第39話
「ちょっ…み…ミケさん! 降参! 降参しましょう! 命あっての物種っスよッ‼」
涙目でミケさんにすがり付くオイラ。
だけど…。
「アカン! アカンのや! このKGだけはどうしても持って返らなアカンのや!」
何か意固地になってらっしゃるッ⁉
「おいおい、状況を見て言えよ? 嬢ちゃん状況が見えねぇのか?」
ザインさんが、半笑いで呆れた様に言ってくる。
「そ…そうっスよ…明らかにオイラたち劣勢っスよ⁉ もうどうにもなんないんスよ⁉」
涙目でなだめるオイラに、
「それでも何とかせなあかん!」
マジで言ってる、この人⁉
「嬢ちゃん、状況を見てモノを言えって言っているだろ? KGっていや、滅多に発掘されねぇ超レア品だ。部分パーツだけでも高値が付く。あんまり抵抗が激しい様なら、オレはGごとアンタを撃墜しても構わないんだぜ?」
ザインさんが半笑いながらもギラ付いた目で睨む。
「それでも! うちはこのGを手放さん!」
尚も、拘りを貫くミケさんッ⁉
「み…みみ…ミケさん⁉」
ちょっ…意固地にも程がありますよッ⁉
「馬鹿な嬢ちゃんだぜ。おい、野郎ど…『ザインさんッ‼』」
ザインさんの言葉にオイラの叫びを重ねる。
「あん?」
ザインさんが面倒臭そうにオイラをねめつける。
「オイラは! オイラは降参するんで! オイラだけは助けてくれないっスか⁉ 何なら、ザインさんの部下になっても良いんス! 小間使いでも何でもやるっスから! オイラだけは助けて下さい!」
涙を目に溜めて、あらん限りの声で懇願するオイラ。
「ちょっ…何言うてるん、君⁉」
ミケさんが驚愕の面持ちでこちらを見る。
「命あっての物種って言ったっしょ⁉ オイラはこんなとこで死にたくないの! その為なら、オイラは、靴を舐めろと言われたら舐めて生きるっス!」
必死のオイラに、
『マスターは最低だと判断します。』
と、38が冷静に言ってくる。
「最低で良いよ! オイラ、また死んで痛くなりたくないの!」
オイラが必死に説明していると、
「勝手に盛り上がるなよ小僧! ゲズなんか売っても二束三文にしかなりゃしねぇ! こっちはオマエのせいで多少なりとも被害が出てんだ! 落とし前を付けるためにも、オマエはキッチリ撃墜してやんよ!」
と、ザインさんが無常にも言ってくる。
「そ…そんなぁ……。」
万事休す…。まさかオイラの人生、ここでデッドループしちゃうの⁉




