第147話
「思い出した…。死ぬって…こんなに痛いんだ……。」
圧倒的な痛みが身体を突き抜ける。
皮膚が溶ける痛み。
骨が溶け落ちる痛み。
眼球が焼け爛れる痛み。
全身が痛覚の神経になった様に痛みだけを身体の全てが感じる。
そして、急激な意識遮断……。
そこで眩し過ぎる発光した景色は途切れた。
一瞬、世界が一点に集約される様な妙な感覚を覚えた。
ボヤけた視界が、徐々に明瞭になってくる。
「前方より機体反応多数! これは……スナッチャーザインの部隊の……ラフィンスカルの反応です! 前回の様に、部下たちだけじゃなく、今回は頭目のザインも居ます!」
良かったッ! 出撃前の、ここならッ‼
「皆さん! 出撃しちゃダメッス!」
とにかく、出撃する前に、皆さんを引き留めないと‼
「アン⁉ 何だ、このクズ野郎! またぞろワケわかんねぇ事、言い出しやがって‼」
「KG全機に細工がされてるんスよ! トニーさんが、実は、ザ・パーフェクトのシュメル=ウェインで、ザインさんに雇われてミケさんたちのKG全機に細工したんスよ!」
「な……なんやと…ッ⁉」
とにかく、ありのままに伝えてみたけど!
「ロクスリー君! それは流石に最低なんじゃないかな!」
「いくら自分の人気が全く無くて、トニーさんの人気が高いからといって、トニーさんの人気を落とす為に、そういう流言を流すというのは、流石に酷過ぎて言葉も出ませんね。」
「テメェ! 人の人気が羨ましいからって、そういうやり方しかできねぇのか⁉ このド最低クズ野郎‼」
ケビンさんとユリンさんとマカロニさんが、オイラがトニーさんの人気が羨ましくて、ウソを流したと思って、すっごく怒ってる…ッ⁉
「いや、本当なんですって! KGたちは、全機ダメッス! ゲズC²だけは、雑魚扱いを受けて細工されなかったんで、どうしても出撃が必要なら、オイラが出撃します! だから! マカロニさんは、KGたちを修理して下さい! で! シュメルを、ふん縛って、暴れ出さない様にして下さい!」
とにかく!
今、出撃させちゃダメだし、全機、細工を解いて貰わないとダメだ!
そして、シュメルを捕まえといて貰わないと危険だ!
「ロクスリーさん。ボクは、シュメルなんて人じゃないですよ。それに、ロクスリーさんのゲズC²だけじゃラフィンスカルを抑えるのは厳しいですよ? ボクはKGに細工なんてしていませんし、皆さんで出撃した方が、効率良く戦えると思いますよ? どうでしょうか、ミケさん?」
シュメルがウソを吐きまくって来る⁉
こ…こんなッ⁉ もし、ミケさんが、シュメルのウソを信じたら…ッ⁉




