌスは砲戦用FG。格闘戦は苦手だろ? オレがナマス切りにしてやるぜ!」
部下の皆さんのうちの一人のジーナが、ザヌスにレーザーアックスを振るう。
けど、ザヌスに当たったと思ったその一撃は…⁉
「地鏡……!」
何故か、ザヌスの機影を捉えられず、空振った⁉
あれ? いま、確かに当たった様に見えたのに、どうなってんの⁉
「何をやってんだッ⁉ そんな鈍重機体に何故当てられんッ⁉」
ザインさんが苛立ちながら叫ぶ。
「野郎…ッ! 妙な動きをしやがるッ!」
ザインさんの部下のジーナが、再度、ザヌスにレーザーアックスを振るうが、相変わらず、当たった様に見えたのに、何故か回避されている。
「クッ…何でだよ⁉ 何で当たったはずなのに当たらねぇ⁉」
ザインさんの部下がレーザーアックスをブンブン振り回すが、いっこうにザヌスに当たらない。
「気は済んだか? では、こちらからも行くぞ?」
ザヌスの人が、白い柄のレーザーブレードを構える…ってアレ?
構えたのに、柄だけのままで、レーザーの刃を出して構えて無いぞ?
ああ! アレ、多分、レーザーセイバーって奴だ!
レーザーブレードのレーザーを、高出力に圧縮して保全しておいて、インパクトの瞬間のみに剣状に放つ高出力巨大レーザー剣。
本体ENは使わない上に、インパクトの瞬間しかセイバーのENも使わないので、燃費が凄まじく良いらしい上、瞬間的にしか使えない代わりに、その一瞬に出力を絞る為、大出力で威力も凄まじいって聞く。
でも、その性質上、取扱いには高い操縦能力が求められるとも聞くけど……。
って事は、この人、相当できる人ッ⁉
てか、それなのに、何で砲撃戦用重装甲FGのザヌスに乗っているんだ、この人⁉
とかオイラが考えているうちに……。
「白夜……!」
ザヌスの人が斬り付け…たんだけど……⁉
な…何か…斬撃の軌道が…ブレる様な…変な軌道じゃない…ッ⁉
そのブレる様な軌道が避け辛いみたいで、ザヌスの前のジーナが、回避もままならず、目にも止まらぬうちに、胴体を両断されていた。
「ばっ…バカなッ⁉」
ジーナの人が脱出ポッドで逃げる。
「何やってんだッ⁉ そんな鈍重なFGに何をてこずっているッ!」
ザインさんが苛立ちながら叫ぶ。
「クッ…ザヌスで格闘戦をしようなんて、そもそも運用方法が間違ってんだよッ!」
ザインの部下のガトナスが吠える。
「能書きは良い、次々と掛かって来い。」
ザヌスの人が、淡々と告げる。
「クッ…コイツッ!」
「舐めるなよ、テメェ!」
その言葉に、ザインさんの部下の皆さんがブッツリ切れて一斉に襲い掛かる。
しかし、さっきのジーナの人の様に、明らかに攻撃が当たったはずなのに、何故かザヌスに攻撃が当たらない!
「す…凄い…何モンやねんや、あの兄ちゃん⁉」
ミケさんすら驚きの声を上げる。