第27話
「何かシュタイガーンバオアーとかいうのに乗っている人に散々に言われているっスけど、自警団の方々、オイラも手助けするんで、後で自警団に入団、滞りなくお願いっスよ!」
「セコイ話だが仕方ねぇ! その分、今、働けよ!」
「あいさ! じゃあ、スムーズに通信会話する為に、皆さんのお名前プリーズで!」
「オレは自警団副団長で、この隊の隊長のヨギー=クラウスだ。」
ザヌスに乗った、副団長との事らしいヨギーさんは、オイラくらい髪を伸ばした割と整った顔の方。
「こっちはレンダー=スッコティーだ! 役職には特に付いてないがな!」
ガトナスに乗った、レンダーさんは、普通って感じの姿で、割と特徴がない感じの姿だけど、割と強気っぽい印象。
「僕はイリー=メルムスです。同じく役職には特に付いていませんが、ロクスリー君、宜しくお願いします。」
もう一方のガトナスに乗った、イリーさんは、凄く礼儀正しい言葉使いとは裏腹に、見た目はかなりの筋肉質で強面。
「ほいさ、ありがとで。じゃあ、こっちも行くっスかね。」
自警団の方々と一緒に、シュタイガーンバオアーに向かって一気に距離を詰める。
全員で四方から。
オイラのソンドはダジルさんの後ろからシュタイガーンバオアーの周りを囲む。
と、その時……。
「そこやッ! せいッのッ!」
周辺の林から、何かが絡みついてくる。
シュタイガーンバオアーをドーナッツのワッカの中心にしてドーナッツ型にオイラたちの機体の上の林から網が降って来た。
「スタンネットッ⁉」
「しまったッ‼」
「クッ……ッ!」
「これは……ッ⁉」
「何て事ったッ⁉」
オイラやヨギーさんたちが口々に叫ぶ。
スタンネットというのは、強烈な電気が流れている対G用の巨大ネットで、今の様に、対Gのトラップとして使われる事が多く、このネットに引っ掛かったGは流された強烈な電気によって、ジェネレーターの熱暴走で、名前の通り、スタンさせられてしまう…。
そして、オイラたちの声も虚しく、一気にオイラたちのGの動きが止められる…。
こういう風にジェネレーターが止まれば、流石にWGだろうがFGだろうが、身動きが取れなくなる。
「おっしッ! クリティカルヒットやッ!」
シュタイガーンバオアーのパイロットさんが歓喜の声を上げる。
「クッ!」
「アァァーッ!」
「畜生ッ!」
「こんな事でッ!」
ダジルさんやヨギーさんたちから、次々に悔しみの言葉が漏れる…んだけど…。
「まあ、オイラ的には、こういうのでも一応ガンバったから、自警団に入らせてもらえて全然良いんスけどね!」
自警団の皆さんの悔しみを他所に、一人、ホクホク顔のオイラ。
だったんだけど…ッ⁉
『ま…マスターッ! 大変ですッ! 自警団の方の装備がッ!』
「は? 急に騒ぎ出してどうしたってのって……うぇッ⁉」
38の報告に辺りを見回すと、スタンしたダジルさんのゲズが構えていたレーザーブレードが、スタンした影響で、ゲズの手から落ちて丁度こちらのゾンドのコックピット部分目掛けて落ちてくるッ⁉
「マジでッ⁉」
質量だけでも超質量兵器。
その上、青色のレーザーが効いたまま熱を放ちつつ落ちて来る。
「ちょッ‼ まッ‼」
回避もままならず、驚きのままに熱量が全身に降り注ぐ!