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第36話

 そこに。

「残念ながら乾杯はできそうにないぜ? ミケ=スターライトさんよぉッ⁉」

 いきなり誰かが、こちらに通信をして来る⁉



『マスター、前方に機影多数。こちらを囲む様に展開てんかいしています!』

 38(さんぱち)が冷静に報告して来る。



「うぇ…ッ⁉ な…何なのッ⁉」

 うろたえるオイラ。


「誰やッ⁉」

 今までのニコニコ笑顔から一転して、強気な瞳でキッと前方をにらみながらミケさんが問う。



「ザイン=ウォルナス……ッ! アンタと同じTSトレジャースティーラーさッ!」


 名乗って来た相手が、ワザワザ通信で姿を見せてくる⁉


 金髪オールバックで浅黒い肌!


 見るからに係わり合いになりたくない部類の相手だと分かる!



「ラフィンスカルのスナッチャーザインか……ッ⁉」

 名乗りを上げて来たザインさんとかいう人におどろきつつも、相手の出方を油断なくうかがうミケさんに、


「何スか⁉ 知っている人なんスか⁉」

 ミケさんでおどろくなんて、どういう相手なのかと、怯えながらオイラが聞くと、


「ラフィンスカルっちゅう、相手が弱いモンやったら、TH(トレジャーハンター)からやろうが、自警団からやろうが、同業のTSトレジャースティーラーからさえ強奪するっちゅう性質たちの悪いTSトレジャースティーラーチームや。リーダーのザイン=ウォルナスの、その見境ない盗み具合から、付いたアダナが、横取りザインっちゅう意味で、スナッチャーザイン! こいつの悪名は、よう聞くで。」

 神妙な面持ちで、ザインさんたちの事を解説してくれつつ、すきうかがうミケさん。



 って、何ッ⁉ その関わり合いたくない度MAXの相手ッ⁉





「おいおい、自分はたなで、オレだけ悪者扱いかよ? 総強奪件数1057件。今日のを入れれば1058件。そのどれもが徹底的に盗めるだけ盗み尽くされていて、強奪したG(ギア)の総数は万を超える。その貪欲な強奪ぶりから、付いたアダナが、底なし沼の魔王のミケという意味で、アヴァドンのミケ! アンタの噂も良く聞くぜ?」

 ザインさんとかいう人が半笑いで言って来る。



「な…何か、ミケさんの方が凶悪そうなアダナじゃないっスか…ッ⁉」


「う…うるさいな!」

 ミケさんがちょいキレ気味で言ってくる。相当、このアダナ、嫌なんだろうなぁ。





「おうおう、オレを無視で盛り上がっちゃってまぁ。けど、オレがここに来た用件は、何となく察しは付くだろ?」

 ザインさんが笑いながらも鋭い目つきで、こっちをねめつけて来る。



「強奪したばかりで不慣れなこのKG(ナイトギア)を横から奪おうってやろ? けどな、そうそう上手くはいかへんっちゅうねん! いま、仲間に救難信号送ったからな! 確かに、今のうちらやったら厳しいかもやけど、直ぐにうちの仲間が駆けつけてオマエなんかコテンパンにしたるからな!」

 不利な状況ながら、強気の発言を貫くミケさん。



 そのミケさんのタンカを聞いて、

「ほうほう。言うね、言うねぇ。けど、それはそれまでオマエたちがてばの話だ! 野郎共、このお嬢さんに、世間の厳しさってモノを教えてやりな! KG(ナイトギア)を捕らえた奴には特別報酬で金貨10枚だ!」

 上機嫌で部下の人たちに命じるザインさん。



「ヒーヤッハー! 了解だ、ボス!」


「オレが特別報酬を頂いちゃうぜ!」


「いや、オレが貰うんだよ! へへへ!」


 6機ほどのFG(ファイターギア)に乗った、ヒャッハーな部下の皆さんたちが、いやらしい笑いを浮かべながらこっちに向かって来る⁉





『マスター、敵部隊、こちらを囲みつつ展開てんかい。接近して来ます。』

 ちょ…まっ…⁉


「ど…どど…どうするんスか、ミケさんッ⁉」

 敵、群がる、群がる。オイラ、ビビる、ビビる。


「不慣れな機体の今のうちらやとコイツらの相手もムズいけど、うちの仲間さえ来てくれたら、こんな三下共さんしたどもなんか余裕で撃墜や! そしたら、うちに盾付たてついた事を思いっきり後悔させて、逆にアイツらのG(ギア)を全部頂く!」

 ミケさんが鼻息も荒く言って来る。





「いや、意気込みは分かるっスけど、具体的にどうするんスかッ⁉」


「とにかく、時間稼ぎや! とりあえず、そこの林の茂みに逃げ込んで籠城戦ろうじょうせんや! 林の中に居れば、多少は敵の攻撃を木々が遮蔽しゃへいしてくれるやろ! 籠城戦ろうじょうせん鉄板てっぱんや! 行くで、ロクスリー君!」

 そう言って、早速、林の方に向かうミケさん。



「りょ…了解っス! だから、何とかして下さいっス! オイラの力じゃ、こんなヤバそうな人たちの相手なんてムリっスから! マジ、お願いっス!」

 涙目でミケさんにすがるオイラ。


「任せとき! 伊達に魔王の名は付けられてへんって事を見せたる!」

 オイラの泣き声にミケさんが強気で断言する。

 何て頼もしい!

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