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勇者は異世界で魔女になって女子校に通う  作者: りょう
第1章やって来た魔女は元勇者
11/14

第11限目ボクらの記念日

昼食はユノのオススメで、パスタを食べることになり、これまた初めて食べるものにクレスは悪戦苦闘した。

その昼食の間も、先程話題に上がったBhoneについて話をしていた。


「つまりそれがあれば、こうして直接会わなくても話せるってことなの?」


「それだけじゃないわよ。お互いの顔を映像に映し出すことによって、顔を見ながら話もできるのよ」


「随分と技術が進んでいるんだね」


そんな技術なんて元の世界には一切なかったクレスにとっては、聞くこと全てが新鮮だった。


(誰かと話す時って必ず面と向かわなきゃいけないと思っていたけど、技術ってすごいんだなぁ)


「そういえばユノってBスタはやっているの?」


「いえ、まだ。私写真より動画を撮りたいので、Bmove(びーむぶ) の方を使いたいって考えているんです」


「じゃあBムーバーとかになるの?」


「そこまでは考えていませんが、それを異世界研究部に活かしたいなって思ってて」


「びーむーぶ? びーむーばー?」


更に新しい言葉が出てきて混乱するクレス。動画は似たような技術があって知ってはいたものの、その他の言葉に関してはさっぱり分からない。

一応ユノたちの説明によれば、 Bmoveが動画投稿サイトで、Bムーバーがそこで活動する人たちの敬称とのこと。


(僕にはあまりに縁がない話だな……)


「Bスタは私もデビューしたいって思っているのよね。ほら映えとかやってみたいじゃない」


「ストレアさん、そういうの好きそうですよね」


「蠅?」


「多分クレアさんが考えているのとは違うと思います」


ユノに冷静に突っ込まれる。

どうやらここまで言ってきたコンテンツは全部Bhoneでできるらしく、まさに学園生には欠かせないものらしい。


「それってお金どれくらいかかるの?」


「最近は安い料金で使えるプランも増えてるから、一概にこのくらいとは言えないけど、多分今契約しても大丈夫だと思うわよ」


「そうですね。よければ私のオススメのプランを紹介するので、クレアさんもストレアさんと一緒に持ってみませんか?」


「うーん、とりあえず昼食食べ終わってから考えてみるよ」


クレスは答えを保留にした。未知なるものに下手にお金をかけたくないというのが彼の本心で、まだろくにお金がない自分にとってはまだ必要ないものだと……。


「ボクこれにします!」


「早っ! 決断するの早くない?!」


「さっきまでのクレアさんとは思えませんね……」


思っていた彼でさえ、数時間後には心変わりしてしまうほどBhoneは画期的なものだった。

お金の都合上、かなり安めのプランになってしまったが、基本的なコンテンツはできるものをクレスは契約したのだった。


勿論それはストレアも同じで、


「これで私達三人Bhoneデビューね」


「夜はこれでお話したりしましょうね二人とも」


「ボクこの課金というのに興味が」


「「それはやめなさい (やめてください)」」


朝の騒ぎはどこへ行ったのやら。三人はいつも通りに戻ったのだった。


◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎

「すっかり夕方ね」


「はい」


Bhoneであれこれ騒いでいるうちに、既に空は夕焼け空に。クレス達は学園のすぐ側にある展望台で、海を眺めていた。


「この世界にもちゃんとあったんだね、海。この世界に来てまともに学園の敷地の外から出たことなかったから気づかなかったよ」


「どの世界にもちゃんとあるのよ海は。そして私達の心を癒してくれる」


「何か詩人みたいですね、ストレアさん」


ストレアとユノは展望台の柵に寄りかかり、クレスは近くの椅子に腰掛けながらボーッと海を眺め続ける。


クレスもストレアもユノも


きっとこの海をこれから何度も眺め続けることになる。けどこの瞬間は今しかない。


出会って三日


お泊まり会とお出かけを初めて一緒にして


一緒にBhoneデビューをしたこの瞬間は今しかなかった。


「ねえクレア……ううん、これはクレスに聞いたほうがいいのかな」


「僕?」


「クレスは今、ここでの生活は楽しい? 男であることを捨ててまで、この学園に入学させられて、本当は嫌なんじゃないの?」


「それは……」


答えに迷う。

嫌じゃないといえば嘘になる

手違いがあったとはいえ、クレスは男としてではなく女装をさせられた男としてこの学園にいる。それがどれだけ辛いことか、この四日間で痛感した。


けど決して悪いことだらけではない


ストレアとユノと出会って、シルヴィアと再会して、クレスにとって幸せなこともあった。


もしそれがこれからも続くなら、それもそれでいいのかもしれない


そう思っていた。


「僕クレスとしてはあまりいい思い出じゃないかもしれないけど、クレアとしての思い出なら今は充分幸せだよ。と言ってもまだ四日しか経ってないけどね」


「クレアさん……」


「それにまだ学園生活は始まったばかりだから、この先のことなんてまだ分からないよ。でもストレア達がいるなら、不安にはならないかな」


「またそんな事言って……」


「とにかく今はここでこうしていられるならそれでいいって思うんだ」


何だかんだでクレスは今この学園生活を少しずつながら楽しんでいる。授業にもついていけているし、食事にも少しずつ慣れていっている。


ただ、楽しむだけのためにこの学園に入学したわけではない。


クレスもシルヴィアもこの学園に来た理由がちゃんとある。それを二人にも話す時が来るのだろうか。

そんなことを考えながら立ち上がり、クレスは二人に提案する。


「そうだ、今日の記念に三人で写真を撮って、Bスタの初投稿にしない?」


「あ、それいいですね。私達の出会いの記念と、デビュー記念として残しておきましょう」


「いいこと言うじゃないクレア」


夕日をバックにして、三人で写真を一枚撮り、それをクレスのBスタの初めての写真として投稿する。


『ボク達三人の出会いの記念写真! 綺麗な海と夕日を添えて』

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