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第15段 11歳になりました。現状報告します。

 竹千代も10歳になりました。

 時は長徳3(996)年です。

 ちなみに数え年だと11歳です。


 8歳から今までの近況報告です。

 久しぶりだな!

 

 前の話から実はもう2年経ったぞ!俺ももう10歳だ!ははっ!


 その間の話をしようか!


 この三年間、特に変わったことも無い。いたって平和だったといえばそうなるが・・・、つまらないとも言う。


 懐仁やすひとさまと「じぇーぽっぷ」の練習、居貞さまに筝の指導(一向に上達しないが。)、文乃ちゃんにも筝の指導・・・。


 で、例によって例のごとく、野球とかして八条九条で遊びまわってます。


 

 文乃ちゃんが裳着もぎの儀式をしました。

 本当は身内ごとでやるらしいんだけど、特別に仲が良いとのことで、俺、国昌、源、師巳の仲良しグループも列席した。

 もちろん、服装は比較的きれいな水干で出席した。

 俺の正体は未だ文乃ちゃん以外には知られていない。

 

 で。俺は去年ぐらいから、内裏で懐仁さまに会うごとに健康と美容に関して講義をしている。例えば、肉をもっと食って栄養つけろ、だとか風呂は毎日入れ、とか・・・だ。

 

 あと、この時代の人たちは、食事を全部食べることは、自分の食欲を表に出すことになるから、恥じることだ、という思想が特に上級貴族中心に広がっていたので、それについてもやめてしっかり二食なら二食を食べるようにさせた。

 

 また、肉に関しても、食ったところで仏さまは寛大な心をお持ちになられて云々、とか、魚だって生きてた、という話をして食うようにさせた。

 

 ただ、その上級貴族に俺の家である、藤原北家小野宮流が含まれていないことは秘密だ。


 あと、美容に関して言えば、当時女性が顔に塗るおしろい。これには毒性のある金属の鉛が含まれていて、それによる中毒死であったり、胎児が死亡するケースがとても多かった。

 

 そこで、鉛中毒の恐ろしい現実を、懐仁さまの女御や更衣(要は妻)に話すと効果てきめんで、瞬く間に内裏どころか、貴族たちから白塗りにするものはほとんどいなくなった。

 

 ただ、いつの時代にも時代に逆行するものがいて、白塗りを続ける者もいた。


 しかし、顔が白塗りじゃないと、どこかに白い部分を求めるのが人情というもので、歯に白さを見出したのか、今はお歯黒も減少傾向にある。


 俺の嫌いな白塗り眉なしお歯黒の内、眉無しを除いて減ってきている。ただ、眉無しでも眉はみんな眉は墨で書くのでそこまで気にならないよ・・・?




 気になってるわ!明らかに眉が太すぎるんじゃ!くそ~。もうちょっと細く書けよ・・・。



 まあ、そんな俺の努力もあって、京の貴族達に栄養失調の人を大して見かけなくなった、というのは大きな収穫だろう。顔のむくれもみんなだいぶ無くなってきたし。顔に関しては、今、俺の好み顔が増えてきてる!


 ただし、今まで永く使われてきたおしろいによる鉛中毒には今すぐには対処できないので、鉛中毒による死者は減ってはいるものの、今もいる。


 と、言うことで。文乃ちゃんには白塗りも眉抜きも、お歯黒もしてません。

 あの美しいまま、裳着です。最高!


 ところで、仲良しグループはみんな親が下級官人であることが判明した。


 やべえな。いつ本当のことを話そうか。今はまだ、同じく下級官人の子であることにしている。その説明をするときはいつも、文乃ちゃんが必死に笑いをこらえていることは秘密だ。


 本人曰く

「だって、面白すぎ・・・ひひひ」

たいていそこまで言って、後は笑い続ける。




 一方、居貞さまに子供が生まれました。早すぎませんかね・・・。まあ、いいですけど。


 あと1年もすれば史実上では俺は竹千代から藤原資平ふじわらのすけひらと元服する。


 

 さて、今日は懐平さまのところに行って、今度の花見のときに歌う曲を決めなければならない。

 一応、今度は春なので、卒業ソングとか春歌をぶち込もうかと考えてはいる。


 ちなみに、最近藤原道長の土御門第で俺達の始めたほうの歌会が行われていて、毎回招かれて懐仁さまと一緒に行くのだが、なにぶん歌を知らないので、一様にひどい。

 筝が上手な人はいるのだが、作詞作曲となると、俺達がいままでやってきたもののパクリだったり、旧来の雅楽っぽくなってしまう。


 え?お前だってパクリだろって?

 いや、もう許せ。仕方ない。しかも、時代は俺のほうが前だから本家のほうが一応パクリだし・・・。


 ・・・なんでもないです。ごめんなさい。



 い、以上を持ちまして近況報告を終わります!


 じゃ、じゃあな!


 に、逃げたわけじゃないぞ!

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