第129話
「よし、メシも食うたし、次の目的地のポートティリアに行く前に、もう一回、Gデッキに行って、強奪してきたFGの様子でも見てくるかな! ロクスリー君、しっかりメシ食っときや! 食える時に食うのもパイロットの務めやで!」
そう言いながら、機嫌が良いのか、鼻歌を歌いながらGデッキに行くミケさん。
そのミケさんと対照的に、オイラの心は、ず~んと沈んでる最中なうっていう…。
そのオイラの様子を見ていたマカロニさんが、
「仕方ありませんね。とっておきの話をしましょう。」
と、切り出して来た。
「とっておきの……話…?」
オイラが、キョトンとしていると、
「実はこのソルファージュには、ミケさんがノリ弁を仕入れた時に、試しに数十個だけ買ってある幻のシャケ弁があるのですよ。」
中指でメガネをクイッと上げつつ、マカロニさんが、そう告げた。
「幻のシャケ弁ッ⁉」
驚くオイラ。
「そんなモノがあったのですかッ⁉」
トニーさんも驚きの声を上げる。
トニーさんも、実は内心、毎食のノリ弁に嫌気が差しているのかもだね。
「トレジャーを強奪する時などに、一番活躍した人にだけ、特別に支給されるのですよ。」
と、続けるマカロニさん。
そのマカロニさんの言葉を聞いて、
「オレも、何回か食べた事があるけど、あの弁当のシャケは、すげぇ良い塩梅で、めちゃ御飯が進むんだよな!」
「そうそう! ユリンちゃんも、あのシャケの美味しさは、また味わいたいなって思うね!」
ケビンさんやユリンさんたちが、幻のシャケ弁当を食べた時の美味しさ思い出した様で、ノリ弁を食べている最中にも関わらず、二人とも、じゅるりとヨダレをすする。
「オイラも食べる事ができる日が来るっスかねッ⁉」
皆さんの告げる幻のシャケ弁の、余りの美味しそうな感想に、夢を馳せつつ聞くが、
「今のままじゃムリだろうな。」
「今のままじゃムリじゃないかな?」
「今のままじゃムリでしょうね。」
「今のままでは厳しいかもしれません……。」
トニーさんも含めた四人が、同時に、否定の言葉を紡ぎ出して来る……。
「ですよね~。」
と、答えるオイラ。
うん。分かっていた。
だって、マジで、オイラ、いまのとこ、このトロイメンカッツェで、ほぼ役に立ってないモンね…。




