表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/24

第1章 第5話 「ログアウトボタン消失」

 俺たちが参加するとのメールを送信してから、待つこと約十分。

 「You got a mail!」

 再び、システムにメールの通知が鳴った。

 俺は、新たに来たメールを開封する。


 ――◆◆――


 From:スティーブン=ゲイツ

 To:『七つの指輪を集めよ!』に参加するプレイヤー全員

 Subject:参加受諾の件

 Main:

 やあ、親愛なる、クエストに参加してくれるプレイヤー諸君。

 スティーブンだ。


 それでは、ただいまの時刻をもって、緊急クエスト『七つの指輪を集めよ!』を開始する。


 このクエストを開始するに当たって、新たな『ワールド』の解放と、イベントを用意しておいた。

 新たな『ワールド』に行きたいプレイヤーは、いくつかの星船(スターシップ)乗り場に行ってみるといい。

 行き先が増えているはずだ。


 また、今までのレベルの上限は99までだったが、今回、レベルキャップを外すことにした。

 次のレベルの上限に関しては、プレイヤー諸君の目で確かめてくれ。


 さて、参加するプレイヤーのうち何人かには、ランダムで、ささやかなプレゼントを贈らしてもらった。

 自由に、気兼ねなく使ってくれて構わない。


 それでは、プレイヤー諸君の奮闘に期待する。

 グッドラック!!


 ――◆◆――


 そのメールを読み終えた直後だった。

 俺は、言葉では表現し難い奇妙な違和感に突如として襲われた。

 例えて言うならば、突如、時間と空間が大きく揺さぶられて、セカイに亀裂が入り、セカイの表と裏がひっくり返ったような感覚。


 俺の見えている視界、いや目に入っている景色が、グシャリと音を立てて歪んだかと思うと、セカイから全ての色が抜け落ちて、あらゆる音や色や匂いが溶け合って、全ての存在そのものが否定され、漆黒よりも濃い(ノワール)で塗り潰されていったのだ。


 「マサト、大丈夫?」

 俺は、エレナに肩を揺さぶられて、唐突に現実世界(といってもゲームの仮想現実世界だが)に引き戻された。


 「どうしましたかな?

 いきなりボーっとしていたようですが?

 まるで、心ここに在らず、といった感じでしたぞ。

 具合でも悪いのですかな?」

 アッシュも心配して、俺の顔を覗き込んでくる。


 「悪い。

 ちょっと考え事をしていた。

 それよりも、今、何かを感じなかったか?」

 「何かをって、何を?」

 キョトントした顔をするエレナとアッシュ。

 美雪も不思議そうな表情で無言なまま俺を眺めてくる。


 どうやら、今の奇妙な違和感を感じたのは、俺一人だけのようだった。

 きっと、雨の中、妹を迎えに行っていたので、少し疲れがたまっているのだろう。


 「気にしないでくれ。

 どうやら、俺の勘違いだったようだ。

 忘れてくれ」

 「変なマサト。

 まあ、マサトが変なことはいつものコトか」

 「ちょっと待て。

 いつものコトかって、どういう意味だよ?

 それは聞き捨てならない台詞だな」

 「だって、マサトってばさ、この前、電車の中で三十分も寝過ごしたとか言ってたじゃん」

 「あ、あれはな、テスト前で夜遅くまで勉強していたからだ」

 「どうせ、マサトのことだから、三十分だけ休憩とかいって、二時間ぐらい『The Universe of Worlds』をやっていたのでしょう?」


 図星だ。

 どうして、エレナは俺の行動が分かるというんだ?

 コイツはリアルに予言者(プロフェット)のクラスか何かか?


 「あ!

 その顔は当たりだな!」

 「違うぞ。

 俺は真面目にだな、勉強していたからな」

 「どうせ、ブラフでしょう?」

 「では、お二人が痴話喧嘩をしている間に、小生はメールにもう一度目を通しておきますかな」

 「「違う!!」」

 

 俺とエレナが仲良く唱和しているのをどこ吹く風と言わんばかりに、アッシュはフムフムと頷きながらシステム画面を覗き込む。

 暫くすると、「おや?」と声を上げた。

 「変ですな。

 このシステム画面、何かおかしい気がしますぞ」


 アッシュにつられて、俺やエレナ、美雪もシステム画面を呼び出した。

 画面の八割がたはメイン画面になっていて、デフォルトでは、俺のステタースが表示されている。


 Player Name: マサト

 Race: Human

 Overall Lv: 58

 Class/Class Lv: Hunter/35

 SubClass/SubClass Lv: Non/Non

 Status:Normal

 HP: 850/850

 LP: 9/11

 SP: 125/125

 MP: 25/25

 STR: 58

 ……


 いたって、普段通りのように見える。

 しかし、エレナも、

 「確かに、何か違和感を感じるわ」

 と首を傾げた。


 そのとき、美雪がボソリと抑揚の無い声で呟いた。

 「ログアウトボタンが無くなっている」

ステタース画面がそれっぽく書いてみただけなので、そのうち変わるかも知れません(汗)。

以下、簡単に記載しておきます。


 Character Name: キャラクター名

 Race: 種族

 Overall Lv: 総合レベル

 Class/Class Lv: 職業と職業レベル

 SubClass/SubClass Lv: サブ職業とサブ職業レベル

 Status:状態(状態異常とかのやつですね)

 HP: ヒットポイント

 LP: ライフポイント

 SP: スキルポイント

 MP: マジックポイント

 STR: 腕力

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ