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勇者は異世界で魔女になって女子校に通う  作者: りょう
第1章やって来た魔女は元勇者
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第6限目やりたい事

 異世界の生活三日目を迎えた朝。クレスは昨晩はぐっすり眠れたからか、目覚めはとてもよかった。


(登校時間まではまだ二時間くらいあるけど、どうしよう)


 早起きしたものの、まず何をするべきなのか分からないクレスは、とりあえず一階に降りる。そもそもこの世界での料理とかも分からないので、しばらくは元の世界の料理を作る事になるのだが、残念ながら料理のスキルは身につけていない。


(昨日相談しておけばよかったかな……)


 とりあえず料理せずに食べられるものから手をつける。まだ故郷を離れてから三日しか経っていないのに、彼はこれからの生活に危機感を覚えていた。


(ストレアは駄目そうだけど、ユノは自炊とかできそうだな)


 そんな事を考えながら簡単なものを口にするクレス。そもそも料理は別の仲間がしてくれていたものなので、彼にとって料理をするという事が頭の中になかった。それがまさかこんなところで響いてくるとは彼自身思ってもいなかったのだ。


「ご馳走様でした」


 自分の声だけが虚しく家の中に響き渡る。これからクレスはこの二階建ての家で、自炊生活を三年間続けていかなければならない。女性というおまけ付きで。

 今は誰もいないので、クレスは女装していないがこれからもし友達同士でお泊りなどがあったら何日も女装をしなければならない時だってある。


「はぁ……何でこうなるかな……」


 いつかは自分の口調も忘れてしまう日がやって来てしまうのではないかと考えると、クレスはため息が止まらなかった。


 起床してから二時間ほど時間が経過した後


 慣れない着替えを終え、クレスはそろそろ家を出ようかと考えていると、家のチャイムが鳴り響いた。外へ出るとそこには既に制服を身に纏っていたユノとストレアの姿があった。


「おはようクレア。そろそろ学校に行く時間だけど大丈夫?」


「あ、ちょっと待って。今鞄持ってくるから」


 急いで家に戻り鞄を手に取った後、頬を一度強く叩く。


「よしっ!」


 リビングにある窓に映る自分の慣れない姿に少しだけ戸惑いながらも、クレスは家を出てユノ達の元へと向かった。


 ■□■□■□

 セレスディア学園の朝は早い


 家を出て学園に到着したクレス達を待っていたのは、新入生達を勧誘しようとする多くの部活や同好会。元いた世界に学園の概念はあったものの、部活といったものがなかったクレスにとっては、その光景は不思議で仕方がなかった。


「これは何をしているの?」


「部活動の勧誘ですよ。セレスディアでは授業のカリキュラムとは別に、自分達が好きなことができる時間が放課後にあるんです。その好きなことを一人ではなく多くの人達と共有して活動するのが部活動です」


 その摩訶不思議な光景にクレスがそう尋ねると、ユノが楽しそうに答える。


「自分の好きなこと……」


「入部は自由ですし、申請をすれば活動もできるんです。勿論何もしないという選択肢もありですけどね」


 ユノの言葉を聞きながら、クレスは自分のことを考えてみる。勇者にとって世界を救うことが役目だったので、自分の好きなことは二の次だった。

 その為か、クレスは自分がしたいこと、やりたい事が思い浮かばずに、部活動は自分に向いてないのかなと考える。


(新しく探すのもアリかもしれないけど)


「ユノは嬉しそうに語っているけど、何かしたい事があるの?」


「あります。ただ、部としてはなさそうなので作ろうかなって考えているんです」


「へえ。私はした事がないから入るつもりはなかったんだけど、ユノが作るならそれに入ろうかな」


「ほ、本当ですか、ストレアさん!」


「それでどういう部活を作るつもりなの?」


「異世界研究部です!」


「異世界研究?」


 真剣に悩んでいるクレスの隣で、ストレアとユノが何やらウキウキと話をしている。クレスはそれを聞き流していると、ふと部活勧誘をしている一人の女性が目に入った。

 女性は一人で勧誘をしているらしいが、どうもこういうのが苦手なのかおどおどした様子だった。


「文芸誌同好会……です。入って……くだ、さい」


 その声は小さく、他の喧騒に掻き消されている中、クレスの耳にはしっかりとその声が届いていたため、足を止める。


「クレアも私達が作る部に……どうしたの? 足を止めて」


「ちょっと気になる部を見つけて」


「勧誘は今だけじゃないから、また後で来よう。ほら、そろそろ授業始まっちゃう」


「う、うん」


 後ろ髪を引かれながらもクレスはストレア達と一緒に校舎に入っていく。結局クレスは放課後にもこの部活動の勧誘に遭遇するが、そこには彼女の姿はあらず、彼が再び彼女に会うのはしばらくした後になる。


「ねえクレアも部活動やろうよ」


「ユニが部活動作るの?」


「は、はい。異世界研究部、です」


「それすごく限定的な部活動だよね。後私を誘おうとしているのって」


「は、はい。クレアさんがいた方が研究が捗るかなって」


「多分ボクは役に立たないと思うんだけど」


「どうしてですか?」


「え、まあ、ちょっと事情があって、ね」



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