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第18段 聞いてみました。

 一時間半くらい練習をして、それで今日の練習は終わりにすることにした。



 俺は帰り際、文乃父、こと吉備敏実としざねさんと2人になったのであることを聞くことにした。



「敏実殿、貴族の間では普通、女子は身内以外の男には姿を見せないことが当たり前なのだが、こちらはどうですか?」



 そう、平安時代、女子はあまり顔を見せなかったのだ。だから、当時は『垣間見』と呼ばれる人の家を覗くことは当たり前にあったことなのだ。

 さらに犯罪でもなかった。これは貴族達云々関係なく、女と結婚する過程において必要なことだったからだろう。

 なので、この家はどうするつもりなのか聞いたのだ。



「まあ、これからは外出は控えるようにさせるよ。でも、ウチは決して裕福な家ではないから。ずっと家の中に居てもらう訳にもいかないけどね」

「なるほど。で?文乃さんももういい年頃ですが・・・結婚の申し込みなんかはありましたか?」


 ちょっと探りを入れてみた。もちろん文乃ちゃんは将来の俺の嫁なので、それに手を出そうとする芽は若いうちに、物理的に摘み取る必要があるからな。

 でも、文乃ちゃんだってもう15歳だから、この時代平均で考えればそろそろ結婚してもおかしくは無いのだ。


「まあ、無いこともないんだがねえ・・・。どうしても文乃と母ちゃんが首を縦に振ってくれないんだよ。『心に決めた人がおりますので!』とか言ってな。まあ、そこまで言われてしまうとこちらとて手出しもできないからなあ」


 誰だ!心に決めた人って!俺か?俺じゃなかったら死にそうです。



 これ以上聞いても何の情報も引き出せそうにないので俺は退散することにした。







 俺は今日、叙位の儀に臨んだわけだが、もちろん俺と同じく今日はじめての叙位を受ける子供達がいる訳だ。驚いたのはその肥満率の高さだ。


 確かに、俺は講座とかで食事はしっかり食べるようにキャンペーンを張ったから、みんな食べるようになったのだが、貴族の子供達はあまり外に出て活発的に動かないのだ。

 基本は家の中で何かやっているし、移動は牛車で揺られているだけ・・・。

 ・・・まさに肥満児コースまっしぐら・・・


 だから、むしろ俺みたく外で走り回って、この時期から馬を乗りこなす方がおかしいらしい(実資談)。

 あ、そうそう。言い忘れてたけど、俺には馬のセンスがあったみたいで、簡単に乗れました。


 


 


 俺は小野宮第の自分の『部屋』に戻った。現代文明の利器に囲まれながら、これからの予定を考えていた。


 ひとまず、今日は叙位の儀だけだったのだが、明日からは正式に勤務が始まる。もちろん今まで散々大内裏はおろか内裏まで入り込んでいた人間なので、迷うことは無いが、新しいことを沢山覚えなければならない。


 現在の中務卿は具平ともひら親王だ。今33歳で、つい昨年中務卿に就任した。中務卿は親王の指定席で、基本的に臣下の人間がなることはありえない。

 具平親王は管弦に非常に通じていて、俺が懐仁さまと行う『歌会』には度々参加して貰っていて、俺自身もこの人の家に行って何度か指南を受けた。

 筝に限らず楽器全般なんでもできるユーティリティープレイヤーなところがすごい。


 だから、この人がトップなので基本的に自由に仕事はさせてもらえそうだ。

 ・・・もちろん、この人じゃなければ仕事をしないってわけではない。


 ちなみに、侍従は天皇の警護とかもするため、帯剣(剣をつけること)が認められている。もちろん、太刀もつけるが、俺のスタンダード・ウエポンはスミソニアン&ウェッソン製のコンバットナイフだ。


 3年前の襲撃事件以来、基本的に腰裏に挿している。ちゃんと手入れもしているので錆付きも刃こぼれもなく、輝きを保っている。

 12歳の子供には大きい太刀よりも小さいコンバットナイフのほうが使い勝手がいいのだ・・・もちろん技術があれば、の話だが。


 明日から仕事だ。「オールナイトジャパン」をもう少し聞きたかったが、朝は早いのでもう寝る。



 どうも、おやすみなさい。

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