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第142話

「すごぉーい、トニー君!」



「やるじゃん兄弟!」



「なんと! コレは、コレは!」

 やんやの喝采が、G(ギア)デッキで、ゲズC(ツイン)²(カスタム)以外のチームの全てのG(ギア)を見事に整備し終わったトニーさんに贈られる。





 あれから、丸一日、ミケさんは医務室で、グッスリと休養し、しっかりと体調の回復に努め、今日の昼現在、昨日の惨状が嘘のように、すっかりと元気になってくれた。





 さらに、休養を終えてぐに、ミケさんが、『うちは、もう大丈夫やから、みんな、もう心配せんでええ、やから、いつも通りで、お願いな!』と、皆さんをなだめた為、皆さんも、ミケさんを気遣い過ぎない様に、できるだけ普通に接する様に戻った。





 その間、トニーさんが、本職のメカニックのマカロニさんにも劣らないような、凄い早さと精巧さで、整備と補給をし、見事に終わらせた。







「良い腕しとるねトニー君! これやったらG(ギア)の整備と補給だけやったら、いつでもトニー君に全機任せられそうやね。」

 医務室での休養を終え、脳震盪のうしんとうも収まったミケさんが、あふれんばかりのニッコリの笑顔で、トニーさんをたたえる。



「そんな。チームのG(ギア)全機の修理を担当されてらっしゃるマカロニさんに比べたら、ボクなんてまだまだですよ。」

 右手で頭を搔きつつ、まだまだと言う割には、嬉しそうな笑顔で応えるトニーさん。





「あとは、そこのダメ男くんが、ゲズC(ツイン)²(カスタム)1機だけくらい、マトモに整備と補給が出来ているかが心配で仕方ないわよね。」



「迂闊に触って、逆に壊したとかねぇだろうな!」



「ボクの仕事が、また増えるのも、もう覚悟済みですよ。何を壊されたやら。」

 トロイメンカッツェのKG(ナイトギア)部隊員が、こぞって嫌味いやみの声をげてくる…。





「ユリン! ケビン! マカロニ!」

 ミケさんが3人をとがめるが…。



「その…ゲズC(ツイン)²(カスタム)の整備と補給…。何とか…壊さず…終わりました。」

 何とか、ゲズC(ツイン)²(カスタム)だけは、どこも壊さず整備と補給ができたけど…。



「確かに、一応、壊さず整備も補給も出来ていますが、これで、また調子に乗って勝手に整備や補給を行ってG(ギア)を壊さないで下さいよ?」



「は…ハイ…。」





「チッ! このクズ野郎の顔を見るだけでムカ付くぜ! トニーのやってくれた作業も見届けたし、このクズ野郎をこれ以上見ないで済むようにオレは部屋に戻るぜ!」

 1秒でも顔を見たくないと言わんばかりにいかりをつのらせ自室に戻るケビンさん…。



「ケビンさん…。」



 うつむくオイラに…。

「ケビンは、ウチを気遣きづかい過ぎて、勢いが付き過ぎてるだけやねん…。ロクスリー君。あんまり気にせんと、同じ失敗をせんようにして、今度は、一人で突っ走る事が無いようにしたらええ。」

 ミケさんが、温かい言葉を掛けてくれる。



「ハイ…。なんとか、もう同じ事が無いように気を付けます…。」

 何とか言葉をつむぐオイラだが、ケビンさんだけでなく、ユリンさんとマカロニさんも、ミケさんに気遣きづかってオイラへのさらなる叱責しっせきの言葉こそ掛けないが、オイラを見つめるその眼は見つめるというよりにらみつけており、二人もケビンさんと同じで、オイラを到底容認できないとうったえている。





 厳しい視線の嵐にちぢこまり……。

「あの…ゲズC(ツイン)²(カスタム)だけは…この機体の整備と補給だけは…これからもオイラがやります…。」

 そう皆に声を掛けるのが精一杯なオイラ……。



 ユリンさんとマカロニさんの二人は、無言のまま、いまだに厳しい視線を送ってくるが、



「わかった。ガンバりや、ロクスリー君! そういう小さな積み重ねを重ねれば、信頼もまた取り戻せる! 今は、皆は、ウチを気遣きづかい過ぎて、想いが前面に出過ぎてるから、ロクスリー君からしたら厳しいやろう。 そやけどや! こういう状態から回復した信頼は、普通の絆より強い絆になる! そうなったら、皆、前より仲良しになる! そやから……ガンバり!」



 ミケさんからのこの温かい言葉に、

「は…ハイ!」

 泣きこそしないが、涙があふれんばかりのオイラ……。

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