第21話
それはそうと……。
「ちょ、38? Gラックがあるだけで何もないぞ?」
基本、Gは、G倉庫などに収容する際、GラックというGを安置して修理や補給などをし易くする為の装置に設置する。
で、38に指定された場所にはGが出撃し終わった空のGラックがあるだけ。
うぉ~い⁉ どうなってんの⁉
「しかも、ここ、オレのゲズのラックじゃねぇかッ⁉」
ダジルさんが横から割って入って話してくる。
うぉいッ⁉
ダジルさんのゲズのラックかよッ⁉
「大丈夫なのかよ、38ッ⁉」
『ノンプロブレムです。そのGラック周辺に前マスターが設置した接続端末があります。』
「えっ、そうなの?」
Gラック周辺の壁をチェックしてみる。
「おおッ!」
確かに接続端末がある。
「で、これどうすんの、38? 接続端末はあったけど、これ何かしたら地下への通路が現れるの?」
『イエス、マスター。』
「何したら良いか分からないんだけど? どうやったら通路に出られるの?」
『前マスターが、ある特殊な動作で通路が現れる様に動く様にしてあります。順番に工程を言っていくので、その通りに動いて下さい。』
「ほいほいさ」
『まず、接続端末にFGまたはWGの外部接続部を繋いで下さい。』
「よし来た」
基本的にCG以外のGは統一規格で、外部接続部を両手のマニュピレーター……まあ簡単に言うと指先、に備えていたりする。
とりあえずゾンドの指先のマニュピレーターを壁の接続端末に繋いでみる。
「で、どうすんの、これ?」
『ノンプロブレムです。次に、OS……つまり、私の操縦画面で、認証キーを求められるので、リィトと入力して下さい。』
「ふむふむ。なかなか安直なパスワードだ事で。」
パスワードを言われた通りに入れると……。
ガガガ……ガタン!
すぐ横のGラックの基盤部分がスライドして中から扉が現れた。
「すげぇ! 何か扉が出て来た! よし、扉を開けますか!」
取手の様な場所があったので、とりあえず回してみる。
……回らない……?
これはダメだ。無理に回そうとすると壊しそうだ。
「38、ここ、ノブが回らないんだけど?」
『前マスターが、ある特殊な動作で動くようにロックをしたのです。先ほどの様に、順番に工程を言っていくので、その通りに動いて下さい。』
「ほいほいさ」
『まず、ノブに接続端末があるので、それをFGまたはWGの外部接続部に繋いで下さい。』
「OK、OK」
『次に、OS……つまり、私の操縦画面で、認証キーを求められるので、リィトと入力して下さい。』
「あ、パスワード自体は同じなのね」
『次に、三つ指を立てる感じで『インサートミー』と3回、力いっぱい叫びながら扉を拝んで下さい。』
「インサートミー! インサートミーッ! インサートミーッ‼ これでどうなのよッ⁉」
『マスター。そこはさすがに冗談です。まさか本当にやるとは思いませんでした。』
あんですとッ⁉
「クッ……このお茶目さんめッ!」
このOS、中々やりおるわッ⁉
「大丈夫なのか、オマエんとこのOSは……?」
一連のやり取りを見ていたダジルさんが、不安そうに聞いてくる。
「いやぁ、さすがに父さんとオイラと過ごして学習したOSっスから、我が家的なアットホームな人格に仕上がったみたいで。」
「どういう家族なんだよ、オマエら……。」
何だか可哀そうな人を見るような目でダジルさんに見られるオイラと38……。いやぁ、なかなか照れますな。