第106話
「やっと動きが止まったね。しかし、うちとした事が、めっちゃ被弾してもうたな……。」
「仕方ないですよ、姐さん。オレの相棒もボロッカスにやられましたからね。」
ミケさんの呟きに、ケビンさんがおどけてみせる。
「こっちも、凄い損耗率だしね。」
エンジェルシードの左腕の損傷箇所を庇いながら、ユリンさんも言う。
あの無敵装甲のエンジェルシードを、ここまでやり込めるとか、G²ってどんだけ化け物なの⁉
「う~ん……ブッ壊したろ思ってたけど、こりゃ採算が合わんな。やっぱり捕まえて売ろか。ケビン、一緒にコイツを運ぶで!」
と、ミケさんがタイニーダンサーでフェアタイディゲンを抱え上げようとしたところで、フェアタイディゲンのゴーグルが再度、赤く光ったッ⁉
「こ…コイツ…ッ⁉」
フェアタィディゲンが、ミケさんより先に動く!
AIで動いているから、AIが搭載されてる頭部が無事なら、パイロット用の胸部コックピットが壊されても動くんだ、アイツ!
さっき敢えて止まったのは、油断させて状況を打開する為だったんだ!
タイニーダンサーが至近距離からの頭部バルカンの射撃をモロに食らったッ⁉
「あ…あぅッ⁉」
撃墜は免れるも、軽量装甲の為、コックピット部分が露出するほど装甲に甚大なダメージを食らうタイニーダンサー!
ミケさんが怯んでいるうちに、フェアタイディゲンは、2時の方角にブースターを噴かせて逃走してしまう。
「クッ……まだ動けたんか……アイツ⁉ うちとした事が油断した……ッ‼ クッ……ッ‼ もう一度あの赤いのを追うでッ‼」
ミケさんが叫ぶが……。
「ダメですよ、ミケさんッ‼ 損耗率が余りにも高すぎますッ‼ 一度、艦内で、ボクたちのKGを修理しないとダメですッ‼ 今のままでは、もしここでまた、ラフィンスカルやレッドバイソンなどの他のTSたちに襲われでもしたら、確実にボクたちは負けてGを強奪されますよッ‼ ミケさんには悪いですが、ここは一時帰艦しかあり得ませんッ‼」
と、マカロニさんが冷静にミケさんを諭す。
「クッ……しゃあない……。けど、KGたちの修理が終わったら、あの赤いの……今度こそは採算とか捕まえるとか考えんと確実にブッ壊したるッ‼」
意気込むミケさん。
でも、それって、あの化け物みたいに強いG²と、また戦わないといけないって事でしょッ⁉
ああ……オイラが出撃するだけでデッドループする様な相手と、また戦わないといけないとか……コレ、何て罰ゲームなのッ⁉
教えてッ⁉ 天国の父さん、母さんッ⁉




