第20話
「じゃあ、一緒に向かうっスかね。できたら、連結お願いで。さすがにゲズの方がFGだから、WGのゾンドよりは早いっスからね。」
ライドブレードを搭載しているG同士の場合、機動性の低いGを補助する為に、機動性が高いGが機動性の低いGを後ろ手に掴んで引っ張って移動する事がある。そういうのを連結という。
で、WGのゾンドでも、FGのゲズに、その連結をして貰って機動性を補って貰えれば、少しは、あのKGにも近付けるはずだと思うんだよね。
「ゲズの機動性自体がザヌスやガトナスよりも悪いってぇのに、ゾンドと連結して更に先発隊から遅れてどうすんだよ!」
むっ、そこは確かにそうだ。
どうしたものか……。
『マスター。自警団G倉庫に入ってください。その中に、前マスターがFGなどのGを発掘した際に、発掘したGを運搬しやすくする為に作成した通路があり、その通路は前マスターにより整地されています。その上、その地下の整地された通路は、先ほどのシュタイガーンバオアーというKGが現在進んでいると思われる方向に繋がっています。ですので、直線距離で進める上に整地されている為、ライドブレードが非常に有用であると進言します。』
「おおッ! なんとピンポイントなアドバイスッ!」
「そんなモノが、我々の倉庫の地下にあったのかッ⁉ 」
「うはっ、自警団の人すら知らないとか、どんなレアショートカットよッ!」
まあ、何にしろ、渡りに船とはこの事。
舗装された道が少なくてライドブレードが活用し難い入り組んだ地上を抜けるより、地下でライドブレードを使って加速して直線距離を進めるショートカットがあるなら、活用しない術はない。
「じゃあ、とにかく、そこを使いましょうか。ゲズの方、お名前は? オイラは……」
「オマエのファーストネームは知らないが、ファミリーネームがロクスリーなのはオマエのオヤジさんが有名人だから知ってんだよ。だからオマエの呼び名はロクスリーで良いんだよ。オレはダジル=アンバスだ。」
「じゃあ、ダジルさん。とにかく既にオイラたちは先発隊から遅れているんスからショートカットがあるなら使わない手はないと思うっスけど、どうっスか?」
「分かったよ。だが、どこだよ? ホントにあんのか?」
ダジルさんが、割と疑わしげに聞いてくる。
『マスター、G倉庫の入り口から左方5メートル付近を捜索してください。』
「って、うちのOSさんが言っているので、試してみましょうか。」
「分かったよ」
とにかく自警団のG倉庫の言われた個所を探索してみる。
自警団G倉庫内部でも、複数の自警団の人たちがお腹を抱えて蹲ったり転がったりしている。
倉庫内のトイレの前では長蛇の列が作られておりトイレの扉を必死で叩く人と、それすら通り越して昇天して果てている人などがいる。
南無、南無。
人間、こうは成りたくないよね。