第132話
と、トニーさんをベタ褒めしていると、
「そこの兄ちゃんたち。少し前に町に着た、あのデカいGSから来たんだよな?」
と、栗色の髪で、マッシュショートベースに、仄かにナチュラルパーマを当て、サイドの髪をツーブロックにした、ツーブロックシークレットパーマの、口元が笑っているのに、目が鋭い感じの、ちょっと怖い雰囲気を持つ男の人が、声を掛けてきた。
「えと、ソルファージュの事っスかね?」
オイラが、そう聞くと、
「そうそう。GSの名前は分らねぇが、多分、それだ。あの、無闇にデカいGSな。で、アンタら、あのGSのチームの新入りとかだったりするんじゃねぇの?」
「良く分ったっスね。オイラも、こっちのトニーさんも、トロイメンカッツェに入って、3~4日ってとこっスね。」
「ほうほう。やっぱりな。じゃあだ、アンタらには、耳寄りな情報をプレゼントしちゃいたくなったね。」
「耳寄りな…」
「情報…っスか?」
唐突な話の流れに、顔を見合わせる、オイラとトニーさん。
「おっと、名乗るのが先だな。オレの名前はガス=クランプト。情報屋でね。こう見えて、色々な話に詳しいんだぜ?」
ガスさんと名乗った、その人の言葉に、
「カラミティークランプト…ッ⁉」
一瞬、大きく目を見開けて、トニーさんが、驚いた様に、何か呟くが、
「あ…いえ…その…情報屋さんが、ボクたちに、どんな話があるんですか?」
と、ガスさんを、少し警戒した雰囲気で、トニーさんが問いかける。
「フフ……、まあ、そう、怖い顔すんなって! ホントに耳寄りな情報なんだって!」
「ま、まあ、トニーさん。聞くだけ聞いてみるのも良いんじゃないっスかね?」
オイラが、そう諭すと、
「ロクスリーさんが、そう言うなら……。情報屋さん、どんな話なのですか?」
何とか納得してくれて、ガスさんに、話の先を促す。
「それがな、この町の北東に少し行ったところに、地下の旧市街地のG基地跡への地下通路があるのを、オレ、最近、見つけたんだよな!」
「地下の旧市街地のG基地跡への地下通路っスか?」
「それが、どうしたんですか? そんな、町から近いところなんて、この町のTHたちの恰好の餌場になって、もう何もトレジャーなんて残ってないんじゃないですか? それが、どう、耳寄りな情報なんですか?」
トニーさんが、いつもと違って、少し、トゲのある聞き方をする。
でも、そうだよね。そんなとこ、普通に考えたら、もうトレジャーなんて残ってないよね。そんなとこの情報が耳寄りな情報って、どういう事なんだろう?




