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勇者は異世界で魔女になって女子校に通う  作者: りょう
第1章やって来た魔女は元勇者
10/14

第10限目口説いて朝チュンお泊まり会 後編

夜が明けて


一番最初に目覚めたクレスは、自分が今置かれている状況に驚愕する。


(え? これ、え?)


左右にストレアとユノがそれぞれクレスを抱き枕にして眠っている。昨日は間違いなくそれぞれの布団で眠ったというのに、なにがどうしてこうなってしまったのか理解できない。


(男なら喜べる状態。だけど今僕は女の子。これは色々な意味で危ない。早く何とかしないと)


望んでない形での朝チュン


どちらかが起きたら一発アウトなこの状況。クレスは何とかして二人から離れようとするが、


「んっ……おはようクレア……」


「おはようございます……クレアさん」


タイムリミットは一瞬でやってきてしまう。それも二人同時にという、とても最悪な状態で。


「あ、あのさ二人とも」


「……え?」


「これって……」


「とりあえずボクの話を」


「「私そういう趣味ない(ありません)!!」」


二人に挟まれた状態で放たれたゼロ距離での魔法は、クレスの体を廃にさせたのだった。


朝チュン騒ぎの後


「うぅ、クレアに私の初めて奪われた」


「お嫁に行けません」


「とりあえず二人は先にボクに謝ろうか!?」


楽しいはずのお泊まり会は何とも気まずい空気になってしまい、クレスはどうするか悩んだ。


(別に意図的に起こしたわけでもないし、どうしてこうなったかも分からないのにどうしてこうなってしまったんだ)


どちらか片方がそうなるなら、まだ寝相とかの問題だと納得はできるものの、二人が同じような状態になるってことは寝相とかそういう域を越えている。

だとすればクレスも含めた三人の中にこうなった原因があると考えるのが自然だ。


(いや、それは流石に考えすぎかな)


その件はまた別で考えるとして、クレスは今朝の謝罪も込めて二人に提案する。


「あのさ二人とも、この後出かけない? 今日のお詫びがしたい」


「別にいいけど、またいやらしいことしたりしないわよね?」


「しないししてないから!」


「お、女の子同士とは言え、ああいうのは私もちょっと……」


「お願いだから信じて!」


結果的に二人には信じてもらうことができ、クレスの提案も了承してくれた。

ただ二人とも何故か一度家に帰ると言い出し、午後に別の場所に集合するという運びになった。


(これもしかしたら僕がデートに誘ったみたいになっているよね……)


(デートならしっかりとした服を着ないと)


(デート……すごく緊張します)


◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎

そして約束の午後

クレスは集合時間の二十分前に到着。二人がやって来るのを待つことにした。


(デートって思ったけど、これそもそも僕は今女の子の姿なわけだし、ただの買い物って考えていいよね)


中身が男であることを明かした以外は、特に問題のないはず。そう踏んだクレスは、気持ちを落ち着かせて待ち続けた。


それから十分後


「お、お待たせクレア」


「お待たせしましたクレアさん」


二人が同時に到着。クレスの嫌な予感は当たり、二人は今朝までの格好とは違い出かけるよう、いわゆるオシャレをしてやって来ていた。


(僕としてはただのお詫びをしたかっただけなのに……)


一言だけクレスは言いたい


どうしてこうなった


「それでどこに連れて行ってくれるの?」


「え? どこって……」


答えに迷う。まだこっちに来て四日目、誰かをどこに連れて行くなんてクレスには難しすぎる話。


しかし誘ってしまった以上は、彼女達を案内しなければならない。


(うーん、困った……)


「あのストレアさん、クレアさんはまだここに来たばかりですし……案内するのは難しくないですか?」


「確かにそれはそうね。じゃあせめて奢ってもらうくらいね」


「一応こっちのお金はいくらかは持ってるけど、あまり高価なものは無理だからね」


ユノが助け舟を出してくれたおかげで、二人が行きたいところにクレスが付き合うという形になった。奢るのも食べ歩きできるような簡単なものを奢るという形になり、クレスは少しだけ安心した。


(これで許してもらえるならそれでいいか……)


クレス自身は別に悪いことをしていないので、少し複雑な気分ではある。あくまで不慮の事故なのだから。


(でも女子二人と休日に出かけるなんて、勇者だった頃は絶対になかったからなぁ)


「そういえばまだ私達昼飯食べてなかったわね。まずはお昼取ろうか」


「あ、いいですね。それなら私にオススメが……」


と言いながらユノが取り出したのは四角い何か。その四角い何かを指で触れると、四角いものから映像みたいなのが飛び出す。


「え? 何これ?」


「いいなぁユノって、Bhone(びーほん)持ってたの?」


「入学祝いに買ってもらったんです。ただまだ使いこなせてなくて、家に置いていたんです」


「びーほん?」


聞き覚えのない単語にはてなマークを浮かべるクレス。浮かび上がってくる映像は馴染みがあったものの、それがこんな四角い何かから飛び出てくるとは予想していなかった。


「Bhoneは今この世界で一番流行っている小型通信機で、これ一つあればいつでも誰とでも連絡できるし、調べたいこともできる。あとはBスタっていう皆で思い出とかを共有するアプリもあって、すごく便利なタブレットなのよ!」


「Bすた? たぶれっと?」


「クレアさんも持ってみませんか? 丁度ここの近くに販売店がありますし、昼食を食べたら見に行きましょうよ」


「あ、私も見に行きたい! ユノが持ってるなら、私もいい機会だし持ちたいし」


「ボクも……ちょっと気になるかな」


本心ではBhoneという未知なるものがどんなものなのかかなり気にななるものの、それを隠しながらクレスはユノのオススメのお店で昼食を取ったのだった。


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