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神の寵愛を受けたもの  作者: ユウ
1/9

~He received a favor to God~

     


     嬉しい 悲しい

     楽しい 苦しい

好き 嫌い

     愛しい 憎らしい

近づきたい 離れたい

     抱きしめたい 突き放したい

     生きたい 死にたい

     

正反対の感情が俺を(私を)苦しめる―。


    俺を

そして    苦しめる―

    私を

 



         少年


「なあやっぱ最近あいつ調子乗ってるよなー?」

「ああほんと最近ウザイ。お前もそう思うだろ?」

 そんなことを言うやつらがいるとても些細でいつもどおりの日常。代わり映えしない毎日。くだらない日々。それに対してわざわざ

(思ってたらどうだっていうんだ?そう思うんだったら俺じゃなくて本人に言えよ。俺に言って何か得することなんてあるのか?なんで言ったって変わらないことをわざわざ言うんだ?

 ・・・まあ俺もこんなこと考えているのに言えてない時点でこいつらの事なんも言えないのかもしれねえけど。)

なんて思っていることも心底どうでもよくて、意味なんてもの無い。そんなこと分かってる。だけどいちいち考えてしまう自分。面倒くさい自分。そして思っているからこそ思っている事と正反対のことを言う自分。

「そうだよなー。てかこの前もさ―」

そして無理矢理笑顔を作って面白くもない話に笑う。

(笑ってさえいれば相手は少なくとも敵意を抱かないから。)

ただ笑う。へらへらと。ただ繰り返せばいいだけ。簡単なこと。それをなんどもなんども繰り返す。相手が自分の笑い方に少しでも違和感を感じないように。記憶を上塗りしていく。


「じゃあなー優」

「おー。」

 そしてそんな棒読みの台詞さえ分からないようなオトモダチと離れ教室に戻る。戻りながら考えることは今のくだらない会話。くだらないけれど・・・笑ってしまう会話のこと。それは彼らが言っていた子供じみた陰口なんてものを嘲笑っているわけではなく、自分が自分の意見すらまともに言えない人間だと言うことに関して、であって。なんて心の中で言ってみるけれどそんなもの何の意味もありはしない。


 『優』こと玖堂優はクラスの中心などというポジションでもないが、かといってさっきのように友達が全くいない、と言うわけでもないごくごく一般的な青年だった。

 ―そう、あの日までは。

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