第29話
ザヌスとガトナスが体制を立て直す。
「クッ……素人のロクスリーのゲズはノーコンだ! まずはシュタイガーンバオアーを捕まえる事に集中しろ!」
「了解ッ!」
「了解です!」
どうも、こちらは無視されている模様。
まあ、そうだよね。オイラが逆の立場でも、オイラの様な貧弱パイロットのゲズより、シュタイガーンバオアーの方を警戒するしね。
「何か自警団の人たち、凄い気合い満タンっスけど、そのシュタイガーンバオアーって機体はKGだし、アナタも通信でワザワザ姿を見せて話すくらいなんスから、強いんスよね?」
期待を込めたオイラの質問に、
「いやぁ~……。何かこのシュタイガーンバオアー言うKG、使い難うてな……。何か乗っとったら気分悪ぅなって来るし……。ぶっちゃけ、さっきのスタンネットで仕留めるつもりやったから、どうしようかね……?」
まさかの反応を返して来るTSの人ッ⁉
「本気でッ⁉」
「うん、残念ながら本気で……。」
本人も大いに困った様に、申し訳なさそうに呟くTSの人…。
『マスターは分の悪い方に乗ってしまった上に後戻りが効かないと判断します。』
「分かっているけど、うるさいよ、そこッ‼」
冷静にツッコミを入れてくる38に、イラ付くオイラ。
「それは好都合!」
ザヌスが距離を取ってバズーカをシュタイガーンバオアーに向けて放つ。
あの距離からだとレーザーガトリング砲や頭部バルカンは届かないか。
どうもヨギーさんは遠距離のアウトレンジからバズーカ主体で戦いたい模様。
しかし、思いの外、遠くに外れて地面に着弾する。
なんだろ?
この人、自警団の副団長さんで、この隊の隊長さんだけど、結構、操縦下手なのかもしれない。
シュタイガーンバオアーが距離を取る。
「とにかく、この場を凌がんとやね。まずはリーダー機っぽいザヌスを狙うのがセオリーかな? 指揮系統が乱れれば、勝機は、あるかもやしッ!?」
「じゃあ、オイラはッ!」
レンダーさんのガトナスに牽制射撃を行う。
「ロクスリーの射撃は気にするなッ! 素人のただの下手な威嚇射撃だッ! それより、シュタイガーンバオアーを沈黙させる事に集中しろッ!」
「了解、隊長!」
「了解です!」
酷い言われようだけど、事実、全く当たらないところが悲しい。現に今の攻撃も当たらないしね。
「ちょっ、アンタらッ! 不慣れな機体に乗っとるうち1人に、3機掛かりとか酷ないかッ⁉」
「KGに乗っている時点で、オマエが、ここで1番の脅威なんだよッ!」
言い合いながら、レンダーさんとイリーさんのガトナスのスタンアンカーを回避するシュタイガーンバオアー。
が、その合間を狙って撃ってるはずなのに、ヨギーさんのザヌスのバズーカは、相変わらず明後日の方向に飛んでいく。
この人、隊長だけど、実はオイラと同じくらい操縦下手っぽいなぁ。
でも、ガトナスが、かなりシュタイガーンバオアーの近くまで斬り込んでいくなぁ。