『盾の列』
■ 丘の上
朝霧は消え、太陽が斜めに差す。
目の前には、整列した重装歩兵の盾の壁。
長い盾列が、
まるで生き物のように前に進む。
背後の味方は小さく見えた。
逃げる余地は少ない。
ただ、前に出るしかない。
■ 姿勢
右手:ジャベリン
左手:短槍
「止まるな、考えるな」
身体が覚えているリズム。
投げる→突く→回収。
このループが生き残るためのリズム。
■ 開幕
右手のジャベリンを投げる。
盾の縁に当たるも、僅かに隙間を生む。
間髪入れず、短槍を持ち替え、突く。
敵の盾列は僅かに揺れ、歩兵が盾を重ねる位置が崩れた。
■ 間合いの攻防
一本目のジャベリンは牽制
突きは間合いを詰める
さらに倒れた敵から回収
敵は予測できない。
盾の列は揺らぐが崩れない。
だが、一歩踏み出す勇気を奪われる。
■ 突破の一瞬
後ろに回り込む隙はない。
正面突破を試みるしかない。
ジャベリンを再投擲。
盾の縁をかすめ、歩兵の間を通す。
短槍を構え、盾をかき分け、隙間に突く。
「まだ、次がある」
間合いは支配下にある。
■ 敵の反撃
盾列の重さは半端じゃない。
押されれば、自分が盾に挟まれる。
背中の予備ジャベリンを意識
突進されれば、即座に投げる
回避と攻撃の連続。
止まれば死ぬ。
それだけ。
■ 戦後
丘は血と泥で染まった。
盾列は崩れ、歩兵は散開した。
味方は、距離を置いて見る。
敵は、恐怖を抱えて去る。
酒場の噂が、また一つ増えた。
「あいつ、盾の列を前にしても動くぞ」
「槍を拾う者や…」
■ 焚き火の前
槍を拭きながら、考える。
一本だけでは止まる
二本で迷わず動ける
盾列を前にしても、考えずに動ける
そして、背中のジャベリンは、
まだ手を伸ばせば使える。
■ 最後の一文
盾の列があっても、風は止まらない。
双槍の風走りは、今日も前に出る。




