第103話
「ほら……やっぱり……。……そして、いつも通り、死ぬほど痛い……。」
圧倒的な痛みが身体を突き抜ける。
皮膚が溶ける痛み。
骨が溶け落ちる痛み。
眼球が焼け爛れる痛み。
全身が痛覚の神経になった様に痛みだけを身体の全てが感じる。
そして、急激な意識遮断……。
そこで眩し過ぎる発光した光景は途切れた。
一瞬、世界が一点に集約される様な妙な感覚を覚えた。
ボヤけた視界が、徐々に明瞭になってくる。
「クッ……けど相手は1機や! 囲んで畳み込めば、どれだけ高性能なAIでも切り崩せるはずや! みんな! フェアタイディゲンを囲むで!」
アレッ⁉ こんな前に戻るのッ⁉
って事は……、
「これ、オイラじゃ無理だわ。」
この地点に戻ったって事は、多分、オイラが戦列に加わるだけで、死んじゃうって事なんだ、きっと。
って事で……。
「ちょっ……どこ行くねん、ロクスリー君⁉」
ミケさんの指示に背いて、ソルファージュの艦内に単機で帰艦するオイラ。
「何やっとんねん、ロクスリー君ッ⁉ 君も戦わんかッ⁉」
と、ミケさんに怒鳴られるが、
「いや、ミケさんたちには分からないっしょうけど、オイラ、もう既に1回、そいつに殺されているっスからねッ‼ オイラじゃ無理ッ‼ ミケさんたちのKGたちで何とかして下さいッ‼」
と、答えるオイラ。
マジ、オイラじゃ無理だもん!
「姐さん! コイツ相手じゃ、うかつに話しているのも危ねーですよ!」
ケビンさんが、的確に言って来る。
「まあ、現状を客観的に分析するとロクスリー君の決断の方が英断と言えるでしょうね。ここは、ボクたちのKGたちでだけで何とかするしかありませんね。」
マカロニさんも冷静に言ってくれる。
「クッ……しゃあないッ‼ ほな、残ったメンバーで、あのフェアタイディゲンいうG²をメッタメタにしたるでッ‼ みんな、うちに続きッ‼」
「了解だ、姐さん!」
「了解です、ミケさん!」
「OK、リーダー!」
「分りました、ミケさん!」
ミケさんの掛け声に、ケビンさんたちが答える。




