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勇者は異世界で魔女になって女子校に通う  作者: りょう
第1章やって来た魔女は元勇者
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第2限目外の世界より招かれし者

 セレスディア女学園 入学式当日


 クレスは不慣れな格好のまま、新入生の中に紛れ込んでいた。今年度の新入学生の人数は二百余。世界有数の学園の為もあったか、毎年入学志望者が多く、倍率も高いと言われている。


(事前の情報は聞いていたけど、本当にすごい学校なんだなぁ)


 ただ勿論、クレス以外の入学者は全員女性。その中に一人男として紛れ込んでいる彼としては、何とも複雑な気持ちだった。


(これから三年間、本当に僕はここで学園生活を送らなければいけないんだ……)


 仕事の為とは言えど、こんな有名な学校にただ一人男として三年間過ごす、その事実に当然実感が湧かないクレス。人の流れに任せたまま、時を過ごしているといつの間にか入学式が始まっていた。


 最初に壇上に立つのは、先日彼を女性の姿に変えた張本人であり、この学園の理事長を務めているテレッサ理事長。

 見た目はまだ二十代の若き理事長だが、その見た目とは裏腹にかなりの実力を持っていると言う噂も流れている。


「この度は皆様ご入学おめでとうございます。当学園の大変厳しい選考を見事くぐり抜けた貴女達には、是非この学園の、いえ、この世界の未来を担う学生になっていただきたいです」


 淡々と挨拶をしていくテレッサ。それを聞き流していたクレスは、ある事を思い出す。


(そういえば昨日の子も、今日から入学するって言っていたけど、どこにいるんだろう)


 それは昨日出会った銀髪の少女の事。完全アウェイ状態でこれから学園生活を臨む彼にとっては、少しでも顔見知りがいれば気が楽になると思い、とりあえず周囲を見回したものの、姿は見つからない。


(入学者はは二百人近くって聞いていたし、簡単には見つからないか)


 流石にこれだけの大人数の中から見つけるのは難しいと諦めた彼は、改めて理事長の話を聞く。


「そして当学園は、今年新しいことにチャレンジをする事になりました。それは学園の向上を含め、これからの魔法界の発展の為の一環として」


 新しい事へのチャレンジ、それは恐らくクレス自身の事も含まれているのだろうと考えながら、話を聞き進めると、ふと彼女の視線が彼に向いたことに気がつく。


「では、ここで折角ですので挨拶していただきましょう。クレアさん、壇上に上がってきてください」


「え? ぼ、僕?」


 理事長からの指名に戸惑いを隠せないクレス。そもそも男である彼は、その事を隠さなければならないというのに、わざわざ全員の前に立たせるという意図が汲み取れないまま、クレスは周りの注目を浴びながら壇上に上がる。


「彼女、クレアさんはこの度私達とは違う遠い異世界からわざわざ入学しにやってきた子です。昨年度まではそういう事は一度もなかったのですが、学園の改革一つとして彼女をこの学園に迎える事になりました。では、クレアさん挨拶を」


「あ、挨拶?!」


 そんな事聞いていないと言わんばかりの視線をクレスはテレッサに向ける。しかし彼女は促すばかりで、仕方がなく彼は挨拶に向かうが……。


「え、え、えっと、こ、こ、この度、遠くの異世界よりやって来ましたクレアです。ぼ、ボクはこの世界の事にはあまり詳しくはありませんが、皆さんと一緒に学べる事を誇らしく思います。ど、どうぞよろしくお願いします」


 最後に彼は頭を下げる。そしてしばらくの沈黙の後、拍手が湧き上がった。


(と、とりあえず挨拶は成功したの、かな?)


 緊張しすぎて倒れそうになりながらも、クレスは何とか自分の場所へと戻る。すると早速、


「貴女、凄い人なんですね。ぜ、是非あとでお話を聞かせてください!」


 声をかけてくれた人が一人。それに対して彼は少し恥ずかしがりながらも、


「は、はい。ボクなんかでよければ」


 そう答えるのであった。


 ■□■□■□

 無事に入学式を乗り越えた後は、それぞれが割り振られたクラスへと向かう事に。入学式が始まる前に割り振られたクラス分けによって、自分がAクラスである事が分かったクレスは、そのAクラスへの教室は向かう事に。


「あ、君って、昨日の」


 教室へ向かう最中、色々な人に声をかけられ戸惑っていると聞き覚えのある声の主が一人クレスの目の前に現れた。


「貴女は昨日の夜にあった」


「ストレア、よ。よろしくねクレアちゃん」


「あ、えっと、よろしくお願いします。ストレア、さん」


 声をかけてきたのは昨日の夜に出会った銀髪の女の子。顔見知りにようやく会えた事に少しだけ安心したクレスは、ストレアと共に教室へと向かう。


「じゃあストレアさんもボクと同じクラスなの?」


「うん、同じAクラス。それよりもまさか昨日偶然会った子が噂の、異界人(パレルド)、だとは思わなかったよ」


「ぱ、ぱれるど?」


「あー、えっと、要するに違う世界から来た人って事。入学式前から噂にはなっていたけど本当だったんだのね」


「噂になっていたんだボク……」


 つまりかなり前からこの事が決まっていた事になる。


 今回の話を聞いたのが数日前だった彼にとっては、そんな事を言われても実感は湧かなかった。


「具体的にはどれくらい噂になっていたの?」


「次期生徒会長候補レベルの子が入学してくるっていう事くらいかな」


「じ、次期生徒会長?!」


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