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第28話

































「思い出した…。死ぬって…こんなに痛いんだ……。」

 圧倒的な痛みが身体からだを突き抜ける。

 皮膚が溶ける痛み。

 骨が溶け落ちる痛み。

 眼球が焼けただれる痛み。

 全身が痛覚の神経になった様に痛みだけを身体からだの全てが感じる。

 そして、急激な意識フェード遮断アウト……。

 そこでまぶぎる発光はっこうした光景こうけい途切とぎれた。


 一瞬、世界が一点に集約される様な妙な感覚を覚えた。

 ボヤけた視界が、徐々に明瞭めいりょうになってくる。

































「よし、そろそろやな! オイ、オマエら! 相手になったるから、全員でい! 全機、まとめて相手にしたるわ!」


「ふざけた事を! KG(ナイトギア)とはいえ、1機で、この数を相手に出来るかよ!」



 目の前には『38』と書いて『さんぱち』とルビの振られたOSオペレーティングシステム操縦コンソール画面がめん…。



 何か、一瞬前に、恐ろしい事が起こっていた気がする…。

 確か、圧倒的に痛かったという感覚…。





 他に思い出せるのは、今朝の御飯に掛けるフリカケをノリタマとオカカの両方をケチらずに一緒に掛ければ良かったのに勿体ない気がしてノリタマしか掛けなかった事と、人類が滅亡しかけているという事実リアルと、『さっきも同じ事を体験したよねッ⁉』という確かな既視感デジャヴュ…ッ!





「ちょっ、皆さん、待ったッ! そのシュタイガーンバオアーとかいうKG(ナイトギア)の周辺の林にスタンネットが仕掛けてあるんすよッ! 除去して四方から囲みましょうッ! そうじゃないと、オイラが危ないッ‼」



「あんッ⁉ スタンネットだと? ッて、本当にあるじゃねぇかッ⁉ よし、除去して囲むぞッ!」


「ゲッ⁉ 何でバレてんねんッ⁉」





 シュタイガーンバオアーの四方を隊長機のザヌスと、ダジルさんのゲズと、他の団員さんのガトナスが囲み、ダジルさんのゲズの後方に、オイラのゾンドが控える形。



「うっしッ! これで死亡フラグ回避ッ‼ そして、これで確実に自警団に入れるよね⁉ やったー! ひゃっほーぅい!」



 その、大喜びで盛り上がるオイラに、

「何や、ずいぶん喜んどるけど、そんな自警団に入れるんが嬉しいんか?」


 シュタイガーンバオアーのパイロットさんが相変わらず姿を見せて通信してくる。ある意味、この四方を囲まれた状況だと自棄やけなのかもしれない。



「そりゃ、嬉しいっしょ。(TSトレジャースティーラーなんて滅多に来ないんスから)自警団に入団できて(のほほんと)暮らして行けるんスから! これで毎朝の御飯にノリタマとオカカのフリカケを放題ほうだいの生活も夢じゃないっスよ!」


「うわッ、夢ちっちゃ! どんだけ人間の器が小さいねん、アンタッ⁉」


「そこ! リアルに貧乏性なんスから、ほっといて欲しいっスよ!」



 TSトレジャースティーラーの人からのツッコミ気味のおどろきの声に、さらなるツッコミで返すオイラに、


「そうか、そこまで食うに困っていたか。だが、我ら自警団に入団すれば、食うに困る事はない。保障しよう!」

 ヨギーさんから、求めていた温かい言葉が掛かる!



「うわーい! ほら、やっぱし良い感じじゃないっスか?」

 っと、生活の保証の声に、さらに大喜びするオイラに…。



「いや~、でも、うちが事前に調べた話やと、アンタんとこの自警団の新入団員がホルモンされたっちゅう話やで……?」

 TSトレジャースティーラーの人が、驚愕きょうがくの話題を提言して来るッ⁉



「うぇッ⁉」

 ちょッ、なにそれッ⁉



「なッ⁉ 何を根拠にそんな話をッ⁉」

 隊長のヨギーさんがうろたえ出す。


「いやッ、実際にホルモンされたって子に直に聞いてやけど……。」

 そして、無情に告げられる言葉……ッ⁉

 

 

「そ……それは、私と彼との間での合意の上であって……。」

 あからさまな赤ら顔で詰まりながらヨギーさんが弁解の言葉を並べるが、それって……。



「合意の上ぇ~? やっぱし、そんな事やってたんや…。」


「しかも、アンタがったんスかッ⁉」





 まずはダジルさんのゲズの胸部コックピットにゾンドのマニュピレーターを突っ込んでゲズのコックピットを開ける。



 そのままゲズのコックピットの中のダジルさんを、そいっと林の中に、ぶん投げる。



「ちょッ⁉ てめぇッ! ロクスリーッ! 何しやがるッ⁉」

 驚愕きょうがく非難ひなんこえをダジルさんが上げているっぽいけど気にしな~い。



 そして、ゾンドに30秒後に隊長機のザヌスに突っ込ませる自働稼働機能オートパイロットプログラムを仕込んで38(さんぱち)をゾンドからぶっこ抜いて、ゲズに乗り込んで38(さんぱち)をゲズに繋げる。



38(さんぱち)ッ! とにかくこのゲズを、さっきのゾンドと同じ操縦で動く様に、一瞬でチューニングしろッ‼」


『今のマスターは、いつにも増して無茶苦茶だと判断しますが、この行動で、本当に、よろしいのですか?』


「男にホルモンされてたまるかッ‼ そんな事になるくらいなら、このシュタイガーンバオアーとかいうKG(ナイトギア)のパイロットのねえちゃんと一緒に逃げて、しっぽり行くわッ‼」





「ちょッ⁉ 何をしているんだ、ロクスリーッ⁉」

 ヨギーさんがおどろきの声を発する。



 そこに、さっきまで乗っていたゾンドが自働稼働機能オートパイロットプログラムで突っ込んで行く。



「こ……こらッ! 何をするッ⁉」

 ゾンドに全力で突っ込まれて不意を突かれたヨギーさんのザヌスはもろにぶつかる。



 レンダーさんとイリーさんたちのガトナスたちも、その不意のオイラの行動におどろいて身動きが取れないでいる。





『マスター、チューニング完了です。』

 ゲズのバズーカをザヌスとガトナス周辺に発射するッ‼


「そら、ブッするわッ!」

 当てるつもりはない、ただの牽制けんせい

 そもそも狙ってもオイラの腕では当たらない。


 でも、これで!





「よし、何や分からんけど、ようやったで、ロクスリー君ッ!」

 そう、この一瞬の緩みの間で、シュタイガーンバオアーが自由になる。


 自警団のFG(ファイターギア)たちの囲みから逃れるシュタイガーンバオアー‼


 よッしッ! 計算通りッ!





「うッし! 全力で助けて逃げるんで、後でしっぽり行かせて下さいっス!」


「しっぽりは、いかへんけど、助けてくれたお礼に、うちらの仲間に入れたる! だから、今は、ここを切り抜けるで!」


「うぃっス!」

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