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双槍の風走り  作者: 骨の和
重装という壁
5/12

『騎士は速くない』

■ 平原の戦場

風が吹き荒れる平原。

敵は重装騎士の隊列。

鋼鉄の鎧が陽光を反射し、馬蹄の音が地面を揺らす。

歩兵なら逃げる距離。

だが、風走りは丘の上から身を低く構えた。

手には短槍、ジャベリンを握る。

「騎士は速くない…」

これが、唯一の自信。

■ 開幕

騎士が疾走してくる。

馬も鎧も、確かに重い。

その速度は想像より遅い。

右手のジャベリンを投げる。

馬と騎士の間に、正確に刺さる。

僅かに揺れた馬が、盾列を僅かに崩す。

「一本目は挨拶」

短槍に持ち替え、間合いに飛び込む。

騎士が振る槍をかいくぐり、肩口を突く。

金属の衝撃が腕を伝うが、止まらない。

■ 間合いの支配

馬上の騎士は前方しか意識できない

横に回り込むスペースは風走りが作る

ジャベリンを回収しつつ、二本目で再び突く

敵は力を持っても、速度が支配できない。

重装ゆえの鈍さ。

それが風走りの利点となる。

■ 反撃と駆け引き

騎士が槍を振る。

風走りは身体を低くし、盾列の死角を利用する。

回避、突き、投げ、回収のループが続く。

「考えるな、動け」

理性ではなく、身体が覚えたリズムが勝利の鍵。

■ 勝負の瞬間

騎士が馬を突進させた。

一瞬の判断で、ジャベリンを投げる。

馬は避けられず、盾と騎士の間に刺さる。

短槍で肩を突き、馬を翻さずに騎士だけを倒す。

背後から仲間が追撃する前に、既に離脱済み。

■ 戦後

平原は静かになった。

騎士の鎧と馬が土に沈む。

味方は戦術を理解したように、距離を置く。

敵は恐怖を抱えて撤退。

噂がまた一つ増える。

「あいつ…馬ごと止めたぞ」

「槍を拾う者や…」

「双槍の風走りか…」

■ 焚き火の前

槍を拭きながら、考える。

「重い装備は、速さを殺す」

「軽ければ、間合いは支配できる」

「止まらなければ、誰も追いつけない」

背中の予備ジャベリンを手に取る。

まだ戦える。まだ前に出られる。

■ 最後の一文

騎士は速くない。

双槍の風走りは、今日も勝利より先に間合いを支配する。

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