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双槍の風走り  作者: 骨の和
重装という壁
4/12

『盾の列』

■ 丘の上

朝霧は消え、太陽が斜めに差す。

目の前には、整列した重装歩兵の盾の壁。

長い盾列が、

まるで生き物のように前に進む。

背後の味方は小さく見えた。

逃げる余地は少ない。

ただ、前に出るしかない。

■ 姿勢

右手:ジャベリン

左手:短槍

「止まるな、考えるな」

身体が覚えているリズム。

投げる→突く→回収。

このループが生き残るためのリズム。

■ 開幕

右手のジャベリンを投げる。

盾の縁に当たるも、僅かに隙間を生む。

間髪入れず、短槍を持ち替え、突く。

敵の盾列は僅かに揺れ、歩兵が盾を重ねる位置が崩れた。

■ 間合いの攻防

一本目のジャベリンは牽制

突きは間合いを詰める

さらに倒れた敵から回収

敵は予測できない。

盾の列は揺らぐが崩れない。

だが、一歩踏み出す勇気を奪われる。

■ 突破の一瞬

後ろに回り込む隙はない。

正面突破を試みるしかない。

ジャベリンを再投擲。

盾の縁をかすめ、歩兵の間を通す。

短槍を構え、盾をかき分け、隙間に突く。

「まだ、次がある」

間合いは支配下にある。

■ 敵の反撃

盾列の重さは半端じゃない。

押されれば、自分が盾に挟まれる。

背中の予備ジャベリンを意識

突進されれば、即座に投げる

回避と攻撃の連続。

止まれば死ぬ。

それだけ。

■ 戦後

丘は血と泥で染まった。

盾列は崩れ、歩兵は散開した。

味方は、距離を置いて見る。

敵は、恐怖を抱えて去る。

酒場の噂が、また一つ増えた。

「あいつ、盾の列を前にしても動くぞ」

「槍を拾う者や…」

■ 焚き火の前

槍を拭きながら、考える。

一本だけでは止まる

二本で迷わず動ける

盾列を前にしても、考えずに動ける

そして、背中のジャベリンは、

まだ手を伸ばせば使える。

■ 最後の一文

盾の列があっても、風は止まらない。

双槍の風走りは、今日も前に出る。

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