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勇者は異世界で魔女になって女子校に通う  作者: りょう
第1章やって来た魔女は元勇者
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第4限目放課後のティータイム

 ユノとストレアと共に、クレスは学園を出る。そして寮へ帰る前の寄り道として、三人は小さなカフェに足を踏み入れた。


「ここって有名なカフェです……よね?」


「うん。折角だから来てみたかったの」


「そんなに有名なの?」


「この周辺に住んでいる人で知らない人はまずいません」


「あ、そうなんだ」


 カフェ『ルフューレ』


 この周囲、或いは学園に通っている人で知らない人はまず居ないと言われているくらい有名なカフェで、昼夜問わずにその客足は絶えないと言われている。

 では何故そこまで有名なのかというと、


「あ、すごく美味しい」


「でしょ? これから学園に通うならまず行っておかないと、いつ席が空いているか分からないからね。予約しておいたの」


「予約って、一人でも行くつもりだったの?」


「うん。そこまでしてでも行きたい場所だったから」


 出される飲み物、食事も含めて一級品だと言われているからだ。それを証拠に、初めてこの世界の飲み物に触れたクレスでさえも美味しいと唸らせた。


「私も行ってみたかったんです……。ストレアさん、ありがとうございます」


「ストレアでいいわよ。私もユノって呼ぶから。クレアもそうしてくれない?」


「あ、うん。それは構わないけど」


「えっと、じゃあ、ストレア、ありがとうございます」


「敬語は抜けないのね。でもまあ、いいいか」


「ご、ごめんなさい!」


「な、何で謝るのよ」


 謝られ動揺するストレア。そんなやり取りを見ながら、クレスはそこはかとなく違和感を感じていた。別に悪い意味での違和感ではなく、ユノはどこか本当の自分を隠しているようなそんな気がしていた。


「それにしても学園も随分と思い切った事しわね。まさか異界人の入学を認めるなんて」


「ボク達が来る事はよくない事なの?」


「こっちの世界にも事情があるからねぇ。ユノもそう思うでしょ?」


「た、確かに周りからしてみれば、ありえない事かもしれません」


「そんなに?」


 クラス自身そもそもその言葉すら知らされなかったので、あまりこの世界の事情も分かっていない。クレスはあくまで学園側の依頼でここに入学してきたので、細かい事情は説明されていない。

 一応学園の繁栄としてと説明は聞いているが、彼はそこにも疑問を持っている。


(これだけ大きな学園が繁栄のためにって、どう考えてもおかしいよね……)


「どうしたの? クレア。黙っちゃって」


「あ、えっと、ちょっとだけショックだったから」


「もしかして今の話が? 別に私は何とも思っていないけど、世間の目はもしかしたら厳しい目で見ているかもしれないかも。それはこの学園の生徒にも同じことが言えるから」


「じゃあボクは来ない方がよかったのかな」


「そんな事はっ! ……ないと思います」


 突然声を張るユノにクレスとストレアは驚く。


「ど、どうしたのユノ」


「す、すいません。私なんかが」


「だからどうして謝るのよ。こっちは心配しているだけなのに」


「す、すいま……」


「その癖だけは簡単に治らそうね」


 ストレアはため息をつくが、クレスはやはり別の意味で捉えていた。まだ出会ったばかりなので、こんな事を考える事が失礼だと彼自身分かってはいるが、どうしても彼女から感じる異質な何かに疑問を持たざるおえなかった。


(こんな事を考える原因って、やっぱり……)


「あ、そうだ! 折角私達出会えたし、今週末三人で出かけない?クレアの案内も兼ねて」


「あ、それいいですね……。私なんかでよければ案内します」


「本当に? ボクもどこで何が買えるとか分からないから、助かる」


「じゃあ決まりね。今週末は三人でお出かけ決定!」


「た、楽しみです」


 三人で初めての約束も交わしたところで、いい時間になり三人はカフェを出て寮へ戻る事に。その道中でも三人は楽しく会話をしながら、寮へと向かい、丁度空が暗くなった頃に三人は目的の場所へと到着した。


「じゃあ私はここだから」


「あ、私隣の家ですね」


「え? ちょ、ちょっと待って」


 寮について何も知らされていなかったクレスは驚きの声を上げる。何故なら寮があると言われていたその場所で彼を待ち受けていたのは、一つの住宅街。

 しかも全てが二階建ての家で、ユノとストレアが入ろうとしたのはそれぞれ別々の家だった。


「もしかしてここが寮なの?」


「正確には一軒家だけどね。魔法使いの育成に力入れている分、生徒にはそれぞれ一軒の家が与えられているの。まあそれでもそれなりのお金を払っているから、決して簡単なものじゃないけど」


「じゃあボクも?」


「勿論。えっとクレアの家は……あ、ユノの家の真正面だね」


 クレスが持っていた鍵を見てストレアが指を指す。そこには勿論一軒家があり、しっかりと表札にはクレス、もといクレアの名前が刻まれていた。


「これがボクの家……」


「流石にびっくりした?」


「う、うん」


「でもそれだけ行く価値のある学園って事なんだから、そこは甘えないと」


「う、うん」


 自分のために用意された一軒家にただ驚くクレス。彼は改めて異世界にやってきた事を実感させられたのであった。

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