序章 第3幕 エンマ様 しれっと行くよ 女子の家
(いろいろあって学校をサボって、帰ってきてしまった御巫。閻魔大王を家に連れて、家の説明をするが‥‥。
閻魔と少女が織り成す現代社会妖怪コメディー。お待たせしました。)
「ようこそ我が家へ」
そう言って通されたのは“リプロダクション”という、オシャレなマンションの12階の305号室って言えばいいのかな?
「フヨフヨ〜ただいまぁー。」
「2人暮しにしては広い家だな。」
パッと見ただけでも、リビング、ダイニング、キッチン、プラス部屋が2つほど。更には観葉植物なんかもあってなんだかオシャレな雰囲気。綺麗で整っているが、女子大生の家って感じはしないな。良かった
「そうなんだ、親がかなりの心配性でさ。」
恵まれてんだな。
「‥‥」
チョン
「ん?なぁフヨフヨて、まさかこれのことか?」
なんと俺の服を触手?かなんかでチョンチョンしている、アニメとかでよくいるような“魂”みたいなのに、口と目が付いていて、人間で言うところのおでこにyを逆に書いたみたいな傷がついているそんな感じのまぁ、可愛らしい見た目の妖魔。
そして当たり前でしょみたいな顔して、
「当たり前でしょ。」
なんて言うから
「知るか。」
て言ってやった。何言ってんだ?俺。
「それよりお前、本当ににこいつが見えるんだな」
「うん。他にもトゲトゲとか、フサフサとか、チクチクとか、ツルツルとか、いっぱいいるよ。」
ネーミングセンスの無さにツッコもうと思ったが、これはこれで面白いかもしれない。
「触れんのか?」
「うん。」
「お前人間にしてはやるな。」
「フッフッフッ。ようやくわかったようだな。」
なんでフヨフヨまで得意げな顔をするんだよ。
「それでな、おそらくお前の言っているトゲトゲとか、こいつとかは、危険度はゼロの妖魔に分類される霊だ。」
「そんなもんだと思ったよ、だってこの子達特に何もしてこないんだもん。」
「‥‥」
怒ってんのか?自分の周りに触手で、怒りマークを作っている。不思議なやつだな。
「でもな、そんなことは無い。まずこいつらが見えるヤツはそういない。さらに、こいつらは見ただけで幸福を運んでくれるとか言う精霊の1種だと思う。」
「‥‥」ウンウン
うなづいてんのか?ますますなんなんだ?こいつ。
「さらに、中にはこいつらに呼びかけて魔法が使えるやつもいる。」
「へー、私も使える?」
「さあ、使い方がわからんからなんとも言えんな。」
「なんも知らんじゃん」
「‥‥」ハァー
なんだ?今度は俺の事をけなしてんのか?それにしても精霊って、こんなに感情むき出しだっけ。まあいいや、後で相談するか。うーん、なんて答えようか‥‥‥。
「あっ、よし、魔法についてはだな、ほとんど記録が残ってないんだ神や、りゅう達、それに俺らだってそんなもんがあるなんてわかったのはつい最近のことなんだから。」
「じゃあみんなに聞けばいいじゃん。」
「みんなって誰だよ。」
「みんなって‥‥‥フヨフヨたちのことでしょ。」
「ハッ、まさかこいつらと会話できるわけでもあるまいし。」
「いや、話せるでしょ。私話せるもん。」
えっ?何言ってんだ?会話出来る精霊は上位精霊の中でも1部なはず?おん?
「えっ?じゃあ閻魔は話せないの?」
「話せねぇよ、話せるやつなんてほとんど見ないぞ。いたとしたら神話レベルで語り継がれるようなやつだよ。」
「うおっ、じゃあ私語り継がれちゃうんだ。」
精霊と話せて、黄色と空色のオッドアイ、さらに日本人。もしかしたらこいつ俺が思ってたよりすごいやつかもしれん。
「あっそうだ、閻魔は、名前なんて言うの?ちなみに私の名前は、柊御巫よろしく。」
そう言い目の前の少女、改め、御巫が手を差し出してきた
「さて、それじゃあ自己紹介と契約も込めて。お前の肉体が滅びるまで監視することになった10代目閻魔大王、ユーミ・バラサエル・ヒュートだ。よろしく。」
皮肉を込めたつもりだったが
「えっこ、告白?」「なっちげーよ。」
とりあえず話しが進まないので差し出された手を取る。
さっき手を握られた時はあまりにも唐突すぎて分からなかったが女の子の手というのはこんなにも柔らかいものなのか。
「えっと、なんて呼べば。」
監視には突っ込まないんだ‥‥‥
「ユーミでいい。」
「それじゃあ改めてよろしく。」
「‥‥」
フヨフヨも触覚のようなものを俺たちの手に乗せ、笑った。
なんだか少しあたたかい気もした。
「よろしくな。」
そう言うと2人ともニコッと笑ってくれた。
(さて、ここから始まる物語。その名も閻魔記伝、二人のこれからが気になる方や、ふよふよとはなんぞやと言う方、続きが気になる方はお手元にある次のページを開いてみてください。そうすればきっと物語は答えてくれるでしょう。それにこれはまだほんの1部にしか過ぎないのだから)
序章 終演
オマケ
「ねえ、私の記憶を消そうとしてたあのお札って一体何なの?」
「ああ、あれは、キョンシーとか、そういう怪異を、封印する人間の作った“封魔の札”の改良版で、仕組みはよくわかんねぇけどその札に込める“力”の量によって消す記憶を増やせるなんか、便利なやつだよ。」
「ユーミが作ったの?」
「いや、地獄にいるとある発明家が作ったんだ、他にも色んな物を発明していて、世界中にすごい影響をあたえているんだ。」
「へー会ってみたいな。」
「まあ機会があったらな。」
「うい、ねーゲームしよーよ。」
「ああ、いいぞ。」