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勇者は異世界で魔女になって女子校に通う  作者: りょう
第2章部活と連休と遠足と
12/14

第12限目文芸誌同好会 前編

 学園での生活も気がつけば一ヶ月が経過した


 クレス達の関係は相変わらずで、三人で行動することが特に増えていた。


「そういえばユノは本当に部活作るつもりなの?」


「はい。一ヶ月じっくり考えましたけど、やっぱり自分で作ろうかなって」


「でもその部活、やることが限定すぎだと思うんだけど」


 いつもの昼食。話題に上がったのは、この一ヶ月かなりの回数勧誘を受けてきた部活動だった。作るにせよ入るにせよ、期限も既に一週間前までに迫っていて、クレスもどうするか決めかねていた。


「二人とも決めていないんですよね? どうするんですか?」


「なかなかこれっていう部活がないのよ。まあ多分このままだとユノの部活に入ることになるかもね」


「本当ですか?!」


「そ、そんなに食いつかなくてもいいんじゃない?」


 前乗りになるユノに対して、ちょっと引き気味のストレア。


 異世界研究部


 ユノが作ろうとしている部活のターゲット層が、ニッチすぎてクレスは入るのを躊躇っていた。


(確実に僕が研究対象になるしなぁ)


 そう考えると思わず苦笑いを浮かべる。それにクレスにはずっと気になっていることが一つあった。


(勧誘初日に一人で頑張っていたあの子、結局一度も見かけてないな)


 皆が必死に勧誘している中で、一人かき消されそうな声で勧誘をしていた子(恐らく先輩)の事を忘れられずにいた。


(ああいうの見ちゃうと、思わず手を差し伸べたくなるんだけど……)


「で、クレアはどうするの?」


「ボク? ボクは少し気になっている部活はあるんだけど」


「え? どこ?」


「小さい声で上手く聞き取れなかったんだけど、確か……」


 ■□■□■□

 文芸誌同好会

 それはたった一人の部員から成り立っているとても小さな部活だった。


(今年も……一人なのかな……)


 そこに所属するシャルルはその気弱な性格も相まって、部員を増やす事はおろか勧誘する事もままならなかった。

 同好会を設立したのは去年の話。しかし彼女の友達はそれぞれ別々の部活に入ってしまい、一年間一人で過ごす事になってしまった。


 文芸誌というのは俗に言う小説を集めた雑誌みたいなものである


 小説を書くのが好きなシャルルは、自分と同じ趣味を持つ人と友達になりたいという意志のもとで、この同好会を作った。

 しかしその結果は先述した通りで、また一年寂しい年を過ごすのかと思いため息を吐いた。


「はぁ……やっぱり私じゃ……だめなのかな」


 しかしそんな孤独な日々も終わりを告げようとしている。


「すいません、ここ文芸誌同好会の部室で合っていますか?」


 その時がやって来るまでもう少し。


 ◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎

「文芸誌同好会? どうしてそんなのに興味があるのよ」


「ボク元いた世界では旅をしながら小説を書いていたんだよ。だから惹かれるものがあって」


「小説ですか……クレアさんっていろいろな趣味を持っているんですね」


「そんなに趣味は多くないよ」


 放課後。折角なので文芸誌同好会を探してみることにしたクレスは、二人も連れて校舎を歩き回っていた。


(相変わらず広いから、探すのが大変だ……)


 この一ヶ月、その同好会を見つけられなかった原因は学園の広さだ。一日歩いても回りきれないほどの大きさの学園の中で、特定の部活を見つけるのは困難。

 有名な部活ならまだしも、勧誘の仕方から察するに部員は一人や二人レベル。その小さな部活をこの広大な土地の中で見つけるのは……。


「ねえクレア、もしかしてあれじゃない?」


 あった

 とある空き教室の扉に張り紙が一枚貼ってあり、それを偶然にもストレアが見つけて、クレスに見せる。


『文芸誌同好会 新入部員募集中!』


 紙にはシンプルにそう書かれていて、絵が端っこにちょこって書いてある。


「場所は……多分この教室だね」


「流石にこれだけ部室が小さいとボクも気づけないよ」


 クレスは恐る恐る部室のドアを開く。すると中はちょっとした図書室みたいになっていて、教室の真ん中には四人座り用の長机と椅子があった。


 そしてその机で一人読書にふけっている銀髪長髪の少女が一人。クレアが一ヶ月前にチラリと見えた少女その人物だった。


「すいません、ここ文芸誌同好会の部室で合っていますか?」


「は、はひぃ!?」


 突然クレスに声をかけられた少女は、跳ね上がってその勢いで椅子ごと倒れてしまう。


「ちょ、ちょっと大丈夫ですか?」


 それを見てすかさずストレアがフォローに入る。少女はストレアの手を借りながらも、何とか立ち上がりクレスの方に向き直った。


「え……っと、はい……ここは文芸誌同好会の部室……ですけど」


 勧誘の時とほぼ変わらない声量で少女はそう言った。


「あの、ボクここに興味があって来たんですけど」


「……え? ほ、本当に?」


「はい、ちょっとギリギリになってしまったんですけど、一応入部希望者ってことで」


「そ、それなら、ちょ、ちょっと待ってて!」


 そう言うと少女は慌てふためいた様子で近くの店を開き、何かを取り出す。


 取り出したのは入部届の紙だった。


「わ、私二年生のシャルル。あの……その……よろしく、ね。新入部員、さん」



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