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第5段 或る庶民大学生の部屋にて・・・

※歴史的なところは自己解釈や都合のいいねじ曲げが多少入ります。


※名前の話もよろしく。

 どうも。いま、皆で俺の部屋にいます。


 実資さねすけ(俺の養父)は結構好き勝手いじってます。他の人たちは、特に何もしません。

 あまり、あら探ししないでください。エロ本とか見つかりそうで怖いんで。

 現在、実資はパソコンに夢中です。

 しばらくほっときましょう。


 ところで!俺は重大なことに気がついたのだ。ここは、平安時代。考えてみれば、電気もガスも水道も無い。と!ここで重要なのが、電気が無い!はずなのに、蛍光灯・・・ついてます。パソコンのバッテリー・・・いまだ充電中の状態。

 いやー何か電気はあるんすよねー。もしかして、壁削ると水道管とガス管出てきますかね?ま、追々やる機会があれば。


 ちょー不思議ちゃん!


 そして、もちろん、現代文明の利器であるWi-Fiなどもっとあるはずが無い・・・のに、グー〇ル先生ご健在です。よう〇べ、見れます。

 頭パンクしそうです。誰かタスケテ。


 まあ、困ったときはグー〇ル先生に頼ることが出来る!なんと心強い味方でしょう!


「のお、これはなぜこう、光っておるのだ?」


 おい、パソコンの仕組みを文系の俺に言わせるか!一応、いま5歳児の設定だぞ!

「えーと!知らなーい!」 

「うーむ、それにしてもなぜこの輪は光っておるのだ?」

「えー!知らなーい!」


 誰かタスケテ。俺まだ5歳児。


「不思議じゃのう」

「父上!」

「何じゃ」

「ここを私の部屋にしてもよいですか?」

「む!え、いやー・・・」


 仕方ねえー!ここは強引に行くしかない!


「え!?良いんですか?ありがとう!父上大好き!」


 5歳児だから出来たこと。

 ところで、さっきから女房たちが騒いでいる。


 うわあああああ!

 俺推しのア、アイドルの水着写真がー!やべぇ、今気づいた。そういえば張ってたわ。


「まあ、あの絵巻はとても色が鮮やかだこと!」

「お肌も綺麗ね!」

「しかし、はしたないわねえ。あそこまで肌を出して!」


 まあ、ほぼ脱いでますけどね。

 ところで、俺はいま、奇妙な言葉を聞いた。「お肌も綺麗」と言った。誰が言ったのか見てみると、『六位』と呼ばれる女房だった。

 俺は今まで、平安時代の人たちはむくれ顔の栄養失調女が『美しい』の対象だとばかり思っていたため、思い切って聞いてみた。


「六位、あなたはこの女子おなごが美しいと思うか?」

「え!ええ。それはもう。このような肌になりたいものですわ!」


 じゃあ、なんで白塗りお歯黒の眉無しになんかするの?


「じゃあ、こんな肌になれる方法があるって言ったらやる?」


 その瞬間、部屋の中にいた女たちが一斉に俺を取り囲んで、


「なりたいです!」


 おいおい、やけに息ぴったりじゃねーか。


 前に、この世界の人が何故か、現代と感情構造が似ている、見たいな話をしたと思う。もしかしたら、そういう、顔に関しても同じなのかな?・・・てことは、実は臭いことも、むくれも気にしてる?

 俺は半分もみくちゃになりながら聞いた。


「六位!あなたは自分の顔のむくれをどう思っているのですか!?」

「できれば、無くしたいのですが・・・」

「じゃあ、悪臭は!」

「ま!竹千代様!そのようなことはそうそう仰るものではありません!」

 

 すんまそん・・・。え?竹千代って誰だって?俺が話せるようになってすぐに、元々の幼名から変えて、新しくつけさせた幼名っす。だって、家康と同じ幼名だよ。かっこいいじゃん。元の幼名?そんなの忘れた。


「で、実際のところどうなの?」

「まあ、気にはなりますわね。しかし、中々汚れを落とす機会も無く、香でごまかすしか・・・」


 なるほど。美的意識全般に関しても現代的な考えを持っているようだ。ただ5歳児の俺が今ここで、その知識を披露してしまうと、いろいろ問題がありそうなのでやめておいた。


「ありがとう。では、そろそろ出て行って頂いていいですか?」

「あら!そうですわね。失礼いたします」

「失礼いたします」


 次々に女房たちが去っていって、部屋には未だにパソコンの虜になっている実資と俺の母親(養母だが)が残るだけになった。


「あんたはいつまで、それを見てるんだい!」(母)

「痛ってえ!耳つかむこたぁねえだろ!」(父)

 

 なぜそこがべらんべえ口調?


「ところで竹千代や。なぜ、このような所を?」(母)

「さっき話したでしょう。夢ですよ。夢」(俺)

「なら良いのですが・・・」(母)

「それよりさあ!この動く絵の続きあるんだろう!見せろよ!」(父)


 父上、たったこれだけの時間でアニメに目覚めましたか。さすがです。


「父上、後にしましょう!さあ、さ」


 俺は、電気をあえて消さず、実資の座所である寝殿に戻った。


「わが子よ。あの部屋は一体どうなっておるのだ?我々の近くにあるものとはだいぶ違う気もするが」


 さあ、どう答えようか。


「あの部屋には、これからこの世で起きていくことが大量に書かれています。恐らくは父上のこれからの出世についても」

「そうかそうか。しかしあの短い間によくまあそんなことまで解るのぉ。まあ、わしはあまりあの部屋に入ろうとは思わんが。それより!あの動く絵の続きを!さあ!」


 よく分らない現実をさっと受け入れますね。父上。あなたをある意味尊敬しますよ。

「まあ、その内またお見せしましょう」


 こうして俺は、自分の部屋を無事に発見しそこに戻ることになった。北の対には母上の部屋もあるが、たいした問題でもないだろう。

 そして、アニヲタの片鱗を見せつつある俺の父親―実資とアニメの関係をどうしようか悩む俺であった。


 ちなみに、電気もWi-Fiも全く問題なさそうです。


 じゃ、また!

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