表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
双槍の風走り  作者: 骨の和
風が走り出す
2/12

『二本持つ理由』

■ 戦の翌朝

夜露で冷えた地面に、

槍を立てて置いた。

一本は短槍。

一本は、血の跡が残るジャベリン。

並べると、

長さも、重さも、役目も違う。

それでも――

両方ないと落ち着かなかった。

■ 周囲の目

朝の点呼で、

後ろの兵が囁いていた。

「あいつ、昨日も二本持っとったな」

「欲張りやろ」

「盾持たんのか?」

聞こえてたけど、

振り返らなかった。

説明する気もなかった。

■ なぜ二本か

一本だけなら、楽や。

迷わない

重くない

命令にも従いやすい

でも、それは

止まる前提の武器や。

二本持つのは、

止まらないため。

■ 訓練場で

杭代わりの丸太に向かって、

ジャベリンを投げた。

刺さる。

間を置かず、

短槍で詰める。

突く。

突いたまま、

前に出る。

そして、

刺さった槍を抜く。

この一連が、

一呼吸で終わるか。

それだけを確かめていた。

■ 隊長の視線

遠くで、

隊長が見ていた。

止めもしない。

褒めもしない。

ただ、

目だけ動かす。

一歩、前に出るかどうかを

見極めている目やった。

■ 失敗

投げた槍が、

地面に弾かれた。

外した。

その瞬間、

胸が詰まった。

一本失う怖さ。

でも、

まだ一本ある。

短槍を構えた時、

身体が軽くなった。

■ 気づいたこと

二本持つのは、

攻撃のためやない。

保険でもない。

一本目が失敗しても、

身体が止まらないため。

■ 夜

焚き火の前で、

隊長が言うた。

「お前、

一本やったら考えるやろ」

返事を待たず、

続けた。

「二本あるから、

考えんで済む」

それだけ。

■ 槍を磨きながら

刃についた傷を、

指でなぞる。

投げる槍。

突く槍。

役目は違う。

でも、

判断は一つ。

■ 最後の一文

二本持つ理由は、

強くなるためやない。

迷わず、前に出るためや。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ